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漱石没後100年&生誕150年記念! 猫をこよなく愛する人気作家8名が「あの猫」に挑む。

吾輩も猫である

赤川次郎/著、新井素子/著、石田衣良/著、荻原浩/著、恩田陸/著、原田マハ/著、村山由佳/著、山内マリコ/著

497円(税込)

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発売日:2016/12/01

読み仮名 ワガハイモネコデアル
雑誌から生まれた本 小説新潮から生まれた本
発行形態 文庫
判型 新潮文庫
ISBN 978-4-10-101050-2
C-CODE 0193
整理番号 な-1-50
ジャンル 文学賞受賞作家
定価 497円

「ねね、ちょっと、私だって猫なんですけどぉ~。名前はまだ無いんですけどぉ~」夏目漱石没後100年&生誕150年記念出版! 明治も現代も、猫の目から見た人の世はいつだって不可思議なもので……。猫好きの作家8名が漱石の「猫」に挑む! 気まぐれな猫、聡明な猫、自由を何より愛する猫、そして、秘密を抱えた猫――。読めば愛らしい魅力があふれ出す、究極の猫アンソロジー!

著者プロフィール

赤川次郎 アカガワ・ジロウ

1948(昭和23)年、福岡生れ。桐朋高校卒。1976年、「幽霊列車」でオール讀物推理小説新人賞を受賞。「三毛猫ホームズ」シリーズなどユーモア・ミステリーの他、サスペンス小説、恋愛小説まで幅広く活躍。2016(平成28)年、『東京零年』で吉川英治文学賞を受賞。『セーラー服と機関銃』『ふたり』『一億円もらったら』『晩夏』『無言歌』『子子家庭は波乱万丈』『天国と地獄』など著書多数。

新井素子 アライ・モトコ

昭和35年、東京都生れ。立教大学文学部卒業。都立高校2年生のとき、「あたしの中の……」が第一回奇想天外SF新人賞佳作に入選、星新一氏の強い推薦で作家デビュー。昭和56年「グリーン・レクイエム」、57年「ネプチューン」で2年連続の星雲賞日本短編部門受賞。平成11年『チグリスとユーフラテス』で日本SF大賞受賞。『星へ行く船』『ひとめあなたに…』『結婚物語』『新婚物語』『あなたにここにいて欲しい』『緑幻想』『おしまいの日』『ハッピー・バースディ』『もいちどあなたにあいたいな』、星新一作品のアンソロジー&エッセイ『ほしのはじまり』など、著書多数。

石田衣良 イシダ・イラ

1960(昭和35)年、東京生れ。成蹊大学経済学部卒業、広告制作会社を経てフリーランスのコピーライターに。1997(平成9)年9月「池袋ウエストゲートパーク」でオール讀物推理小説新人賞を受賞し、続篇3篇を加えた『池袋ウエストゲートパーク』でデビュー。2003年7月『4TEEN』で直木賞受賞。2006年、『眠れぬ真珠』で島清恋愛文学賞受賞。2013年『北斗 ある殺人者の回心』で中央公論文芸賞を受賞した。著書に『6TEEN―シックスティーン―』『夜の桃』『水を抱く』『チッチと子』『娼年』『逝年』『sex』『余命1年のスタリオン』『マタニティ・グレイ』などがある。

荻原浩 オギワラ・ヒロシ

1956(昭和31)年、埼玉県生れ。成城大学経済学部卒。広告制作会社勤務を経て、フリーのコピーライターに。1997(平成9)年『オロロ畑でつかまえて』で小説すばる新人賞を受賞しデビュー。2005年『明日の記憶』で山本周五郎賞を、2014年『二千七百の夏と冬』で山田風太郎賞受賞を、2016年『海の見える理髪店』で直木三十五賞を受賞。著作に『ハードボイルド・エッグ』『神様からひと言』『僕たちの戦争』『さよならバースディ』『あの日にドライブ』『押入れのちよ』『四度目の氷河期』『愛しの座敷わらし』『ちょいな人々』『オイアウエ漂流記』『砂の王国』『月の上の観覧車』『誰にも書ける一冊の本』『幸せになる百通りの方法』『家族写真』『冷蔵庫を抱きしめて』『金魚姫』『ギブ・ミー・ア・チャンス』など多数。

恩田陸 オンダ・リク

1964(昭和39)年、宮城県生れ。早稲田大学卒。1992(平成4)年、日本ファンタジーノベル大賞の最終候補作となった『六番目の小夜子』でデビュー。2005年『夜のピクニック』で吉川英治文学新人賞、本屋大賞を、2006年『ユージニア』で日本推理作家協会賞を、2007年『中庭の出来事』で山本周五郎賞をそれぞれ受賞した。ホラー、SF、ミステリーなど、さまざまなタイプの小説で才能を発揮している。著書に、『三月は深き紅の淵を』『光の帝国 常野物語』『ネバーランド』『木曜組曲』『隅の風景』『夜の底は柔らかな幻』などがある。

原田マハ ハラダ・マハ

1962(昭和37)年、東京都小平市生まれ。関西学院大学文学部日本文学科および早稲田大学第二文学部美術史科卒業。馬里邑美術館、伊藤忠商事を経て、森ビル森美術館設立準備室在籍時、ニューヨーク近代美術館に派遣され同館にて勤務。その後2005(平成17)年「カフーを待ちわびて」で第1回日本ラブストーリー大賞を受賞、デビュー。2012年に発表したアートミステリ『楽園のカンヴァス』は第25回山本周五郎賞、第5回R・40本屋さん大賞、TBS系「王様のブランチ」B00Kアワードなどを受賞、ベストセラーに。2016年『暗幕のゲルニカ』が第9回R・40本屋さん大賞を受賞。その他の作品に『本日は、お日柄もよく』『ジヴェルニーの食卓』『太陽の疎』『モダン』などがある。

