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呪いの時代

内田樹/著

693円(税込)

発売日:2014/06/27

  • 文庫

「呪い」を解く鍵ってなんだろう。他人を呪うことは、自分を呪うこと。ありのままの自分を愛し、もっと他人を祝福しよう……! ベストセラー『日本辺境論』に続く、ウチダ的「日本人論」。

「私には言いたいこと、言わねばならぬことがある」――哲学者レヴィナスの言葉を反芻するように、内田樹は「呪詛の時代」と真正面から向き合い、生き抜く叡智を語り続ける。アイデンティティーの崩壊、政治の危機、対米戦略、ネット社会の病理、そして未曾有の震災……。注目の思想家・武道家が、身体に即して問い、他者への祝福を鍵に現代を論じる、今を生きる人びとへの贈り物。

目次
I 日本のことを考える
第1章 呪いの時代
「情理を尽くして語る」
「呪い」は破壊を目指す
自己評価と外部評価
無根拠な楽観
無差別殺人と「ほんとうの私」
「ロストジェネレーション」
「祝福する」
第2章 「祝福」の言葉について
「利己的」と「自分らしさ」
絶対不敗のウェポン
ニヒリズムへの帰着
抑制が効かない記号化
記号としての身体
姿なき「支持者」
「一誠」に託された祈り
呪いと祝福について
生は汲み尽くせない
第3章 「後手」に回る日本
オバマの手際
覇権国家の秘密
アメリカの「設計図神話」
「後手」に回る日本
日本政治の「風土病」
政治家の言葉は軽いもの
公人は「推定有罪」
「ほんとうの私」と「仮象の私」
政治思想の死滅
近視眼的、刹那的、表層的
政治的危機の核心
第4章 英語が要らない奇跡の国
日本の幸運
世界でも例外的な日本
日本語の「近代化」
「翻訳文化」の伝統
漢字文化圏の破壊的な事態
植民地主義マインド
池部良の英語体験
第5章 「婚活」と他者との共生
適職イデオロギー
エンドレスの顧客
ビジネスモデルの使い回し
同じようなものだよ
「結婚できる能力」
第6章 「草食系男子」とは何だったのか
とにかく「弱い」
「権利請求」の戦略
「世渡り術」からのスピンオフ
リスクを忌避したい
傷つきやすさが前面に
ペルソナが解離している
問題は「割り方」
ペルソナの品ぞろえ
第7章 『日本辺境論』を超えて
『日本辺境論』の構造的三本柱
地殻変動的変化
ものをぐるぐる回す
「金で金を買う」
エンゲルスは間違っていた
階層化の進行
典型的な「強者連合」
例外的歴史的状況は終わった
「交換経済」から「贈与経済」へ
エンドレスの商品リスト
本質的に無理筋
「贈る」のはむずかしい
ぜにのないやつぁ俺んとこへこい
第8章 これからを生き延びる智恵
「片づかなさ」の人間性
価値を賦与する権利
どのような返礼をなしたか
知性のまっとうな使い方
鳴り響くアラーム
「炭坑のカナリア」
「おまえ死ぬよ」
第9章 神の言葉に聴き従うもの
死者に語りかける言葉
どうしても言いたいこと
読者の知性に対する敬意
命がけの跳躍
深い敬意を込めよ
パーソナルなメッセージ
自己超克の可能性
II 未曾有の震災の後に
第10章 荒ぶる神を鎮める
荒ぶる神の鎮め方
原発供養
人間が人間であるための神について
地震と津波の傷は癒える
福島原発の事故は人災だ
「専門家」の不在が不幸を呼んだ
原発はビジネスにならない
危機時に「正解」はない
疎開のすすめ――一極集中から多極化へ
弁慶のデインジャー対応について
第11章 戦争世代と科学について
科学と身体
「科学的」とは何か
木で鼻を括るな
反証可能性
「もう何も信じない」を信じる
あとがき
文庫版あとがき
解説 森田真生

書誌情報

読み仮名 ノロイノジダイ
シリーズ名 新潮文庫
発行形態 文庫
判型 新潮文庫
頁数 352ページ
ISBN 978-4-10-126061-7
C-CODE 0195
整理番号 う-22-1
ジャンル 哲学・思想、思想・社会
定価 693円

著者プロフィール

内田樹

ウチダ・タツル

1950(昭和25)年、東京生れ。神戸女学院大学名誉教授。武道家、多田塾甲南合気会師範。東京大学文学部仏文科卒業。東京都立大学大学院人文科学研究科博士課程中退。専門はフランス現代思想、武道論、教育論、映画論など。主著に『ためらいの倫理学』『レヴィナスと愛の現象学』『ぼくの住まい論』『日本の身体』『街場の戦争論』ほか多数。『私家版・ユダヤ文化論』で小林秀雄賞、『日本辺境論』で新書大賞受賞、著作活動全般に対して伊丹十三賞受賞。神戸市で武道と哲学のための学塾「凱風館」主宰。

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