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新樹の言葉

太宰治/著

737円(税込)

発売日:1982/07/27

  • 文庫

私だって、偉くなるさ。しょげちゃいけない。雌伏の意識のあわいから、なお、あふれだす才気とユーモア。太宰中期の傑作群。

麻薬中毒と自殺未遂の地獄の日々から立ち直ろうと懸命の努力を重ねていた時期の作品集。乳母の子供たちとの異郷での再会という、心温まる空想譚のなかに再生への祈りをこめた「新樹の言葉」。“男爵”と呼ばれる無垢な男と、昔その家の女中で今は大女優となっている女性との恋愛譚「花燭」。ほかに「懶惰の歌留多」「葉桜と魔笛」「火の鳥」「八十八夜」「老ハイデルベルヒ」など全15編。

目次
I can speak
懶惰の歌留多
葉桜と魔笛
秋風記
新樹の言葉
花燭
愛と美について
火の鳥
八十八夜
美少女
春の盗賊
俗天使
兄たち
老ハイデルベルヒ
誰も知らぬ
解説 奥野健男

書誌情報

読み仮名 シンジュノコトバ
シリーズ名 新潮文庫
発行形態 文庫
判型 新潮文庫
頁数 416ページ
ISBN 978-4-10-100616-1
C-CODE 0193
整理番号 た-2-16
ジャンル 文芸作品
定価 737円

どういう本?

タイトロジー(タイトルを読む)

死ぬもんか。自愛。人間これを忘れてはいかん。結局、たよるものは、この気持ひとつだ。いまに、私だって、偉くなるさ。なんだ、こんな家の一つや二つ。立派に買いもどしてみせる。しょげるな、しょげるな。自愛。これを忘れてさえいなけれあ、大丈夫だ。(本書99ページ)

著者プロフィール

太宰治

ダザイ・オサム

(1909-1948)青森県金木村(現・五所川原市金木町)生れ。本名は津島修治。東大仏文科中退。在学中、非合法運動に関係するが、脱落。酒場の女性と鎌倉の小動崎で心中をはかり、ひとり助かる。1935(昭和10)年、「逆行」が、第1回芥川賞の次席となり、翌年、第一創作集『晩年』を刊行。この頃、パビナール中毒に悩む。1939年、井伏鱒二の世話で石原美知子と結婚、平静をえて「富嶽百景」など多くの佳作を書く。戦後、『斜陽』などで流行作家となるが、『人間失格』を残し山崎富栄と玉川上水で入水自殺。

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