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悪人正機

吉本隆明/著 、糸井重里/聞き手

605円(税込)

発売日:2004/11/28

  • 文庫

「ほとんどの人が本当は友達ゼロ」「役に立たない旅でいいじゃないか」こんな先生が欲しかった!──絶妙の掛け合いから生まれた逆説的人生論。

例えば、「生きる」ってなんだ? という問いにいわく「泥棒して食ったっていいんだぜ」――。ほかにも「働くのがいいなんてウソだよ」「円満な家庭なんてねえんだよ」「有名になるっておっかないことだ」……。糸井重里が、吉本隆明から引き出すコトバの数々。驚きに充ちた逆説的人生論だ。「今、中学と大学が危ない」と考える吉本さんが、若者から大人まで元気づけてくれる一冊である。

目次
ほんとのことを言う人との時間――まえがき 糸井重里
「生きる」ってなんだ?
「泥棒して食ったっていいんだぜ」と言われたことがある
たどりついたのは、「死」は自分に属さないという考え方
頭だけじゃダメ。手を使わなきゃ何もできない
鈍刀のほうが、実はよく切れるんだぜ
今の時代、「これがいい」という生き方なんてない
「友だち」ってなんだ?
「人助け」なんて誰もできないって親鸞は言ってる
ケンカはしたほうがいい
自分の記憶の中にのみ、友だち関係は残るんだ
「純粋ごっこ」の時期を除けば、この世は全部ひとりひとり
結局、人生というのは孤独との闘いなんだ
「挫折」ってなんだ?
終戦の日、捉えどころのない挫折感を味わった
六〇年安保の時も、実は、もみ合いながら醒めていた
挫折なんて、しようと思ったってできないんだ
「殺意」ってなんだ?
「殺意」は今の社会の象徴的な感情かもしれない
専門家の言う「正常」の範囲は、もう現実には通用しない
「殺意」は持つだけなら異常でもないし、法的にも問題なし
「仕事」ってなんだ?
なんで仕事ってするんだろう
働くのがいいなんて、それはウソだよ
さしあたり自分の機能を高めていくのが問題だ
仕事がほんとうにイヤになったらどうする
「物書き」ってなんだ?
僕が詩を書き始めたのは、自己慰安からだった
日本語の極限まで行っちゃうのがプロの詩人だ
とにかく、あんまり焦らないほうがいいぜ
「理想の上司」ってなんだ?
仕事ができて、自由な雰囲気をつくってくれる人なんだろうな
上司以上に大切なのは、実は「建物」なんだ
いいリーダーにはなれないけど、いい親になら……
「正義」ってなんだ?
善悪の基準はどこにある?
アメリカの正義は主観的なおせっかいだ
そんなに「正義」はすばらしいか
「国際化」ってなんだ?
都会には慣れておいたほうがいい
欧米から学ぶものは、もう何もない
フランスの国際化は、今スゴイところまで行っている
近代国家を超えるときは、過去も超えなきゃいけない
「宗教」ってなんだ?
オウムは排除すべきか
実は唯物論より宗教のほうに、はるかに興味がある
「信ずること」と「科学的に明瞭なこと」をつなげたい
「戦争」ってなんだ?
戦争の現実は、イメージとは全然違う
これからの日本に、果たして革命は起こるか
現在は日本の「第二の敗戦」だと思ってる
「日本国憲法」ってなんだ?
どの国と比べても、日本の憲法は圧倒的にいい
核戦争が起こったら、という考え方がダメ!
これから日本がとるべき積極的な国防とは?
「教育」ってなんだ?
大学に行くのは、失恋の経験に似ている
今、中学と大学が危ない!
知識も、細部のところでずいぶん余計なことをしている
「家族」ってなんだ?
円満な家庭なんて、そんなものはねえんだよ
家庭の数だけ、実験は繰り返される
子供のために、一年だけは我慢せえ!
浮浪者的「自由」への憧れは、誰にもある
「素質」ってなんだ?
素質が問題になるのは、一丁前になってから
才能や素質が、じゃまになるってこともある
自分の領域を知るって難しい
モテる、モテないは距離の問題なんだ
「名前」ってなんだ?
そもそも「名前」ってのは、いったいなんなんだ
名前には人間をおかしくさせる何かがある
有名になりたい気持ちは、宝くじを買うときの気持ちと同じ
「性」ってなんだ?
性に関する表現の見方? よくわかりません
性的な表現への制約は、「昔返り」に対する危機感から?
性の規制は、賛成・反対のレベルでは考えようがない
ゲイは「純粋ごっこ」のひとつのカタチだと思う
「スポーツ」ってなんだ?
野球は、選手の心理状態を見るのがおもしろい
典型的なスポーツマンは、ちょっと苦手だな
「旅」ってなんだ?
「役に立たない旅」でいいじゃないか
無人島に持っていく一冊は『国歌大観』
「ユーモア」ってなんだ?
ユーモア? 僕自身にとっては必要ないな
「ユーモア」は、生きる力そのものに関わっている
「ユーモア」ってのは、小さい頃からの修練によるのかも
「テレビ」ってなんだ?
テレビを見るのは、たださみしいから
テレビに出ないのは、なぜ?
「ネット社会」ってなんだ?
メディアの発達と人間の精神の発達は、無関係だ
マルチメディアの基本にあるのは、「利益」と「損害」だ
重要なのは、人間の魂に関わることだけ
「情報」ってなんだ?
「酸素」と「水素」を見つければ、「水」ができる
目の当たりにしたほうが、見誤ることもある
「言葉」ってなんだ?
「J文学」はパートの文学。時間給でやってる感じ
日本語のリズムと使われ方が、今、変わりつつある
方言と外国語の違いは、地続きだと思っている
言葉の成立には、全然根拠がないんだ
「声」ってなんだ?
綾戸智絵の声には、とにかくびっくりした
折口信夫は、『源氏物語』に「声」を感じた
「文化」ってなんだ?
違う要素がうまくくっついているのが、「おしゃれ」かな
これからの文化を支えるのは、第三次産業的な「週刊誌」だ
「株」ってなんだ?
株は社会における一種の呼吸作用だ
本気でやらなきゃ、やっぱり儲かんねえぞ
「お金」ってなんだ?
借金も財産と思えなければ、お金のチャンピオンにはなれない
お金に感じる「得体の知れなさ」ってなんだろう
病院からもどってきて
リハビリ訓練は、バカバカしいからしたくない
意識的であるうちは、だめだ
大まじめは、だめです
自然体で続けるということ
自己評価より下のことを
「逸らさない」という魅力
病院は、監獄と変わらないじゃないか
管理されている者の利益を第一とする
正直に、つまらないことを、言う
わかったってどうってことない話は、もう結構
数百万年前から数十万年前までのあいだ
中でもって、中がわかるということ
あとがき 吉本隆明

