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嗚呼、あのバカバカしくも、素晴らしき八〇年代よ!

今夜は最高な日々

高平哲郎/著

1,836円(税込)

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発売日:2010/08/25

読み仮名 コンヤハサイコウナヒビ
雑誌から生まれた本 小説新潮から生まれた本
発行形態 書籍、電子書籍
判型 四六判変型
頁数 319ページ
ISBN 978-4-10-326411-8
C-CODE 0095
ジャンル 演劇・舞台、タレント本
定価 1,836円
電子書籍 価格 1,469円
電子書籍 配信開始日 2011/02/25

山下洋輔トリオ縦横無尽、赤塚不二夫の面白グループも全速前進、そして伝説の番組『今夜は最高!』が始まった――。編集者として、舞台演出家として、放送作家として、著者が駆け抜けた八〇年代は“笑い”と“音楽”に満ち溢れていた。ジャズ、落語、テレビ、舞台、出版……秘話満載、知られざる日本カルチャーを綴る!

著者プロフィール

高平哲郎 タカヒラ・テツオ

1947年東京生まれ。一橋大学社会学部卒業。広告代理店、雑誌「宝島」編集部を経てフリーランスとなる。企画編集、テレビの構成、芝居やショー等の演出など、幅広い分野で活躍してきた。著書『みんな不良少年だった』(白川書院)『星にスイングすれば』『スタンダップ・コメディの勉強』『あなたの想い出』『ぼくたちの七〇年代』(以上晶文社)『由利徹が行く』『それでも由利徹が行く』(以上白水社)他多数。

書評

波 2010年9月号より なぜ高平哲郎は小説を書かなかったのか

坪内祐三

一九五八年生まれの私が高校大学生時代つまり一九七〇年代半ばから一九八〇年代、高平哲郎は伝説の人、いやもっと身近な言い方をすればとても気になる人だった(もちろん今でも気になる人だが)。
晶文社時代の『宝島』、タモリ、赤塚不二夫、山下トリオ、『今夜は最高!』、『笑っていいとも!』といった固有名詞の背後に常に高平氏はいた。
背後、と書いたが、中心ではなくまさに背後すなわち裏方だ(だからこそよけいに気になった)。
その高平氏が回想集を書いてくれれば、これは貴重な一九七〇年代八〇年代さらには九〇年代の日本文化の記録になると常々に思っていて、その内七〇年代、晶文社や『宝島』の思い出は六年前に『ぼくたちの七〇年代』(晶文社)として刊行され、その続篇とも言うべき『今夜は最高な日々』が今私たちの前に届けられた(『小説新潮』に掲載されたものだが書き下しと呼んで良いほどの大幅な加筆再構成がなされている)。
高平氏のことをかなり知ったつもりになっている私でも、今回、なるほどと思ったことがある。
例えば高平氏は、「小学生時代から、姉の連れ合いの英文学者で、中村勝哉と晶文社を設立した小野二郎に可愛がられていた」と書いているが、小野二郎や植草甚一や赤塚不二夫らだけでなく、本書を読むと様々な年長者たちから可愛いがられ気にいられていたことがわかる(本人はその自覚がない――つまり文章にイヤミがない――ところがますます気に入られる理由だろう)。
それはもちろん氏の人徳によるものだが、その人徳は時に両刃の剣にもなってしまう。
すなわち年長者たちから過度に気に入られてしまうと、同世代の嫉妬を買ったりもする。
以下はとても細かい話である。
テレビや舞台演出について回想したI部II部III部以上に私が読みふけってしまったのは自著解題とも言える第IV部だ。
『みんな不良少年だった』、『由利徹が行く』、『スラップスティック・ブルース』、『スタンダップ・コメディの勉強』などのメーキングが語られて行く。
その中で唯一、幻の作品について語られた章がある。
そのサブタイトルは「小説依頼と景山民夫」であるが、私は一九八〇年代初め、雑誌『宝島』(もちろん晶文社でなくJICC出版局に移っていた)の連載コラムなどで今は亡き景山民夫が高平氏のことを執拗に攻撃するのを目にした時、とても驚いた。
放送作家という職業を同じくする二人が私立武蔵高校の同級生で、小林信彦の『一九六〇年代日記』にも二人で仲良く小林氏に会いに行く(晶文社の編集者である高平氏が親友の景山氏を誘って行く)様子が描かれていたからだ。
テレビの世界で売れっ子となった高平氏の元に、何人もの編集者たちが、小説を書かないかとアプローチをかけてきた。 
そのたびに高平氏は話を断わった。
中でもしつこい編集者が、テレビの裏話を日記風に書かないか、と言った。自分はまさにテレビの裏方であるから、そういうアンフェアーなことはやりたくない、と高平氏は断わり、帰り際、「そういうことを書くのが得意で文章が上手い男がいますと、景山民夫の電話番号を書いて渡した」。その頃、放送作家としての景山民夫の仕事は減り、「ちょっとばかり卑屈になっていたから」、それに対する思いやりもあったのだ。
景山民夫が週刊誌で始めた「テレビ界の裏話のコラム」は話題を呼び、エッセイストとして賞をとり、さらに小説家へと転身していった(その途中で景山民夫は高平氏への批判を繰り返していったわけだ)。
一九九八年一月、景山民夫は事故死する。その数カ月前二人は感動的な和解をする。
私が高平氏に初めて会ったのは一九八九年秋のことだ。雑誌『東京人』の編集者としてロングインタビューした。
色々なジャンルのことをなさっている高平さんですが、小説を御執筆の予定はないのでしょうか、という私の質問に、高平氏は、ない、ときっぱりと答えた。そして言葉を続けた。小説家が一番偉いとは思っていないから、と。