村山由佳 ムラヤマ・ユカ

1964年、東京都生まれ。立教大学卒。1993年『天使の卵―エンジェルス・エッグ』で小説すばる新人賞を受賞しデビュー。2003年『星々の舟』で直木賞を受賞。2009年『ダブル・ファンタジー』で中央公論文芸賞、島清恋愛文学賞、柴田錬三郎賞を受賞した。他の著書に、『天使の柩』『放蕩記』『アダルト・エデュケーション』『ありふれた愛じゃない』など。

山内マリコ ヤマウチ・マリコ

1980年、富山県生れ。2008年「16歳はセックスの齢」で女による女のためのR-18文学賞読者賞を受賞。2012年、初の単行本『ここは退屈迎えに来て』を刊行。ほかの著書に『アズミ・ハルコは行方不明』『さみしくなったら名前を呼んで』『パリ行ったことないの』『東京23話』『買い物とわたし』などがある。

書評

アンドレアデルサルト

南伸坊

 道を歩いている時に、いきなり私の頭の中で外人の名前らしき音が浮かんできた。それを口に出したわけじゃないけれども、私は「異言」というコトバを想起した。
 まるで、身におぼえのない人名なのだ。一体、誰なんだ? アンドレアデルサルト。
「アンドレアデルサルト、アンドレアデルサルト、アンドレアデルサルト」
 と、脳の神経回路をムダにその意味不明の人名はかけめぐった。
 しかし、いきなり湧いてきた時と同様に、唐突にアンドレアデルサルトの出所は判明したのだ。そうか! アンドレアデルサルトは夏目漱石の『吾輩は猫である』に出てきた人名だった。美学者・迷亭が持ち出して、その後頻出した。
 私はずっと、この人名を洋食屋で「トチメンボー」を注文する類の、つまり根っからのデタラメだと思っていた。私の中でアンドレアデルサルトは、単に長ったらしくて覚えにくい架空の人物の名前だった。
 ふと、イタズラを思いついたように、私はこの架空の人物の名前をネット検索してみたのだった。びっっっっくりした。アンドレアデルサルトは実在の人物だったのだ。
 アンドレア・デル・サルト「仕立て屋のアンドレア」はルネッサンス期のイタリアの画家、1486年7月16日に生まれ、1531年1月21日に死亡している。
 画像も沢山出てくるが、いままでに見たことのある絵が一枚もない。しかし、そうかあ、本当にいたんだアンドレアデルサルト……と私は嘆息したついでに、トチメンボーについても調べたくなって、今度は「広辞苑」でトチメンボーを引いてみて唖然とした。なんと、メンチボールの単なるダジャレと思っていたトチメンボーも、実在していた。
(もっとも実在しなければシャレにならない理屈だが)
 漢字で書くと、栃麺棒、栃麺をのばす棒とある。栃麺とは栃の実の粉を米粉または麦粉と共にこねて薄くのばし、そばのように製した食品のことだそうだ。
「おそるべきことだ」と私が思ったのは、こうしたことよりも、このように調べる過程で自分が夏目漱石の『吾輩は猫である』を読了しておらず、何度も挑戦を試みたが、その都度失敗していたこと、その途上で覚える意味もないと思っていた人名・アンドレアデルサルトは覚えてしまったけれども、『吾輩は猫である』を読了していないことは丸々忘れてしまったことだ。
 そして、何の脈絡もなく、憶える意味もないと思っていた人名を、道を歩いてる拍子に思いだすのである。人間の脳ミソの不思議といえる。
 夏目漱石の『吾輩は猫である』は、世間で代表作のように言われているけれども、読んだつもりで実は読了していない人が案外多いそうだ。私もまたそういう人間であったわけだが、そういう人間が、そうそうたる流行作家諸氏の書いた、漱石へのオマージュ、というよりも『吾輩は猫である』へのオマージュ小説集である本書の感想を述べるというのはいかがなものだろうか?
 っていうか「断わるだろフツー」と、読者は思うだろう。私も思う。しかし老人となって図々しくなった私は、この事実を白状しつつ、しかもこの小説集がおもしろかった事を主張しようと思っている。
 私は『吾輩も猫である』は読了した。そして、赤川次郎氏の新井素子氏の石田衣良氏の荻原浩氏の恩田陸氏の原田マハ氏の村山由佳氏の山内マリコ氏のすべてが、おそらく得意技をもって漱石の『吾輩は猫である』を、ひっくり返したり、もじったり、その構造を再現してみせたり、まるで違ったジャンルへワープさせてみたり、と、技術の限りをつくすのに驚いた。それぞれが現代小説の書き手として、漱石に書けなかった『吾輩は猫である』と『猫』を書いている。
 漱石よりずっと猫を愛しているのがアリアリと伝わる人、漱石より猫の生態にくわしく、その様を実感的に描き出した人、猫と人間のかかわりを、漱石よりずっと踏み込んだところで主張する人、漱石の小説の持つ、当時の読者への「新情報」的側面をみごとに現代に置きかえた人。
 そして、なんといっても、それぞれの作品すべてがきわめてコンパクトにできあがっている点で、漱石を大いに凌駕している。


(みなみ・しんぼう イラストレーター、エッセイスト)
波 2016年12月号より

目次

いつか、猫になった日  赤川次郎
妾は、猫で御座います  新井素子
ココアとスミレ  石田衣良
吾輩は猫であるけれど  荻原浩
惻隠  恩田陸
飛梅  原田マハ
猫の神さま  村山由佳
彼女との、最初の一年  山内マリコ

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