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芥川龍之介は、いま世界的現代作家として甦る!

芥川龍之介短篇集

芥川龍之介/著、ジェイ・ルービン/編、村上春樹/序、畔柳和代/訳

1,728円(税込)

本の仕様

発売日:2007/06/29

読み仮名 アクタガワリュウノスケタンペンシュウ
発行形態 書籍
判型 四六判
頁数 318ページ
ISBN 978-4-10-304871-8
C-CODE 0093
ジャンル 文学・評論
定価 1,728円

アクタガワの小説はみずみずしく、まるで新しくデビューした新人作家のような興奮を与えてくれる――。「羅生門」「蜘蛛の糸」「地獄変」から「馬の脚」「首が落ちた話」、そして「或阿呆の一生」「歯車」まで、ペンギン・クラシックスで高い評価を受けた名作・埋もれた傑作18篇。その才気と成熟の魅力を語る村上春樹のエッセイも収録。

著者プロフィール

芥川龍之介 アクタガワ・リュウノスケ

(1892-1927)東京生れ。東京帝大英文科卒。在学中から創作を始め、短編「鼻」が夏目漱石の激賞を受ける。その後今昔物語などから材を取った王朝もの「羅生門」「芋粥」「藪の中」、中国の説話によった童話「杜子春」などを次々と発表、大正文壇の寵児となる。西欧の短編小説の手法・様式を完全に身に付け、東西の文献資料に材を仰ぎながら、自身の主題を見事に小説化した傑作を多数発表。1925(大正14)年頃より体調がすぐれず、「唯ぼんやりした不安」のなか、薬物自殺。「歯車」「或阿呆の一生」などの遺稿が遺された。

ジェイ・ルービン Rubin,Jay

1941年ワシントンD.C.生まれ。ハーバード大学名誉教授、翻訳家。シカゴ大学で博士課程修了ののち、ワシントン大学教授、ハーバード大学教授を歴任。芥川龍之介、夏目漱石など日本を代表する作品の翻訳多数。特に村上春樹作品の翻訳家として世界的に知られる。著書に、“Injurious to Public Morals:Writers and the Meiji State” (『風俗壊乱:明治国家と文芸の検閲』世織書房)、“Haruki Murakami and the Music of Words”(『ハルキ・ムラカミと言葉の音楽』新潮社)、編著『芥川龍之介短篇集』(新潮社)がある。英訳書に、夏目漱石『三四郎』『坑夫』、村上春樹『ノルウェイの森』『ねじまき鳥クロニクル』『神の子どもたちはみな踊る』『アフターダーク』『1Q84』など。

村上春樹 ムラカミ・ハルキ

1949(昭和24)年、京都市生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。1979年『風の歌を聴け』(群像新人文学賞)でデビュー。主な長編小説に、『羊をめぐる冒険』(野間文芸新人賞)、『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』(谷崎潤一郎賞)、『ノルウェイの森』、『国境の南、太陽の西』、『ねじまき鳥クロニクル』(読売文学賞)、『海辺のカフカ』、『アフターダーク』、『1Q84』(毎日出版文化賞)がある。『神の子どもたちはみな踊る』、『東京奇譚集』などの短編小説集、エッセイ集、紀行文、翻訳書など著書多数。海外での文学賞受賞も多く、2006(平成18)年フランツ・カフカ賞、フランク・オコナー国際短編賞、2009年エルサレム賞、2011年カタルーニャ国際賞、 2016年アンデルセン文学賞を受賞。

村上春樹 Haruki Murakami 新潮社公式サイト

畔柳和代 クロヤナギ・カズヨ

1967年生れ。東京医科歯科大学教授。訳書にキャロル・エムシュウィラー『すべての終わりの始まり』、マーガレット・アトウッド『オリクスとクレイク』、ジョン・クロウリー『古代の遺物』(共訳)、バーネット『小公女』『秘密の花園』などがある。

書評

悦ばしい「逆輸入」

柴田元幸

 2006年にペンギン・クラシックスの一冊として出版された芥川龍之介作品集Rashomon and Seventeen Other Storiesは、英語圏読者にとって画期的な刊行物だった。その理由は、主として3つあった。

