ホーム > 書籍詳細:星の王子さま

これまでで最も愛らしく、毅然とした王子さまが、優しい日本語でよみがえります。世界中の子供が、そして大人が読んできた。世紀を越えるベストセラー。

  • 映画化リトルプリンス 星の王子さまと私(2015年11月公開)
  • 100冊新潮文庫の100冊

星の王子さま

サン=テグジュペリ/著、河野万里子/訳

518円(税込)

本の仕様

発売日:2006/04/01

読み仮名 ホシノオウジサマ
シリーズ名 Star Classics 名作新訳コレクション
発行形態 文庫、電子書籍
判型 新潮文庫
ISBN 978-4-10-212204-4
C-CODE 0197
整理番号 サ-1-3
ジャンル 文芸作品、評論・文学研究
定価 518円
電子書籍 価格 572円
電子書籍 配信開始日 2017/03/10

砂漠に飛行機で不時着した「僕」が出会った男の子。それは、小さな小さな自分の星を後にして、いくつもの星をめぐってから七番目の星・地球にたどり着いた王子さまだった……。一度読んだら必ず宝物にしたくなる、この宝石のような物語は、刊行後七十年以上たった今も、世界中でみんなの心をつかんで離さない。最も愛らしく毅然とした王子さまを、優しい日本語でよみがえらせた、新訳。

著者プロフィール

サン=テグジュペリ Saint-Exupery

(1900-1944)名門貴族の子弟としてフランス・リヨンに生れる。海軍兵学校の受験に失敗後、兵役で航空隊に入る。除隊後、航空会社の路線パイロットとなり、多くの冒険を経験。その後様々な形で飛びながら、1929年に処女作『南方郵便機』、以後『夜間飛行』(フェミナ賞)、『人間の土地』(アカデミー・フランセーズ賞)、『戦う操縦士』『星の王子さま』等を発表、行動主義文学の作家として活躍した。第2次大戦時、偵察機の搭乗員として困難な出撃を重ね、1944年コルシカ島の基地を発進したまま帰還せず。

河野万里子 コウノ・マリコ

1959年生れ。上智大学外国語学部フランス語学科卒業。主な訳書にウィリアムズ『自閉症だったわたしへ』、サン=テグジュペリ『星の王子さま』、サガン『悲しみよこんにちは』、レヴィ『あたしのママ』など。

インタビュー/対談/エッセイ

『星の王子さま』の不思議

河野万里子

Eちゃんへ
 Eちゃんが、『星の王子さま』を読もうとしたけど途中でやめちゃった話、きょうママから聞きました。「これどういう意味?」って聞いてばかりで、なかなか進まなかったんだって? ママも「あの本むずかしいのよ」って、ちょっと顔をしかめていました。わかるわかる。Eちゃんが読んだのと同じ七、八歳のころ、私も同じ思いをしたことがあります。
 でもあれは、不思議な本。自分が大きくなっていろいろな経験をするほど、「そうか!」とわかるところが増えていくの。お話の中に隠れていた鍵が、見つかるみたいに。そしてその鍵は、やはり大きくなるにつれて、わかりにくく複雑になっていく世界を解く鍵でもあり、自分の人生を開くことのできる鍵でもあるのかもしれない、と思います。
 私の場合は、最初の出会いから十年後ぐらいに、フランス語の原書で読んではじめて、こんな話だったのか、と胸を打たれました。とがった山のてっぺんで「ぼく、ひとりなんだ」と叫ぶ王子さま。草の上につっぷして泣く王子さま。そして、王子さまに会う一時間前からうれしくなるキツネ。それは、孤独を感じたり、恋にときめいたりしていた自分と同じだった。そうしてそのキツネが教えてくれる「いちばんたいせつなことは、目に見えない」という「秘密」は、そのころの私の〈ことばのお守り〉のようになった。
 そんな私もいつのまにか、この本を書いた当時のサン=テグジュペリより年上になっちゃったのだから、時がたつのはつくづく早いと感じます。でもそうしたら、「おとなってそんなものだ」という風刺に、思わず笑うようになっていたし、このお話が、傷つきやすい人間をどれほどやさしく毅然と支えてくれるか、わかるようにもなった。そして、花と王子さまの深い「絆」のせつなさや、王子さまがパイロットに贈った鈴のような笑い声の星々に、心を震わせられるようにもなった。愛というものはすれ違いやすく、死というものは人生のすぐとなりにあると、実感するようになったからだと思います(これも、おとなの話だけどね)。
 そのうえ時の流れは、今回この本を新しく翻訳する役目も、私に運んできたんです。作者のサン=テグジュペリは、印刷した原稿一枚につき、百枚は捨てていたほどだったというから、私も、彼がことばに託した思いを考えたり、評伝を調べたり。むかし私がつっかえたところはスムーズに読めるように、のちに大好きになったところや、このお話の不思議なすてきさは、いっそう深く伝わるように――そう心がけながら、日本語を綴りました。だから今度はEちゃんにも、「おもしろかったよ!」って、最後まで読んでもらえるといいなあと思います。
 そうしてそのあと、ゆっくり、静かに、ママにも読んでもらえたらと思っています。


