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チーム僕僕からのおしらせ――次号の『波』に書下ろし掲載!


いやぁー秋ってなんか、しみじみしちゃいますよねー。口座のマイナス残高を埋めるだけで消えていくボーナスのこととか、このサイトにまだトラックバックがないこととか……。

トラックバック、カモーーーーーン!!!

失礼しました、Nであります。
えー、しみじみ問題はさておいて、11月27日発売の『』(12月号)に仁木さんの新作が掲載されますよ。

タイトルは「避雨雙六(ひうそうりく)」。僕僕先生シリーズの、番外編的な作品です。
旅の途中のある日のこと、俄雨に降られた僕僕先生一行が、雨宿りの無聊の慰みに〈すごろく〉をして遊びます。上がりになれば「願い事」が叶うというこの〈すごろく〉、その願いを他の者に知られたら負けという一風変わったシロモノですが……。
少しだけ、冒頭部分をご紹介しましょう。


 機嫌の良くない雷神様が通ったみたいだね、と少女は彼に微笑みかけた。少女姿の仙人、僕僕先生と、その弟子王弁は、雨宿りに入った狭い一室で、見詰め合っている。
 道教の術師が身につけるゆったりとした衣は、空の一画を切り取ったように青い。腰までの髪は風を受けてさらりと流れ、僕僕の髪から流れ出す芳しい杏の香りが緩やかに二人を覆う。
 僕僕たち一行は中国大陸の江南、衡陽で黒髪の化身とその夫の敵討ちを手助けした後、南へ向かう旅を続けている。街道脇を流れる湘水の流れは激しい雨の下で黒く流れ、川べりに並ぶ柳の列は水をたっぷり含んでその頭を重たげに垂れていた。
 水一滴かかっていないように見える師に比して、弟子は川に落ちたねずみのごとくずぶ濡れである。彼は一刻も早く服を脱いで乾かしたいのだが、僕僕がすぐ目の前にいてそれとなく邪魔をするのだ。
「あの、そんなに見られてると脱ぎにくいんですけど……」
「いいじゃないか。減るもんじゃなし」


ね、ね、なかなかいい雰囲気がございますでしょ!?
いつもより短めの作品ですが、小品ならではの爽やかな風が吹き抜けるような魅力がある、と私は思います。

お楽しみに!

2008年11月14日