1 夏目漱石や村上春樹の名訳で知られるジェイ・ルービンによる見事な訳文で、芥川作品(しかも多くは初訳)が読めるようになった。
2 これまでの評価にとらわれず、ルービンが独自の見識で18の作品を選び、それを執筆順ではなく、物語が設定されている時代に基づいて四章に分け(平安・徳川・同時代・自伝的作品)、充実した解説も付したことで、芥川文学の多様性が、一定の体系性を伴って明快に見えるようになった。
3 スコット・フィッツジェラルドや自身の立場とも重ね合わせつつ、作家芥川の栄光と悲惨を論じた読みごたえある序文(むろんこれもルービン訳)を村上春樹が寄せていた。

 こうした、広い視野から芥川文学を見通せる本作りがあったからこそ、「欠点はあったかもしれないが、それら欠点ゆえにいっそう興味深い名人芸作家への最良の入門書」(ダラン・アンダーソン)といった評にもつながったのである。
 さて、今回新潮社から刊行された『芥川龍之介短篇集』は、このペンギン・クラシックスの「逆輸入版」である。芥川作品と村上序文を原文に「復元」し、日本向けに書き直した編訳者ルービンの解説が収められている。
 こうした「逆輸入」には前例がある。アメリカで編まれた村上春樹の短篇集The Elephant Vanishes: Stories(1993)が『象の消滅―短篇選集1980-1991―』として新潮社から2005年に刊行されたのがそれである。作者のエッセイが付され、作品自体にも細かく加筆したり、一作などは英訳を作者が日本語に「重訳」するといった遊びもあって、あれはあれで面白い企画だったが、逆輸入される必然性ということでいえば、この『芥川龍之介短篇集』の方がいっそう高いと思う。
 というのも、上の2で挙げた「芥川作品の多様性が一定の体系性を伴って明快に見える」という美点は、多くの日本人読者にとっても意味あるものだと思うからである。各社から出ている、セレクションもかなり似通った文庫版とは違い、この本は奥行きと広がりをもった芥川像を与えてくれる。「そうか、芥川はこういう作家なのか」という思いを、読後はっきり抱くことができる。村上春樹による序文も、一読者としてのみならず、現代作家が作家としての自分との距離を測りつつ古典作家を語った文章として非常に面白く読める。
 自著『ハルキ・ムラカミと言葉の音楽』(畔柳和代訳、新潮社)でもそうだったが、ジェイ・ルービンは、作品のよしあしをめぐる判断が非常にはっきりしていて、かつそれを実に明快に言語化する。巻頭に収めた解説でも、芥川のある種の作品については「アイロニーが強すぎて、結末のどんでん返しは計算されすぎ、登場人物たちは平板すぎ」ると手厳しいが、すぐれた作品に関しては「歳のいった読者にとって芥川が意味を持ちつづけるのは、芥川自身の心の中に自分の才気への疑念が忍び込み、あでやかな衣装よりも募る不安の方が大きくなったときの作品だ」と的を射た評価をしている。
 具体的な作品選びでも、ほかの芥川ベスト本では見かけない「掘り出し物」がいくつも入っている。特に、ある男が(1)自分が死んだことになっているのを発見し、(2)死後三日を経ていて、(3)かつ脚が腐っているため馬の脚を代わりにつけて、まさに「馬脚をあらわす」のを避けようとさんざん苦労する、という奇想天外な「馬の脚」などは、シュールなユーモアがどこか暗さをたたえていて実に印象的である。
 ジェイ・ルービンによる翻訳の見事さは、残念ながらこの逆輸入版だけでは楽しめないわけだが、興味ある方はペンギンと較べてみても。実は僕自身、草稿段階で読ませてもらい、両者を較べてみて、なるほど日→英翻訳はこういうふうにやるものなのかと、大いに勉強になりました。

(しばた・もとゆき アメリカ文学)
波 2007年7月号より

目次

芥川龍之介と世界文学  ジェイ・ルービン 畔柳和代訳
芥川龍之介――ある知的エリートの滅び  村上春樹
第一部 さびれゆく世界
羅生門
藪の中


蜘蛛の糸
地獄変
第二部 刀の下で
尾形了斎覚え書
おぎん
忠義
第三部 近代悲喜劇
首が落ちた話

馬の脚
第四部 芥川自身の物語
大導寺信輔の半生
文章
子供の病気
点鬼簿
或阿呆の一生
歯車

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