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チーム僕僕からのおしらせ――和田竜さん・仁木さん公開対談に行ってきました!

こんにちは。なーんか今年は寒いですね。これまでずっと我慢してたんですけど、ついに保温下着に手を出したNです。ああ、Nのハードボイルドな決まり事が、どんどん損なわれていく……。


さて先週の水曜(2月3日)、Nは以前お知らせした和田竜さんと仁木さんの公開対談(第20回「新!読書生活」:活字文化推進会議主催、読売新聞社主管、小学館協賛)に行ってきました。
時おり雪の舞う寒い晩でしたが、千代田区神田駿河台の全電通ホールに集まった聴衆のみなさんはなんと約400人! さすが大ベストセラー作家の和田さんです(いや、仁木さんもさすがなのだが、メインゲストの位置づけは和田さんでしたので)。

テーマは「歴史エンターテインメント小説の構造」。まず和田さんの基調講演が30分ほどあって、どういうふうに作品を“設計”し、何を作品の命だと考えていらっしゃるのかをお話しになったのですが、これがめちゃくちゃ面白かった!
詳しくは2月28日の読売新聞朝刊に掲載される詳報をご覧いただければと思いますが、和田さんの作品のあのすばらしい躍動感がどこから生まれているのか、私なりに理解できたような気がします。


和田さんの作品って、読み終わっても何度も心の中で繰り返し楽しめる名場面がたくさんありますよね。なんと言うか、「物語がこう展開するのなら、この瞬間をこう描く以外にあり得ない」という絶妙なシーンが。N的に言えば、たとえば鉄砲試合に呼ばれた小太郎がすごーく遠くにある二つの的を撃つことになって、一発目を命中させてみんなが「おおっ!」となってる間にあっという間に二発目も撃ち、判定も見ずに悠々と引き上げてくるあのシーンとか。←『小太郎の左腕』ね。


和田さんは小説をお書きになる時に、シーンとシーンのつなげ方や、ある情景をどんな視点から描くのか(たとえば振り下ろされる刀の動きを、どの角度から見ているとして描くのか)を、ものすごく細かく決めてから作品をお書きになるそうなんです。さすがに脚本の分野でも活躍されている方の発想は面白いなあと、思ったのでありました。


で、その後、仁木さんとの対談になったわけですが、仁木さんって大阪育ちだけあって、異様にしゃべくりが上手。
「それでは仁木先生、どうぞ~」なんて司会のお姉さんに呼ばれてステージに現れた仁木先生は、奇妙なスーツ姿(すまん。でも仁木先生、最近体格よすぎるんだもん。片手でリンゴを潰せそうなくらい)で、「どぉも~」
と最初から客席目線で登場。会話の最後に必ずいらんことをちょこっとしゃべって、笑いをとってらっしゃいました。さすが、地元FM局で5年間もパーソナリティーをやっていたというのは、嘘ではなかったんだなー。


仁木さんはどっちかというと勢いにまかせて書くタイプなので(いや、これはこれで偉いんです。仁木さんの雄大な構想力を称賛してます、私は)、和田さんと対照的といえば対照的で、これがまた面白かった。
『僕僕先生』が誕生したデビューの年に、仁木さんは400字詰め原稿用紙換算で年間約4000枚の作品を書きまくっていたというエピソードには、会場から驚きのどよめきが……。


編集者をやっていていつも思うんですけど、1冊の小説を完成させるというのはつまり原稿用紙何百枚という文章を書ききることであって、これ自体がとてつもない才能なんですよね。編集者は、どう頑張ってもこういうことが出来ないんです。目の前にある作品について、いろいろ言ってみることはできるんですけど。


対談では、和田さんと仁木さんが、それぞれの読書体験と絡めておすすめ本を挙げてらっしゃったのですが、これは読売新聞さんに掲載されてからご紹介しますね。
本日はひとまずこれまで。……って、長いな今回は。よく頑張ったぞ、N。


2010年2月 8日