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体罰不要。非科学的な指導に従うな! 復活に賭ける松坂大輔へのアドバイス。引退直前の松井秀喜と交わした会話。不世出の大エースとなでしこジャパン産みの親による、革命的野球論! NHK、朝日新聞などで話題沸騰。秘話満載。球界騒然。

新・野球を学問する

桑田真澄/著、平田竹男/著

529円(税込)

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発売日:2013/03/01

読み仮名 シンヤキュウヲガクモンスル
シリーズ名 新潮文庫
発行形態 文庫
判型 新潮文庫
ISBN 978-4-10-136891-7
C-CODE 0195
整理番号 く-45-1
ジャンル スポーツ
定価 529円

知性派の大エース桑田真澄が「学問」という武器を得た! 早稲田大学大学院の指導教官との対話を通じて、科学的根拠に基づく野球指導の重要性を説く一方、自身のMLB経験とイチロー、松井、松坂らの豊富な人脈から得た知見から、日本野球が世界で勝ち残るための秘策を提言する。また、スポーツビジネスの最新情勢にも言及、球界復権への決意を示す。『野球を学問する』改題。

著者プロフィール

桑田真澄 クワタ・マスミ

1968(昭和43)年、兵庫県生れ。PL学園時代、甲子園で優勝2回、準優勝2回。1986年読売巨人軍に入団、沢村賞ほか多くのタイトルを獲得。2007(平成19)年ピッツバーグ・パイレーツ入団。2008年現役引退。通算173勝。2010年早稲田大学大学院スポーツ科学研究科修了。著書に『心の野球』『野球の神様がくれたもの』ほか。

平田竹男 ヒラタ・タケオ

1960(昭和35)年、大阪府生れ。1982年横浜国立大学卒。同年通商産業省(現経済産業省)入省。1988年ハーバード大学ケネディスクール卒。2002(平成14)年(財)日本サッカー協会専務理事に就任。現在、早稲田大学大学院スポーツ科学研究科教授。東京大学工学博士。著書に『サッカーという名の戦争―日本代表、外交交渉の裏舞台―』『スポーツビジネス最強の教科書』ほか。

書評

波 2013年3月号より 桑田真澄の「パワーポイント」

平田竹男

2009年4月、前年に現役生活を引退した桑田真澄は、早稲田大学大学院スポーツ科学研究科に入学した。大きな実績をのこしたプロ野球選手が、40歳を越えて学問の世界に挑戦するこの転身は、当時から大きな注目を集めていた。
と同時に、早稲田大学と桑田真澄とのそれまでの関係を背負うこの出来事は、指導教官となった私にとっても大きな挑戦となった。大学院の1年間、私はいわば鬼になり、次々と厳しいハードルを課した。そして、彼はそれらをまっすぐに受け止め、課題を自らのものにしていった。その結果、桑田の論文「『野球道』の再定義による日本野球界のさらなる発展策に関する研究」は、修士課程社会人コースの最優秀論文賞を受け、卒業式の総代にも選ばれた。
桑田にとって、研究期間中こうした学問的成果を残せたのと同じくらい大切だったのは、純粋に興味の赴くままに自分の学問を追求する時間をもてたことではなかったかと思う。少年の頃から日本中の注目を浴び、常に他人の期待を背負わされていた彼が、初めて自分の夢のためだけに生きる時間をもてたのだから。
大学院生時代の彼を思い返すと、非常に真摯で、かつ謙虚で心優しい人柄が窺えるエピソードが次々に浮かぶ。例えば、実際には大学院生の誰もが使うエレベーターの脇にある、「教職員以外はエレベーターを使わないように」と書かれた小さな貼り紙を目にし、入学当初から私の研究室のある研究棟の9階(!)まで、階段を使い続けたこと。長時間の授業に座り続けることすら大変な彼が、教室の最前列を授業の指定席にし、教壇のホワイトボードを見ては手元のノートに書き記す。そういった視線の往復で首を痛め、対策に悩んでいたこと。仲間のゼミ生たちと生まれて初めて早稲田のラーメン屋に入ったとき、レンゲをラーメン鉢のどこにおいていいのかわからないと困惑していた姿もまた微笑ましい光景だ。
パソコンについての思い出も多い。平田ゼミでは、研究発表も課題提出もすべてパソコンで行う。とくに必須なのが、よく知られるプレゼンテーションソフト、パワーポイント(Microsoft® PowerPoint® 通称パワポ)だ。しかし、その使い方を身につけるのは、それまでほとんどパソコンに触れたことの無かった桑田には、たいへんな苦労だったはずだ。それでも、ゼミの仲間たちの協力も受け、彼は少しずつ、しかし着実に習熟していった。
卒業から3年が経ち、いま桑田は私の授業のゲストスピーカーに呼ぶと、パワポで作った自作のスライド資料入りのパソコンを携えて、自分で操作する。スクリーンに大写しにされたスライドは、論点が常にわかりやすく整理され、グラフや写真も随所に盛り込まれ、聴衆の理解を助ける。表現力もパソコンスキルもさらに飛躍的に向上している。それは、彼が卒業後も学問の努力を怠っていない明瞭な証拠でもある。元プロ選手が一方的に自身の体験談を披瀝する「講演会」も数多いなか、桑田真澄ほどの選手が、若い学生に向かって、パワポを駆使してともに野球の未来を考えようと語りかけるとき、その説得力は絶大だ。
今回、単行本『野球を学問する』を文庫化するにあたり、私たちは再び長時間の対話を行なった。話題は日本球界の課題から、体罰問題、WBC、東大野球部コーチ就任、そして世界との競争に勝ち抜くための国内のスポーツビジネスの取り組み全体へと多岐にわたり、気づけば分量は単行本時の倍にふくらんだ。読者はページの至るところに、桑田真澄が自らの力でつかみ、深めた「学問」の姿を目にされることと思う。詳しくはぜひ本書をお読みいただきたいが、特に、桑田が、肘の手術後に復活に賭ける松坂大輔投手をリハビリ先のフロリダに訪れ、自身の怪我の経験を踏まえて、松坂大輔がいかに復活すべきかを彼なりの考え方で伝えたことは秀逸だ。ここでも彼は投球術の解析を含め自作のパワポ資料を使った。そこに、同じエースナンバー18を背負い、同じ肘の怪我に苦しんだ、同じメジャーリーガーだった桑田の、後輩松坂投手への愛情といたわりが溢れていないだろうか。私は彼の豊かな人間力と学問的成長を見た。そして、それこそが次代の球界が最も必要とするものだ。

(ひらた・たけお 早稲田大学大学院教授)

目次

文庫版まえがき
はじめに
第一部 野球を学問する
第一章 学問を志す
第二章 野球界の悪しき伝統
第三章 早稲田で学ぶ
第四章 根性野球のルーツ
第五章 野球界アンケート調査
第六章 野球道の再定義
第七章 野球界の未来のために
第八章 真の野球人とは
第二部 野球界の試練
第一章 スポーツ界に蔓延する体罰、いじめ、根性論
第二章 松井とイチロー
第三章 18 松坂大輔復活への道
第四章 日本球界の試練
第五章 百年後の日本野球のために
第六章 リーダーシップなき球界の不幸 世界戦略は
おわりに
文庫版あとがき

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