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あらためて教養とは

村上陽一郎/著

649円(税込)

発売日:2009/03/30

  • 文庫

こんな時代だからこそ、学びなおしてみませんか。真の知的成熟を目指す人のための「教養」入門。

教養の原点――それは、モラルにあり。いかに幅広い知識や経験を身につけていても、人間としての「慎み」が欠けていては、真の意味での教養人ではないのです。ヨーロッパで生まれた教養教育がやがて日本に伝わり、大正教養主義や戦後民主主義教育によって移り変わってゆく過程をたどりながら、失われた「教養」の本質を再確認させてくれる、日本人必読の書。『やりなおし教養講座』改題。

目次
序章 教養の原点はモラルにあり
いま武士論を読みなおす意味
やせがまんの効用
教養の原点はモラルだ
第一章 教養教育の誕生
教育は家庭で行なうもの
大学の誕生と二重言語社会
知識人へのパスポート――リンガ・フランカ
三つの必須科目――文法・論理・修辞学
「自由」な科目?
第二章 知の世界への扉――古典語との出会い
ギリシア・ローマの「古典」はイスラム世界から
ラテン語が必須
イスラム世界を介して古典世界と出会う
イスラム世界に透けて見えるギリシア世界
ギリシア語をラテン語へ翻訳
数学的思考はアラビア語起源
自国語による学問の誕生
「古典」としてのギリシア語と漢語
「古典」は一握りの人のための学問
私の教養観 知識をどう活用するか
第三章 日本の教養のゆくえ
1 教養教育の辿った道
教養教育の継承者、アイヴィ・リーグ
知的成熟を身につけるシステムの不在
教養教育を見直す機運

2 文化としての言葉 教養教育のゆくえ(1)
「国語」よさらば
思想や感情をふくみ持つ
飛び跳ねる言葉

3 理科を変えよう 教養教育のゆくえ(2)
自然を読み解くためのわざ
無関係ではいられない科学
ふるいにかけるカリキュラム
「なぜ?」と身近に引き寄せよう
第四章 大正教養人の時代――知的教養主義の伝統と継承
1 「栄華の巷」を低く見て――父の世代
大正教養主義の時代
ドイツ語がかっこよかった時代
インテリの読書
ドイツ人への敬意
独特の偏り感
解放そして変革の時代
堅いドイツ、柔らかいフランス
ドイツ・リートが身近だった
懐かしむだけでは通用しない
旧制高校を出て

2 知的教養主義の継承――私の世代
世代の断絶
友人という財産から得られたこと
自分を広げる
恥ずかしくないようにしておく心意気

3 教養は虚学か、実学か?
教養は虚学か、実学か?
何を材料に自分を造り上げるか
文学は何のためにあるのか
何度も読みたくなるのが古典
選択肢をいっぱい広げて選んでいく
第五章 価値の大転換――戦後民主主義教育で失われたもの
平等をめぐる奇妙な事態
「身の丈に合う」とは「小さくまとまる」こと?
「自分は自分」は恥を忘れ、放恣になること?
他人の目はあったほうがいい
民主主義への大きな誤解
悪いほうへ流されがち
第六章 いま、ふたたび教養論――規矩について
受け身で間にあう状況
価値観の逆転
家族の話に耳を傾ける
みっともないふるまい
漱石自身の人間像
物分りが悪いと言われても
諦念の世代
教養は枠づくりを助ける
終章 私を「造った」書物たち
戦前の子供がわくわくした冒険譚
カガク小学生の誕生
はじめての韻文とミステリ――中学時代
山本周五郎と藤沢周平を読みふける――大学時代
池波正太郎さんへの共感
現代屈指の作家たち
「純文学」と「エンターテインメント」との区別
『シラノ・ド・ベルジュラック』の影響力
あえて向き合った本
古典と漢籍のリズム感
漱石と出会う――私にとっての古典(1)
賢治と出会う――私にとっての古典(2)
教養のためのしてはならない百箇条
あとがき
新版へのあとがき
索引

書誌情報

読み仮名 アラタメテキョウヨウトハ
シリーズ名 新潮文庫
発行形態 文庫
判型 新潮文庫
頁数 320ページ
ISBN 978-4-10-137551-9
C-CODE 0110
整理番号 む-15-1
ジャンル 哲学・思想、思想・社会
定価 649円

著者プロフィール

村上陽一郎

ムラカミ・ヨウイチロウ

1936年東京生まれ。科学史家、科学哲学者。東京大学大学院人文科学研究科博士課程修了。上智大学、東京大学先端科学技術研究センター、国際基督教大学、東京理科大学大学院などを経て、東洋英和女学院大学学長。著書に『科学者とは何か』『文明のなかの科学』『あらためて教養とは』『安全と安心の科学』ほか。訳書にシャルガフ『ヘラクレイトスの火』、ファイヤアーベント『知についての三つの対話』、フラー『知識人として生きる』など。編書に『伊東俊太郎著作集』『大森荘蔵著作集』など。

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