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NHK人気番組から生まれた江戸案内「グルメ」で「かかあ天下」で「超リサイクル社会(スーパーロハス)」な世界都市・お江戸が丸わかり。著者イラスト入り。

お江戸でござる

杉浦日向子/監修

562円(税込)

本の仕様

発売日:2006/07/01

読み仮名 オエドデゴザル
シリーズ名 新潮文庫
発行形態 文庫
判型 新潮文庫
ISBN 978-4-10-114920-2
C-CODE 0195
整理番号 す-9-10
ジャンル 文化人類学・民俗学、日本史
定価 562円

日本中にお江戸ブームを浸透させたNHK人気番組の名物コーナーがついに文庫化。「瓦版」「浮世絵」「花魁」「戯作者」「相撲」「花見」「蕎麦」「豆腐」「富くじ」など、江戸の庶民の日常が手に取るようにわかる。日向子さんは、江戸の街角からこちらに語りかけているからだ。幽霊と共に生き、娯楽を愛し、かかあ天下だった世界都市・お江戸の最良のハンドブック。著者イラスト入り。

著者プロフィール

杉浦日向子 スギウラ・ヒナコ

(1958-2005)東京生れ。文筆家。「通言室乃梅」で漫画家としてデビュー。以来、一貫して江戸風俗を題材にした作品を描き、1984(昭和59)年『合葬』で日本漫画家協会賞優秀賞、1988年『風流江戸雀』で文藝春秋漫画賞を受賞。『二つ枕』『百日紅』『東のエデン』『ゑひもせす』など漫画作品のほか、『江戸へようこそ』『大江戸観光』『隠居の日向ぼっこ』『お江戸風流さんぽ道』などエッセイストとしての著書も多いが、『ごくらくちんみ』『4時のオヤツ』では小説家としても腕の冴えを見せた。2005(平成17)年7月、下咽頭がんのため46歳で逝去。最後まで前向きで明るく、人生を愉しむ姿勢は変わらなかった。

書評

波 2006年7月号より しみじみと、ふんわりと 杉浦日向子さん一周忌によせて  『お江戸でござる』『ごくらくちんみ』『4時のオヤツ』新潮文庫三冊同時刊行

畠中恵

 初めて読んだ杉浦日向子さんの作品は、漫画だったと覚えています。
時代小説はよく読んでいたものの、当時の私にとって、江戸時代の市井を描いた漫画は、珍しいものでした。
読み返したおりには、描かれている江戸っ子の髷が、随分と細くて後ろの方についているなぁとか、女の人の髷に、色々な種類があるみたいだとか、テレビで見ている時代劇との違いに、目が行きました。
しかし最初はそういったことより、作中の江戸の、ゆったりとした、そして肌に触れてくるがごとき雰囲気に、大層心地よく浸ったように思います。
それは、地上の乏しい明かりが届かぬ江戸の夜空に、煌々と白く光る月光の明るさを描いたようでありました。また、舗装しておらず突き固めてあるばかりなので、砂埃が舞い雨でぬかるむ道の、いささか難儀な泥の感覚でもあったと思います。
その感触は、空の星が見えにくくなるほどに、明かりの絶えない夜や、水たまりの跳ね返りすら無い道に慣れてしまった今の暮らしから、どうにも遠くなってしまったものやもしれません。頭の中で思っているよりも、もっと肌感覚からは遠ざかってしまったもの。杉浦さんの漫画は、そんなものを持っている気がするのです。
そうして杉浦さんのファンとなりました私は、番組の最後の方で、杉浦さんが「おもしろ江戸ばなし」の解説をしておいでだった、NHKの「お江戸でござる」もよく見ておりました。
面白さと、いささか滑稽な感じの漂う、時代物の短いお芝居も面白かったのですが、やはり楽しみにしていたのは、その後杉浦さんがなさった江戸についての解説でした。
何百年か前の時代を語るそのお話は、面白かった上に、錦絵やセットで形を示してあったりして、分かりやすいものでした。知っているようで知らない、江戸の頃の事実を色々聞くことができる、見逃せないひとときだったと思います。
また杉浦さんは漫画だけでなく、他にエッセイやショートストーリーなども書かれていました。一連のお話を思い浮かべるとき、真っ先に頭に浮かぶ言葉があります。それは「美味しそう」という一言です。
文章は現代を書かれたときでも、どこか洒脱な感が漂う、すっきりとしたものでした。そこによく、何とも心引かれる美味しそうな一品が、ひょっこりと顔を出しているのです。
ことに酒の肴が、目を引きましたね。杉浦さんは大層お酒に強そうだなぁ、などと勝手に思い描きつつ、己も少しは粋に飲んでみたいものだと思ったものでした。
そして作中に甘味が顔を出してくると、今度は酒の代わりに、珈琲か紅茶かハーブティーが欲しくなったりします。楽しく読んでいる文章の中に甘いものが出てくると、不思議と口にしたくなったりしませんか?
そうなったら本を一時閉じて、あり合わせの甘味を、本の中の一品の代わりに出すことになります。飲み物を添えてから、またページをめくると、時間がゆったりと流れていってくれるのでした。
杉浦さんが書かれた短いお話を読むと、その話が始まる前と、終わった後に、流れてゆく長い時があるように思えたものでした。登場人物達が過ごしている、日常の別のひとこまが、浮かんでくるのです。
話の中で垣間見た恋の続き。翌日出会った美味しい食べ物。先週行った面白そうな場所。一月後に見かけた、面白い出来事。そんな話をまた読みたくて、次の本に手を伸ばしていたのかもしれません。
終わって欲しくないと思える話ほど、物凄く早く、ラストに行き着くような思いをしたことがあります。そういうときは、終わる少し手前で、ちょっとだけ本を閉じてしまったりするのですが……先が気になるので、直ぐに開けてしまって、やっぱり早々に読み終わってしまうのでした。楽しい一日だと、時間の経つ速さに加速がつくのと同じです。
杉浦さんの書かれるものは、そんなお話だったように思うのです。
もう一度、そして新しい気持ちを持って時々読み返しては、一緒に時を重ねてゆく。そんな話を書かれる方でした。

(はたけなか・めぐみ 作家)

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