ホーム > 書籍詳細:細雪〔上〕

鶴子、幸子、雪子、妙子、関西上流階級に生を享けた美しき四姉妹。

  • 受賞第1回 毎日出版文化賞
  • テレビ化プレミアムドラマ「平成細雪」(2018年1月放映)

細雪〔上〕

谷崎潤一郎/著

594円(税込)

本の仕様

発売日:1955/11/01

読み仮名 ササメユキ1
シリーズ名 新潮文庫
発行形態 文庫、電子書籍
判型 新潮文庫
ISBN 978-4-10-100512-6
C-CODE 0193
整理番号 た-1-9
ジャンル 文芸作品
定価 594円
電子書籍 価格 616円
電子書籍 配信開始日 2013/02/01

大阪船場に古いのれんを誇る蒔岡家の四人姉妹、鶴子、幸子、雪子、妙子が織りなす人間模様のなかに、昭和十年代の関西の上流社会の生活のありさまを四季折々に描き込んだ絢爛たる小説絵巻。三女の雪子は姉妹のうちで一番の美人なのだが、縁談がまとまらず、三十をすぎていまだに独身でいる。幸子夫婦は心配して奔走するが、無口な雪子はどの男にも賛成せず、月日がたってゆく。

著者プロフィール

谷崎潤一郎 タニザキ・ジュンイチロウ

(1886-1965)東京・日本橋生れ。東大国文科中退。在学中より創作を始め、同人雑誌「新思潮」(第二次)を創刊。同誌に発表した「刺青」などの作品が高く評価され作家に。当初は西欧的なスタイルを好んだが、関東大震災を機に関西へ移り住んだこともあって、次第に純日本的なものへの指向を強め、伝統的な日本語による美しい文体を確立するに至る。1949(昭和24)年、文化勲章受章。主な作品に『痴人の愛』『春琴抄』『卍』『細雪』『陰翳礼讃』など。

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姉妹
春夏秋冬

時代は違えど、それぞれの人生や恋に悩みながらもまっすぐに向き合う

●大阪の船場に古いのれんを誇る蒔岡家の四姉妹『細雪』
●京都に暮らす奥沢家の三姉妹『手のひらの京』
●春夏秋冬、四季折々の伝統行事とともに描く姉妹たちの姿

コラム 映画になった新潮文庫

原幹恵


 今回は映画になった文庫本、『細雪』全三巻をところどころ拾い読みしているだけで全部は読めていません。すみません! 本当の意味でのテキストは春日太一さんの新潮新書『市川崑と「犬神家の一族」』で、この本をゲームの攻略本のように脇へ置いて、市川崑監督の『細雪』(83年)をうっとり観ました。
 拾い読みしただけの私でも分ることがあって、映画版はあの長篇小説を上手く改変しています。何年も続く物語を昭和十三年一年間の設定にして、大阪船場の名家蒔岡家の三女・雪子が見合いして、断って、また見合いして断って(四回お見合いします)、合間に四季折々の風景が写り、最後に雪子の結婚が決まって、長女・鶴子が東京へ引っ越し、次女・幸子の旦那さんが独り酒を呑みながら涙を浮かべる――百四十分の映画なのに、ただそれだけの話です。有名な神戸の洪水も、美味しそうな鯛の刺身も出てきません。でも、すごく面白い!
 四姉妹は上から岸惠子さん、佐久間良子さん、吉永小百合さん、古手川祐子さん。岸さんの旦那さんが伊丹十三さん、佐久間さんのご主人が石坂浩二さん、二人とも婿養子で、誇り高い女たちの旧家を守ってやろうと頑張っています。岸さん伊丹さん夫婦は船場に住んでいて、佐久間さん石坂さん夫婦と吉永さん古手川さんは四人一緒に芦屋の家で暮している。
 吉永さんは電話も取れないような箱入りで世間知らずのお嬢さまで(一方古手川さんは奔放な末っ子)、何を考えているかよく分らないのですが、自分の美しさに寄ってくる男性が多いことは自覚しているようです。義兄の石坂さんも吉永さんに惹かれていて、妻の佐久間さんはそれを察してるけど、吉永さんは微笑んでいるだけです。
 お見合いへ出かける阪急電車の中で、若い兵隊さんが自分を見詰めているのに気づいた吉永さんが魅力的に彼へ微笑みかけ、どぎまぎする彼にさらに美しく微笑みかけ続ける場面があります。隣の佐久間さんも石坂さんも二人の様子に気づいておらず、物語に関係のないこの数秒のカットは妙に胸へ残ります。凄い〈魔性の女〉ぶり!
 春日さんの本でも吉永さんの使い方は細かく分析され、激賞されていて、「魔性が作り出されて」、「新たな魅力を引き出した」。
 ついに吉永さんが結婚し、岸さんは伊丹さんの転勤で上京、古手川さんは恋人と暮し始め、戦争色も濃くなって、一家はバラバラになり時代が大きく変わっていく。そこで石坂さんは酒を呑んで泣くのです。
 この場面だけは監督夫人の脚本家和田夏十さんが書いたそうです。当時和田さんは重い病気で、映画の完成前に亡くなりました。料理屋の白石加代子さんは石坂さんが女に振られて泣いていると思って、「あんたまだ若いんだから気にしなさんな」と言います。あれは死を悟った和田さんから夫へのメッセージだ、というのが春日さんの解釈。そう思うとあの涙に、秘めた恋や一つの時代への惜別というだけではない、複雑な重みが感じられます。この映画がいかに丁寧に、どんな思いと技術で作られたか、春日さんの本を覗いてみて下さい。あっ。綺麗な着物と、それを纏った女優さんたちの色気や所作の優雅さに触れる余裕がなくなりました。

 

(はら・みきえ 女優)
波 2016年4月号より

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