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「仁義なき戦い」「極妻」シリーズ……数々の傑作を世に送り出した映画人、激動の半生記。

シネマの極道―映画プロデューサー一代―

日下部五朗/著

529円(税込)

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発売日:2015/11/01

読み仮名 シネマノゴクドウエイガプロデューサーイチダイ
シリーズ名 新潮文庫
発行形態 文庫、電子書籍
判型 新潮文庫
ISBN 978-4-10-120236-5
C-CODE 0195
整理番号 く-51-1
ジャンル 演劇・舞台、映画
定価 529円
電子書籍 価格 583円
電子書籍 配信開始日 2016/04/15

東映入社以来、プロデューサーとして関わった映画は130本以上。深作欣二や五社英雄といった一癖も二癖もある名物監督を盛り立て、高倉健や菅原文太、藤純子や岩下志麻のような名優たちと組んで、「仁義なき戦い」や「極妻」シリーズに代表される昭和の傑作を数多く世に送り出した。さらにカンヌ映画祭をも制した稀代の映画人が明かす激動の半生記にして貴重な戦後映画秘史!

著者プロフィール

日下部五朗 クサカベ・ゴロウ

1934(昭和9)年、岐阜県生れ。早稲田大学卒業後、東映に入社。京都撮影所でプロデューサーとなり、1963年「変幻紫頭巾」でデビュー。「日本侠客伝」「緋牡丹博徒」シリーズなどの任侠もの、「仁義なき戦い」に代表される実録やくざ路線、「柳生一族の陰謀」などの大型時代劇、「鬼龍院花子の生涯」「極道の妻たち」シリーズなどの〈女〉路線、カンヌ映画祭パルムドールを受賞した「楢山節考」など130本以上の映画をプロデュースした稀代のヒットメーカー。

目次

1 カンヌ映画祭
2 昭和三十二年のビフテキ・サンド
3 東映城の下で
4 やくざ映画のカード
5 庶民の期待する映画
6 ネチョネチョ生きとるこっちゃ
7 姓は矢野、名は竜子
8 一九七三年一月十三日
9 撮れい、撮ったれい!
10 ナベさんの脚本家訪問
11 実録路線のスワン・ソング
12 そして、高倉健がいなくなった
13 右翼のBGM
14 夢でござる!!
15 トラブル! トラブル!!
16 岡田茂攻略法
17 やりまくる話ですわ!
18 五社英雄というをのこ
19 映画監督列伝
20 プロデューサーの映画にしよう
21 女優の脱がし方なんて
22 王様は三人いる
23 異端児として突破せよ
〈巻末〉日下部五朗プロデュース全作品
解説  春日太一

コラム 新潮文庫で歩く日本の町

宮崎香蓮

 ドラマ「遺留捜査」(テレビ朝日系 木曜夜8時~)の撮影で東映京都撮影所に通っています。例の太秦映画村がある、歴史を誇る撮影所で、ここで長期間撮影できるなんてと、ずいぶん気持ちがアガりました。
 というわけで、今回はその撮影所で130本以上の映画を作った名プロデューサーの自伝です。日下部さんは、高倉健さん、藤純子さんたちと任侠映画を盛り上げ、菅原文太さんたちと「仁義なき戦い」などの実録路線を作り、「楢山節考」でカンヌ映画祭パルムドールを取って、さらに「鬼龍院花子の生涯」や「吉原炎上」や「極道の妻たち」などヒット作を生み続けた方。
 今からちょうど60年前、1957(昭和32)年に、日下部青年は早稲田を卒業して東映へ入社します。監督志望だったのですが、「体もでかいし、力もありそうだし」と言われてプロデューサーの道に進むことになります。「プロデューサーと体力は関係なく思えたけれど(略)態のいい雑役夫みたいなものだから頑健でないとやっていけないのだ」。
 そしてその頃の「気が荒く、口のうるさい猛者が揃っていた」東映京撮では、「京都の職人世界らしいイジメもあった」というのですが(京都に行くまでは私も少し怯えていましたが)、今は全然そんなことはありませんでした! しかし、この本に出てくるスタジオや俳優会館(たくさんの楽屋があるビルです)や食堂(この前行ったら、肉うどんが安くて美味しかった)はちゃんと健在なので、何だか嬉しくなります。
 今と違うのは、当時は日本映画の黄金時代で(観客数は今の10倍)、しかも「時代劇の東映」は映画会社の中でも断然トップで、第二東映という会社まで作り、京撮では同時に十本の映画が作られていたそうです。しかし、「三日に一本完成させないといけない(略)粗製濫造になってしまった」。
 たちまち第二東映はなくなり、東映本体も、そして映画界自体の成績も下がってきて、そこから日下部青年や岡田茂撮影所所長(のち社長)などの戦いが始まるのですが、どれもこれも、まあ豪快な話ばかりで、ほとんど観たことのない映画の話ばかりなのに、読んでいて全然飽きません。「映画はスケベが作るに限るのである」なんて名言?まであり、あまりに自己正当化ぽくて笑ってしまいました。
 心に残ったのは、「王様は三人いる」という言葉で、撮影が始まる前はプロデューサーが王様、撮影中は監督が王様、封切られたらお客さんが王様だ、と日下部さんは言います。また、カンヌには岡田茂社長も今村昌平監督も来なかったおかげで、「楢山節考」は「あれ、おれの映画なんです」と言えた、という箇所も印象的でした。
 私はある監督さんに、ずいぶん芝居をしごかれたことがあって、それは幸せなことでしたし、結果にも満足しました。しかしその過程はお客さんに見せなくていいことで、画面に映っていることが全て。この本を読んで、映画って、お客さんのものでもあるけど、プロデューサーでも監督でも俳優でも(他の関わった人たち全員が)、「あれ、わたしの映画なんです」と言えるものだなあと改めて思いました。みんなで責任を持って、一蓮托生の気持ちで作っていくんだ。そんなことを考えながら夏の京都に通っています。

(みやざき・かれん 女優)
波 2017年8月号より

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