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歴史巨編、ここに完結。ローマ帝国はいつ、どのようにして滅びたのか。

ローマ人の物語 42―ローマ世界の終焉〔中〕―

塩野七生/著

464円(税込)

本の仕様

発売日:2011/09/01

読み仮名 ローマジンノモノガタリ42ローマセカイノシュウエン2
シリーズ名 新潮文庫
発行形態 文庫
判型 新潮文庫
ISBN 978-4-10-118192-9
C-CODE 0122
整理番号 し-12-92
ジャンル 世界史
定価 464円

屈辱的な首都の劫掠の後、帝国の本国たるイタリア半島には一時的な平和が訪れた。ガリアでの地歩を固めたい蛮族が共食い状態になったためだ。しかし、ホノリウスが長い治世を無為に過ごして死んだのち、権力は皇女や軍司令官らの手を転々と渡り、二年にもわたる内戦状態にさえ陥った。そして運命の四七六年、皇帝が蛮族の手によって廃位され、西ローマ帝国は偉大なる終わりの瞬間をもつこともなく、滅亡の時を迎えることになった――。

著者プロフィール

塩野七生 シオノ・ナナミ

1937年7月7日、東京に生れる。学習院大学文学部哲学科卒業後、1963年から1968年にかけて、イタリアに遊びつつ学んだ。1968年に執筆活動を開始し、「ルネサンスの女たち」を「中央公論」誌に発表。初めての書下ろし長編『チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷』により1970年度毎日出版文化賞を受賞。この年からイタリアに住む。1982年、『海の都の物語』によりサントリー学芸賞。1983年、菊池寛賞。1992年より、ローマ帝国興亡の歴史を描く「ローマ人の物語」にとりくみ、一年に一作のペースで執筆。1993年、『ローマ人の物語I』により新潮学芸賞。1999年、司馬遼太郎賞。2001年、『塩野七生ルネサンス著作集』全7巻を刊行。2002年、イタリア政府より国家功労勲章を授与される。2006年、「ローマ人の物語」第XV巻を刊行し、同シリーズ完結。2007年、文化功労者に選ばれる。2008-2009年に『ローマ亡き後の地中海世界』(上・下)を刊行。2011年、「十字軍物語」シリーズ全4冊が完結。2013年、『皇帝フリードリッヒ二世の生涯』(上・下)を刊行。2017年、「ギリシア人の物語」シリーズ全3巻を完結させた。

目次

カバーの金貨について

第二部 ローマ帝国の滅亡(紀元四一〇年―四七六年)
覇権国の責務/進む蛮族化/「三分の一システム」/東ローマ帝国/女と権力/「軍司令官(マジステル・ミリトウム)」たち/「軍司令官」ボニファティウス/ヴァンダル族/聖アウグスティヌス/「軍総司令官」アエティウス/瓦解(がかい)/フン族/アッティラ/シャンパーニュの会戦/ヴェネツィア誕生/自壊/再度の「ローマ劫掠(ごうりゃく)」/最後の二十年/東西最後の共闘/ローマ帝国滅亡
図版出典一覧

インタビュー/対談/エッセイ

波 2011年9月号より [塩野七生『ローマ人の物語』新潮文庫版完結記念インタビュー] 拘置所で読んだ『ローマ人の物語』

村木厚子

突然の逮捕ののち、拘置所で過ごした苛酷な日々。そこで読んだあの歴史巨編が、私を仕事の現場へと引き戻した――。地検特捜部に打ち克った女性キャリア官僚が語る、塩野作品の魅力とは。

塩野七生さんの作品は『男たちへ』などのようなエッセイ集が出るたびに読んでいましたが、『ローマ人の物語』はあれだけの大長編ですから、いつかは読みたいと思いつつも日々の仕事に追われ、「読めるのは定年退職後かなあ」と思って過ごしていました。手にとるきっかけになったのは、二〇〇九年六月に、まったく身に覚えのない容疑で逮捕されたことでした。

