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さいごの色街 飛田

井上理津子/著

825円(税込)

発売日:2015/01/28

  • 文庫

人間の性むき出しの街で懸命に生きる人々。取材期間十二年。傑作ルポ、待望の文庫化!

「おにいちゃん、遊んでいってや」客引きのおばちゃんの手招きで、男が一人、また一人と店に上がる。大阪に今なお存在する「色街」飛田。経営者、働く女たち、客、警察、ヤクザらの生の声に耳を傾け、「中」へと入り込んだ著者が見たものは、人間の性むき出しの街で懸命に生きる人々の姿だった。十二年にわたる取材により、一筋縄ではいかないこの街を活写したルポルタージュの傑作。

目次
はじめに
第一章 飛田に行きましたか
ある日の飛田/普通の男/「神技」のよう/二十分間の疑似恋愛/「不倫するより健全」/エリートサラリーマン/百五十回行った男/「当たり前」だった時代/無礼講OK/男友達に上がってもらう/老人ホームの車を見た
第二章 飛田を歩く
飛田への道/抱きつきスリ/大門と嘆きの壁/「料亭」と「鯛よし百番」/飛田の“外”意識/「おかめ」のマスター/深夜の「おかめ」にて/語ってくれたおねえさん/飛田料理組合/菩提寺
第三章 飛田のはじまり
市会議員の汚職/反対運動と、知事の「置き土産」/大門と開廓当初の街/「居稼」の仕組み/飛田の特徴と花代/娼妓は売られてきた/前借と阿部定/娼妓の暮らし/難波病院と篠原無然/楼主たち/飛田会館/戦前の最盛期
第四章 住めば天国、出たら地獄――戦後の飛田
焼け残る/赤線、青線、ポン引き、カフェー/売春防止法/苦肉の策/一斉取締り/「アルバイト料亭」へ/一九六〇年、黒岩重吾レポート/西成暴動/女性の「保護」/「アホほど儲かった」/住めば天国、出たら地獄/喫茶店ママの「女の子」雑感
第五章 飛田に生きる
「さわったらあかん」の掟/夏まつり/原田さんの本当の経歴/開かずの間/舐めたらあかん/古びたアパートで/夫婦の履歴/欲と二人連れ/不動産屋にて/初めてのヤクザ取材/組事務所を訪ねる/求人
第六章 飛田で働く人たち
事務所再訪と、消えた「おかめ」/料亭の面接/西成警察、大阪府警/ビラを配る/二十九歳の女の子/元“お嬢”/彼氏は「借金まみれ」/まゆ美ママ/飴と鞭/商売哲学/タエコさん/原田さんとの再会
あとがき
文庫版あとがき
解説 桜木紫乃
主要参考文献

書誌情報

読み仮名 サイゴノイロマチトビタ
シリーズ名 新潮文庫
発行形態 文庫
判型 新潮文庫
頁数 496ページ
ISBN 978-4-10-126391-5
C-CODE 0195
整理番号 い-121-1
ジャンル ノンフィクション
定価 825円

著者プロフィール

井上理津子

イノウエ・リツコ

1955(昭和30)年、奈良市生れ。フリーライター。京都女子大学短期大学部卒。タウン誌記者を経てフリーに。人物ルポや旅、酒場をテーマに執筆してきた。2010(平成22)年、長く暮らした大阪から、拠点を東京に移す。著書に『さいごの色街 飛田』『葬送の仕事師たち』『親を送る』『関西かくし味』『遊廓の産院から』『名物「本屋さん」をゆく』『旅情酒場をゆく』『はじまりは大阪にあり』『大阪下町酒場列伝』『すごい古書店 変な図書館』、『ポケット版 大阪名物』『関西名物』(共著)など。

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