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火宅の人〔上〕

檀一雄/著

825円(税込)

発売日:1981/07/28

  • 文庫

妻子を放り、愛欲に溺れ、世界を彷徨し、すべてを失った男が独りで作る、タンシチューのなんと侘しいことか! 出版部 金寿煥

一郎は窃盗をやらかす。次郎は全身麻痺で寝たきり。弥太はまだヨチヨチ歩き。フミ子は鶏の餌を喰ってひよ子のように泣きわめく。サト子は生れたばかり。妻は主人の放蕩・濫費・狂躁を見かねて家出騒ぎ……。よしたとえ、わが身は火宅にあろうとも、人々の賑わいのなか、天然の旅情に従って己れをどえらく解放してみたい――。壮絶な逸脱を通して謳い上げる、豪放な魂の記録。

書誌情報

読み仮名 カタクノヒト1
シリーズ名 新潮文庫
発行形態 文庫
判型 新潮文庫
頁数 480ページ
ISBN 978-4-10-106403-1
C-CODE 0193
整理番号 た-5-3
ジャンル 文学賞受賞作家
定価 825円

著者プロフィール

檀一雄

ダン・カズオ

(1912-1976)山梨県生まれ。少年期に母が若い学生と出奔、その傷心が文学への原点となる。東大経済学部在学中の処女作が認められ、佐藤春夫に師事。「日本浪曼派」に加わるも、従軍と中国放浪の約十年間を沈黙。1950(昭和25)年、『リツ子・その愛』『リツ子・その死』を上梓して文壇復帰。1951年、『真説石川五右衛門』で直木賞受賞。死の前年まで二十年にわたって書き継がれた『火宅の人』により、没後、読売文学賞と日本文学大賞の両賞受賞。

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