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こんな時代だからこそ、希望をもって精一杯生きたい。

高峰秀子との仕事2 忘れられないインタビュー

斎藤明美/著

1,512円(税込)

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発売日:2011/04/22

読み仮名 タカミネヒデコトノシゴト2ワスレラレナイインタビュー
発行形態 書籍
判型 四六判変型
頁数 254ページ
ISBN 978-4-10-322233-0
C-CODE 0095
ジャンル ノンフィクション、演劇・舞台、タレント本
定価 1,512円

人生の後始末とは何か。責任とは、人を想うとはどういうことか。記者として、編集者として、そして娘として、ともに積み重ねてきた仕事を軸に、最後の大女優から授けられた数々の“宝物”を描く力作後編。高峰氏が成瀬巳喜男監督を語ったロングインタビューなど貴重な記録も多数収載。“人間の絆”の尊さが胸を打つ秀作の誕生。

著者プロフィール

斎藤明美 サイトウ・アケミ

1956年、高知県生まれ。津田塾大学卒業。高校教師、テレビ構成作家を経て、「週刊文春」の記者を二十年務める。1999年、初の小説「青々と」で第十回日本海文学大賞奨励賞受賞。2009年、松山善三・高峰秀子夫妻の養女となる。著書に『高峰秀子の捨てられない荷物』『最後の日本人』『家の履歴書(全3巻)』『高峰秀子の流儀』『高峰秀子との仕事1・2』など。

書評

波 2011年5月号より 「はい、撮れました」「うん、撮れたな」

操上和美

 名女優高峰秀子さんの突然の訃報から四ヶ月、『高峰秀子の流儀』の著者で松山善三・高峰秀子夫妻の養女である斎藤明美さんが、待望の新刊『高峰秀子との仕事1 初めての原稿依頼』『高峰秀子との仕事2 忘れられないインタビュー』を小社より上梓した。一記者としての出会いから最期を看取るまでの二十年余、ともに重ねてきた仕事を軸に、大女優から教えられたことを真摯に綴る前後編の二冊である。
この二冊のカバーを飾るのは、『高峰秀子の流儀』と同様、高峰さん七十四歳の時の写真だ。書斎机に向かうきりりとした表情。和服姿の和やかな笑み。女優としてではない、穏やかな日常にある高峰さんの美しさには目を瞠る。撮影したのは名匠・操上和美氏。両者がカメラを挟んで対峙するさまは「まるで剣豪同士の真剣勝負」だったとか……。
一九九八年九月二十八日、いったいどんな“真剣勝負”が繰り広げられたのだろうか。世界で活躍する写真家、“剣豪”操上氏に、その日のことを語っていただいた。

いよいよ憧れの人に会えるのだと思うと、じつはかなり緊張していました。なにしろ僕の思春期からの大女優ですし、ドキドキしましたね。麻布のお宅に伺ったのはたしか午前十一時頃。『女優 高峰秀子』(平凡社「別冊太陽」)の撮影で、編集者やヘアメイク、着付けの人、アシスタントなど総勢七名ほどでお邪魔したのですが、高峰さんと夫君の松山善三さんのおふたりで迎えてくださいました。
撮影は、とくに人物とのセッションの場合、第一印象でほぼ勝負が決まります。目と目を合わせた時、本能的に、あ、いけるな、という感覚が得られたら、互いに信じあえる関係が成立する。逆にいえば、初めて会ったときに、そういう波にピッと入っていけないと、撮影が難しくなることがままあるわけです。
高峰さんの第一印象ですか? 僕は、きれい、というより、可愛い、と思ったんです。ああ、可愛い人だなあ、おいくつになってもこんなに可愛いんだ、と。そして、そのたたずまいには、こちらを緊張させるようなところが一切ない。さっぱりした、ある意味、強さも感じました。だから、美しく撮るということも大切ですが、その高峰さんの可愛さ、強さをきちんと撮れるといいな、と思いました。
撮影に関しては、あらかじめ決めてあったこともいくつかあります。着物を着ていただきたいこと。高峰さんを描いた絵画との絡みで撮りたいこと。また、本を書く方だからこそ、机に向かわれているカットが欲しいこと。全部で三シーン撮影したいということ……。
そこまでは決めてありましたが、具体的にどこで、どんなふうに撮影するか、それは当日に決定しなければなりません。僕はすぐに、おうちの中をすべて見させていただき、こことここで撮りましょう、とか、この絵を背景に入れてもよいでしょうか、とか、お話をしました。松山先生も一緒についてくださって、さすがに演出家らしく、「ここはどうする?」「こうしても大丈夫だよ」などと声をかけてくださる。とてもありがたかったです。背景にたくさんの絵画を配した写真を撮りたいと申し上げたら、家じゅうから作品を持ってきてくださって。これはこっちに、それはあっちに、これはその右に置いて……という具合に、僕が選んで並びを決めていきました。そしてさらに、この場面にはこの着物、この洋服、こういうメイクで、と、進めていくわけです。
こうした準備の様子をご覧になっていた高峰さんは、なんとなく「あ、うまくいきそう」「この人信じられる」と思ってくださったようです。なにしろ女優として長いキャリアをお持ちですから、コミュニケーションや会話を通じ、これならうまく運ぶ、というようなことは、ぱっとおわかりになってしまうのだと思います。気合を入れて撮影に臨んでくださいました。
シチュエーションが決まっても、カメラの位置を決め、ライティングを繊細にするなど、写真を撮るためのセッティングには、ある一定の時間がかかります。ありがたいことに、高峰さんは最初からノッてくれていますから、スムーズに運びました。ああ、このライティングなら、きれいに撮れるな、というのも、高峰さんならわかってしまうでしょうね。
このシチュエーションでこういうふうに撮りましょう、立ち位置はここで、ということが決まれば、高峰さんは勘の鋭い方ですから、どういう表情がいいか、高峰さんご自身がぱっと理解してしまう。僕は「もうちょっとだけ、上を見てください」などと細かいことのみ言って、撮って、もうおしまい。僕は、気持ちのテンションがスーッと上がってくれば、パンパンっと撮れます。撮り始めると早いんですよ。このときは二十枚ほど。「はい、撮れました」と僕が言った時、高峰さんも「うん、もう撮れたな」と思われたはずです。三つのシチュエーションを撮影し終えて、おいとましたのは夕方の四時頃でした。
その後、高峰さんからお礼状をいただいたんです。お手紙をいただけるなんて、もう驚くやら感激するやら……。それがまた文字がとても男っぽくて(笑)。お礼にとブランデーも添えて送ってくださった。お手紙はもちろんいまでも大事に持っています。
高峰さんほどの大スターですのに、すごく親近感を抱いたというか、ほっとしたというか……。いい時間だったな、という気持ちはずうっと残っています。それはもうずっと。もう一度、高峰さんを撮りたかった。(談)

(くりがみ・かずみ 写真家)

目次

矛盾する二つの思い
高峰さんが授けてくれたもの
一期一会
人生の後始末 いよいよ本格化
人生の後始末 そのダイナミズム
美しさの意味
迷惑な訪問者と高峰の真骨頂
大女優の魂の言葉
始末のいい女性
生きること
あとがき

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