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わたしの普段着

吉村昭/著

605円(税込)

発売日:2008/05/28

  • 文庫
  • 電子書籍あり

これぞプリンシプルのある人生――などと燥ぐと叱られますか、吉村さん? 静かな気骨に貫かれたエッセイ集。

かつて電車で目にした、席を譲られた老紳士の優美な仕種。我が家に家出娘を迎えに来た父親が農村の事情を語る言葉の奥深さ。結核による死を覚悟した頃を思えば感じる、今この時に生きる幸せ――。気取らず、気負わず、殊更には憂いを唱えず。いつも心に普段着を着て、本当に知った人生の滋味だけを悠悠閑閑と綴ってゆく。静かなる気骨の人、吉村昭の穏やかな声が聞こえるエッセイ集。

目次
i 日々を暮す
予防接種
ニンニンゴーゴー
大安、仏滅
店じまい
お食事
席をゆずられて
夫への不満
御自愛下さるように
雪国の墓
庭の鼠
世間は狭い
ii 筆を執る
歴史小説としての敵討
不釣合いなコーナー
短歌と俳句
最低点
順番待ち
詩心
志賀直哉の貌
私の仰臥漫録
資料の処分
小説に書けない史料
小説「大黒屋光太夫」の執筆
iii 人と触れ合う
味噌漬
変人
恩師からの頂戴物
齋藤十一氏と私
「正直」「誠」を貫いた小村寿太郎
雲井龍雄と解剖のこと
秀れた研究者
長崎のおたかちゃん
黒部に挑んだ男たち
初老の男の顔
歴史に埋もれた種痘術
獄舎で思い描いた女人像
献呈したウイスキー
赤いタオルの鉢巻
葬式の名人
iv 旅に遊ぶ
朝のうどん
一人で歩く
長崎奉行のこと
朝のつぶやき
「霰ふる」の旅
乗り物への感謝
ホテルへの忘れ物
日露戦争 人情の跡
v 時を歴る
床屋さん
雪の舞うふる里
武士も斬りたくない!?
雪柳
「大正十六年」の漂流船
血染めのハンカチ
火事のこと
小津映画と戦後の風景
浜千鳥
あかるい月夜
トンボ
闇と星
家系というもの
解説 最相葉月

書誌情報

読み仮名 ワタシノフダンギ
シリーズ名 新潮文庫
発行形態 文庫、電子書籍
判型 新潮文庫
頁数 336ページ
ISBN 978-4-10-111749-2
C-CODE 0195
整理番号 よ-5-49
ジャンル エッセー・随筆
定価 605円
電子書籍 価格 605円
電子書籍 配信開始日 2013/05/03

著者プロフィール

吉村昭

ヨシムラ・アキラ

(1927-2006)東京・日暮里生れ。学習院大学中退。1966(昭和41)年『星への旅』で太宰治賞を受賞。同年発表の『戦艦武蔵』で記録文学に新境地を拓き、同作品や『関東大震災』などにより、1973年菊池寛賞を受賞。以来、現場、証言、史料を周到に取材し、緻密に構成した多彩な記録文学、歴史文学の長編作品を次々に発表した。主な作品に『ふぉん・しいほるとの娘』(吉川英治文学賞)、『冷い夏、熱い夏』(毎日芸術賞)、『破獄』(読売文学賞、芸術選奨文部大臣賞)、『天狗争乱』(大佛次郎賞)等がある。

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