 拘置所での出会い

保釈申請がなかなか認められず、身柄の拘束は百六十四日にも及びましたが、勾留された大阪拘置所では本を読む時間だけはたっぷりとありました。さまざまな本を差し入れてもらい、およそ百五十冊の本を読みました。勾留されて三ヶ月ほどたったころ、今だったら『ローマ人の物語』が読めるぞと気がつき、夫に文庫本を差し入れてもらって、二日に一冊ぐらいのペースで読んでいきました。
検察の取り調べを受けている間は可能な限り仕事のことは考えないように努めていました。逮捕・勾留され、仕事をしたくてもできない状況の中で仕事のことを考えると、辛くなるばかりだったからです。しかし『ローマ人の物語』を読み進めていると、否応なく仕事の感覚に引き戻され、大きな制度改革をする時に、どうしたらうまく行くかというようなことを、懸命に読みとろうとしている自分を発見しました。古代ローマ帝国の皇帝たちは、さまざまな時代や環境に必死になって対応していきますが、その軌跡を追いかけ、読み進めていくと、二千年も前の話なのに実に生々しく感じられるのです。

 改革者はどこからやってくるのか

『ローマ人の物語』には、社会を大きく変えたリーダーたちが描かれますが、興味深いのは塩野さんが「改革の主導者とはしばしば新興の勢力よりも旧勢力の中から生まれるものである」と述べていることです。理想に走りすぎず、現実を厳しく見つめ、それを踏まえた上で歩みを進められる、あるいは過激な改革を目指しつつも、現状維持を望む人たちが受け入れられる形として提示できる、そういう人々こそが改革へと向かい、成し遂げることができるのかもしれません。ローマが共和政から帝政へと移行するプロセスなどはまさにこの典型のように思います。
私は行政官ですが、自分の仕事を振り返ってみて、何かを変えなくてはいけないという時にそれが大きな変化であればあるほど、理想に走るだけでは失敗すると思っていましたが、『ローマ人の物語』を読み、その実感を深めました。この本は現実に向き合い、社会を変えていくためには何が必要なのかを“考えるヒント”に満ちています。
そもそも役人というのは技術者に似たところがあります。技術的に優れた製品だから売れるはずだと考えるように、考え方が正しければ法案は国民に受け入れられるはずだと思いがちなのです。しかし理論的に「正しい」だけでは広く国民の理解は得られない。実際に法律や制度が施行され、利用される現場を皮膚感覚で理解していないと、本当にいい制度は作れません。治世の大半を帝国全土の視察に費やし、安全保障制度が機能しているかを見守った皇帝ハドリアヌスを私はとても尊敬します。塩野さんが「システムとは、……一般の人々の力に合致し、その人々の必要性までも満たすものでなければならない」と書いているのは至言です。
政治や行政の現場では、絶対に必要だけれども痛みを伴う改革が必要なこともあります。国民に歓迎されないことをお願いしなくてはならない場合がある。その時にどのような言葉で国民に伝えていけばいいのか。塩野さんが、為政者に求められる条件として知性や肉体上の耐久力、自己制御能力、持続する意志とともに、“説得力”を挙げる理由がよくわかります。部下である兵士に、あるいは民衆に対して皇帝たちは何を、どう語り、どう振舞ったのか。そういう場面を探しながら読み進めていました。

 日記と読書カード

拘置所では、つけていた日記に印象に残った言葉をメモしていましたが、『ローマ人の物語』のように、きっとこの言葉はあとあとまでいろいろなことを考えるヒントになるだろうという言葉は、保釈後その日記をもとに読書カードを作り、いつでも読み返せるようにしました。仕事をしていく上でのさまざまな場面で活きる、具体的で汎用性のある言葉が本当に多くあります。一番に印象に残った言葉はやはり、「人間ならば誰にでも、現実のすべてが見えるわけではない。多くの人は、見たいと欲する現実しか見ていない」というカエサルの言葉です。いつも、この言葉を思い出して、自戒しています。
『ローマ人の物語』は大長編ですが、歴代の皇帝が主人公の、一貫した「人間」の物語です。歴史や政治を知らなくても楽しむことができます。ぜひ、若い人たちにも読んでほしい。二人の娘たちにも薦めています。そして、家族でローマに行ってこの物語の舞台を歩いてみたいと思っています。

(むらき・あつこ 内閣府政策統括官)

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