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三木謙次さん、イラスト描いてみてください!
こんにちは。今年も残すところあと3日。今日が仕事納めの当社では、各編集部ともわさわさと大掃除の真っ最中です。
なのに、いまごろこの原稿を書いているN。我ながら、実に使えない&迷惑な奴……。

先に予告しました通り、本日は三木謙次先生のイラスト制作現場レポートです。
僕僕先生シリーズの“ズキューン! うっ、やられた”的にキュートなイラストは、こうして誕生しているのであった!!
12月上旬のある日。ここは都内某所の三木さん宅。
「大丈夫ッスよ。地図見て行けますから」と宣言しながら道に迷い、大幅に遅刻して到着したNと小説新潮担当Hを優しく迎える三木さんは、やっぱり素晴らしくいい人でした。恐縮しつつも冬眠間近のイシガメさんと遊んだ後に(三木さん、カメ好きなんです)、さっそく二階の仕事場へ。襖の引き手にもカメさんが……。お友達に作ってもらったんだそうです。やっぱり芸術系の人って、すごいわ~。




デスクの上には僕僕先生! 9月にマガジンハウスから刊行された『みんなの沖縄美ら海水族館』も、三木さんがイラスト描いてます。
向かって右の方は、三木さんの個人的な作品をまとめたもの。


「学生の頃にはどういうイラストを描いたらいいか迷っていて……。テーマとか言われてもピンとこないけど、みんなが落書きを褒めてくれるので、じゃあそれで行ってみようかと」


「手描きの落書きをコピー機で拡大したものです」
三木さんったら、これ落書きじゃないですから!
「驚くほど変わってないですね。でも結局、やってることが変わっていないということは、それが自分のテーマだということかもしれません」

さて、と目の前でイラストを描いて見せてくださる三木さん。
「僕僕先生が、いつまでたっても上手くならないんですよ~」


三木さんのイラストは、まずデスクの上で小さく描いてから、こうしてスキャナーでデジタルデータ化します。その際、拡大して取り込むことで、線に味わいが出るのです。




PCで少し修正、そして着色。




でも基本的には、スキャン前に納得いくまで描き直します。
「描いてから一晩寝かしてみると、いろいろ直さなきゃいけないところに気付きますね。妻に見せて、『キャラ的にOK?』と訊いてみたり」
このコーナーの原稿とかも、書いたらすぐにアップしちゃう自分としては、重く受け止めるべきお言葉です。正座……。
「ちょっとずれてしまうと、顔がぜんぜん違っちゃいますから」
新しい紙を上に重ねて、透けて見えたものを下書きにして修正するんだそうです。
「ちょっと完成度が上がってきてますよね。これを何回もやります」
な……何回もですか。紙を裏返しにして透かして見て、デッサンの狂いもチェックします。プロの道は厳しいです。
ペンはペン先の耐久性の高さが気に入って、三菱鉛筆の「ユニボールシグノ」を愛用。まず小さく描くという作画法のため、ペンの細さには気を遣います。これは0.28ミリの超極細。紙は美術予備校時代から愛用しているマルマンのクロッキー帳。


で、こういうふうに完成します。これは『さびしい女神』のカバーに使った燭陰。かっこよすぎる!


衣装の模様などは、先に輪郭を描いてから、パターンを乗せることもあるそうです。


いやいや、やっぱりすごいわ、プロの技は。
でもね、三木さんにも「アラレちゃん(Dr.スランプ)」が好きで扉絵とかを模写してました」という子供時代があったのです。
「ぼくぼくイラスト大勝負」への応募を考えている皆さんのために、分解写真的に掲載させていただいてもいいですか? と伺ってみたところ、快諾! 三木さん、最高!!
三木さんのご意見では、「那那と這這が割合と描きやすいと思いますよ」とのこと。
「老人と子供は、目鼻が顔の下の方に集まっている方がいいっていいますよね」
「漫画家さんはまず目を描いて、それから顔の輪郭を描くっていいますけど、僕の場合それが上手くいったことないんです(笑)」

それでは、がっつり研究して、ぜひご応募くださいませ。
いまからアップをお願いするOさん、ごめん。
みなさまよいお年を!!(N)





2011年12月28日