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つ、ついに、ツンデレ美少女仙人・僕僕が王弁にあの言葉を――!!

神仙の告白 僕僕先生―旅路の果てに―

仁木英之/著

1,512円(税込)

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発売日:2016/11/22

読み仮名 シンセンノコクハクボクボクセンセイタビジノハテニ
発行形態 書籍
判型 四六判
頁数 252ページ
ISBN 978-4-10-303060-7
C-CODE 0093
ジャンル SF・ホラー・ファンタジー
定価 1,512円

劉欣を失った僕僕一行は、長安で静かな時を過ごしていた。だが突然、王弁が眠りに落ちてしまう。僕僕は王弁を助けるため、神馬の吉良と薬丹の材を探しに行く。一方、神仙たちは僕僕捕獲のため始動し、孫悟空、猪八戒、沙悟浄、関羽まで登場。動きを封じられた美少女仙人の目的は何か。師弟の完結とは何なのか。最後の旅が今、始まる。

著者プロフィール

仁木英之 ニキ・ヒデユキ

1973(昭和48)年、大阪生れ。信州大学人文学部に入学後、北京に留学。2年間を海外で過ごす。2006(平成18)年『夕陽の梨―五代英雄伝』で「歴史群像大賞」最優秀賞を、また同年『僕僕先生』で「日本ファンタジーノベル大賞」大賞を受賞しデビュー。他の著書に、「千里伝」シリーズ、「くるすの残光」シリーズ、「魔神航路」シリーズ、『大坂将星伝』『黄泉坂案内人』、僕僕先生シリーズ続編に『先生の隠しごと』『鋼の魂』『童子の輪舞曲』『仙丹の契り』『恋せよ魂魄』『神仙の告白』『僕僕先生 零』『王の厨房』などがある。

僕僕先生―ぼくぼくステーション―

書評

中華ファンタジーのオールスター戦

末國善己

 唐代を舞台に、美少女の姿はしているが、実は永遠の時を生きる仙人の僕僕と、弟子でニートの青年・王弁を主人公にした『僕僕先生』は、仁木英之のデビュー作であり、シリーズ化されて代表作になった中華ファンタジーの傑作である。
 ボクっ娘で毒舌の僕僕といじられキャラの王弁が、珍道中を続ける展開は、ユーモラスでほのぼのしている。一方で、作中に登場する人間、神仏、仙人、妖の多くは何らかの文献に記載があり、物語の背後には中国の神仙思想に基づいた歴史や世界観が置かれているなど、硬派な設定が施されている。この奥深さが、多くのファンを魅了したのは間違いない。
 初登場時は、父の財産を浪費して生きようと考えていた王弁だったが、僕僕との冒険旅行で経験値を貯めたことで成長し、今では薬師として独り立ちするまでになっている。
 シリーズが進むにつれ、大国に迫害される少数民族の悲劇(『先生の隠しごと―僕僕先生―』)、大国のエゴがもたらす混乱(『鋼の魂―僕僕先生―』)といった現代とも無縁ではないシリアスなテーマが深められ、非情な世界をいかに救うかが物語の鍵になってきた。前作『恋せよ魂魄 僕僕先生』では、僕僕一行の宿敵ともいえる秘密暗殺組織・胡蝶房との死闘が激化し、主要キャラクターの一人が落命するという急展開もあっただけに衝撃も大きく、続きが気になっている方も多いだろう。
 第十弾の『神仙の告白 僕僕先生―旅路の果てに―』では、ついに神仙界が人界を滅ぼし、改めて清浄な世界を作る決意を固める。だが人間の祈りがなければ存在できず、まだ人間に絶望していない神仙の中には、反対派もいた。その頃、この計画の最重要人物とされる僕僕は、妖の薄妃を連れ、眠りに落ちた王弁に効く仙薬の材料を探すため虚空へ、さらに犬封国へと向かっていた。
 人界の存亡をかけた壮大なスケールの戦いが始まるだけに、玉皇上帝の命令を各地の神仙に伝えている王方平、わがままで酒乱の魏夫人らお馴染みのメンバーが揃い踏みし、神仙界の決定を進めるべく動き始める。さらに神仙界からは、闘戦勝仏(孫悟空)、捲簾大将(沙悟浄)、天蓬元帥(猪八戒)も参戦する。時の皇帝・李隆基(玄宗)は人界の消滅を憂えて打てる手を模索し、仙人になっていた関羽雲長は、義兄の劉備玄徳が愛した人界を守るべく神仙に戦いを挑む。
 このように物語は、人界消滅計画の賛成派、反対派が入り乱れ、人界と神仙界をまたにかけた謀略と戦闘が連続するので、先の読めないスリリングな展開が楽しめるはずだ。
 中国の四大奇書『水滸伝』『三国志演義』『西遊記』『金瓶梅』は、古くから日本文学に影響を与えてきた。特に『三国志演義』『西遊記』は、今も高い人気を誇っている。この二作の主要キャラクターが総出演する本書は、まさに中華ファンタジーのオールスター戦といっても過言ではないのだ。
 それだけに、赤兎馬に乗り青龍偃月刀を使う関羽と、吉良にまたがり剣を持った僕僕の一騎打ちがあるかと思えば、目的のためなら手段を選ばない曲者の王方平と、義を重んじる正攻法の関羽との手合わせもある。クライマックスには、武では互角の関羽と捲簾大将の決戦も用意されているので、血湧き肉躍るバトルシーンが堪能できる。特に『三国志演義』と『西遊記』のファンは、たまらないのではないか。
 神仙界が、人界の消滅を決定したのは、他を滅ぼしても満足せず闘争を続けようとする人間の我欲が、世界のバランスを崩す可能性が出てくるほど肥大化したためとされている。
 作中では、釈迦の弟子・弥勒が「十まで手に入れれば、次は百を。百を手に入れれば千を求める」人間には、「自らを制する力」がないと嘆く。弱肉強食のルールが広まり、神仏への畏れが失われて倫理的な歯止めをなくした現代では、こうした状況に拍車がかかっている。人界消滅計画は、神仙と違って命に限りがある人間が幸福に生きるには、欲望のまま闘い続ける修羅道を行くのか、それとも心の平穏を重視する道に進むべきかの問い掛けになっており、考えさせられる。
 さて〈僕僕先生〉シリーズは、次の第十一弾で完結の予定となっている。王弁は無事に目覚めるのか? 僕僕と王弁の関係はどうなるのか? そして人界消滅計画の行方は? 終幕に向けて波乱万丈に進む本書に、是非とも注目して欲しい。


(すえくに・よしみ 文芸評論家)
波 2016年12月号より

目次

あらすじ
第一章 眠る王弁
第二章 雄黄の髄
第三章 神医と美髯公
第四章 弟子たち
第五章 渾沌の囁き

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