(こうの・まりこ 翻訳家)
波 2006年4月号より

コラム 映画になった新潮文庫

原幹恵


 何年か前、仕事で海外へ行く時、飛行機の中で読もうと『星の王子さま』を手に持っていたら、隣席の外国人の方に「ナイス・ブック!」と親身な感じで声をかけられたことがあります。その時はなんだか恥ずかしくなって、別の本を読み始めてしまったので、今回初めてこの有名な作品を読むことができました。
 確かにこれは「ナイス・ブック!」です。文章も絵も魅力的で、素敵なエピソードやセリフが薄い一冊のあちらこちらにちりばめられていますが、一見やさしそうでも実は結構手ごわくて、ふと立ち止まって考え始めるとどんどん深くなったり、よくわからなくなったり。今の自分に強く訴えかけてくる箇所もあれば、「いつか読み返すと確実に響いてくるんだろうな」と思える部分もあって、こんなにさまざまな読み取り方ができる小説って、あまり出会ったことがありません。現在の私の目からは、自信がない時や迷っている時、背中を押してくれる本のように思えました。
 サハラ砂漠に不時着した飛行士が王子さまに出会います。王子さまはバラ(気が強く誇り高い女性のようなバラ)との関係に疲れて(?)、自分の小さな星から離れ、いくつかの星を訪れた後、七番目に地球へとやってきたのです。地球ではヘビやキツネと意味深な会話を交わし、そして飛行士と出会って、二人は友情のようなものを育むのですが、やがて別れの時が来て……。
 冒頭で、飛行士が子どもの頃に描いた絵のエピソードが出てきます。ゾウをまるごと呑み込んだ大蛇の絵を描いたのに、大人たちは帽子の絵としか見てくれず、およそ相手にしてくれない。自分の本当に大切なものがわかってもらえない、さみしさ。わかってくれる人がたった一人でもいてくれる歓び。この挿話は、キツネの「いちばんたいせつなことは、目に見えない」というセリフと繋がり、さらに王子のキツネへの「最初はほかの十万のキツネと同じ、ただのキツネだった(略)今ではこの世で一匹だけの、かけがえのないキツネなんだ」という思いにも繋がっていきます。
 キツネは、「きみのバラをかけがえのないものにしたのは、きみが、バラのために費やした時間だったんだ(略)絆を結んだものには、永遠に責任を持つんだ。きみは、きみのバラに、責任がある」とも言います。
 ここは仕事に置き換えて読みました。私は、わざわざ自分を選んでくれた仕事にはきちんと結果を出して恩返しをしたいし、むろん〈責任〉も感じます。舞台「趣味の部屋」で共演した白井晃さんが「このメンバーの中にあなたがいて、こんな舞台を作ったんだ、という経験はきちんと伝えていく義務があるんだよ」と教えて下さったのですが、その〈義務〉は、私の中でキツネのいう〈責任〉と重なります。
 この本、ミュージカル映画になっています(S・ドーネン監督 74年)。王子さまを演じた子役は幼くて、バラとは恋愛ぽくならないけれど、可愛らしい。キツネ役のコメディアン(ジーン・ワイルダー)は繊細かつ愉快だし、ヘビ役のボブ・フォッシーは、彼が振付をした「シカゴ」そのものの黒ずくめの衣装でスタイリッシュなダンスを見せて印象的。

 

(はら・みきえ 女優)
波 2015年12月号より

感想を送る

新刊お知らせメール

サン=テグジュペリ
登録する
河野万里子
登録する
文芸作品
登録する
評論・文学研究
登録する

同じジャンルの本

書籍の分類

星の王子さま

全国の書店、または以下のネット書店よりご購入ください。

※ 書店によっては、在庫の無い場合や取扱いの無い場合があります。あらかじめご了承ください。
※詳しい購入方法は、各ネット書店のサイトにてご確認ください。

  • amazon
  • 楽天ブックス
  • 7net
  • e-hon
  • HonyaClub
  • TSUTAYA ONLINE
  • 紀伊國屋書店
  • エルパカBOOKS - HMV
  • honto

星の王子さま

以下のネット書店よりご購入ください。

※対応端末でお探しください。

Shincho Live!