書誌情報

読み仮名 アクニンショウキ
シリーズ名 新潮文庫
発行形態 文庫
判型 新潮文庫
頁数 352ページ
ISBN 978-4-10-128922-9
C-CODE 0110
整理番号 よ-20-2
ジャンル エッセー・随筆、評論・文学研究、哲学・思想、ノンフィクション、ビジネス・経済
定価 605円

著者プロフィール

吉本隆明

ヨシモト・タカアキ

1924(大正13)年、東京・月島生れ。2003(平成15)年、『夏目漱石を読む』で小林秀雄賞受賞。文学、社会、政治からテレビ、料理、ネコの世話まであらゆる事象を扱う「思想界の巨人」。主な著書に『吉本隆明全詩集』『共同幻想論』『ハイ・イメージ論』『なぜ、猫とつきあうのか』『日本人は思想したか』『親鸞』『超「戦争論」』『超恋愛論』『日本語のゆくえ』など。

糸井重里

イトイ・シゲサト

1948(昭和23)年、群馬県生れ。コピーライター。「ほぼ日刊イトイ新聞」主宰。広告、作詞、文筆、ゲーム制作など多彩な分野で活躍。著書に『ぼくの好きなコロッケ。』『ボールのようなことば。』『海馬』(池谷裕二との共著)『黄昏』(南伸坊との共著)『知ろうとすること。』(早野龍五との共著)ほか多数。

ほぼ日刊イトイ新聞 (外部リンク)

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