(つぼうち・ゆうぞう 評論家)

目次

I 落語的ジャズの日々
『宿屋の富』――自己紹介、そして山下洋輔とジャズ関係の人々と『冷し中華祭り』
『寿限無』――『結成40周年記念!山下洋輔トリオ復活祭』
『淀五郎』――『ザ・ウチアゲ』、『綺想天外大音楽會・会うも会わぬも大阪のフィル』
『雑俳』――落語的中村誠一のLP『取りみだしの美学』
『蒟蒻問答』――ハナモゲラの原点、坂田明のLP『20人格』
『二番煎じ』――『屈斜路湖ジャズ・フェスティバル』、『オール・ジャパン・ジャズ・エイド』
『たらちね』――海老名香葉子一家、泰葉、こぶ平、いっ平
『松竹梅』――桃井かおりと一関「ベイシー」に、そして野田秀樹と伊藤八十八の披露宴
『粗忽長屋』――タモリと団しん也のLP、そして二人の赤塚不二夫
『木乃伊取り』――『新春佳月音楽祭り・第一回こっきり』
『らくだ』――泉谷しげるの『今夜は最高!』と『ザッツ宴会テイメント』
II 今夜は最高な日々
『ザッツ・エンタテインメント』――テレビのバラエティ番組、今昔
『失われた週末』――『サンデーお笑い生中継』、『スター誕生!』、『夕刊タモリ!こちらデス』
『第三の男』――横澤彪の『笑ってる場合ですよ!』と『オレたちひょうきん族』
『おかしなおかしなおかしな世界』――面白グループと『赤塚不二夫のギャグ・テレビ』
『我輩はカモである』――赤塚不二夫の『重大ニュース』と『今夜は最低』
『北北西に進路を取れ』――正月の『日本放送演芸大賞』と軽井沢
『キング・コング』――『今夜は最高!』が始まる
『俺たちに明日はない』――『今夜は最高!』一年目の中断
『日曜はダメよ』――『日曜はダメ!!』が始まり終わる
『突破口!』――『今夜は最高!』の会議と台本書き
『禁じられた遊び』――『今夜は最高!』はパロディが好き
『酒とバラの日々』――『今夜は最高!』と女優とお酒の日々
『足ながおじさん』――『今夜は最高!』の野田秀樹とワハハ本舗の三女優
『虹を掴む男』――『今夜は最高!』の明石家さんま
『ショウほど素敵な商売はない』――大地真央の『今夜はワ・ガ・マ・マ……!』
『月の輝く夜に』――横澤さんの『いただきます』と『テレビ夢列島』
『風と共に去りぬ』――『今夜は最高!』の終焉
III ショーと舞台の演出の日々
『間違いの喜劇』――初演出は東京ヴォードヴィルショーの『七輪と侍』
『夏の夜の夢』――二人になったチャンバラトリオとワハハ本舗の『極楽探検隊』
『ハムレット』――赤塚不二夫の『オー!ソノソノ』
『じゃじゃ馬馴らし』――渋谷森久と大地真央『麗しきモノクロの嘘』
『尺には尺を』――吉本興業NGKシアターコケラ落し『アメリカン・バラエティ・バング!』
『テンペスト』――ハロルド・ピンターと『ドライビング・ミス・デイジー』
『お気に召すまま』――小松政夫一人芝居、田山涼成プロデュース、間寛平一人芝居
『空騒ぎ』――中村雅俊『雪洲(Sessue)』、『流行者』、『岡山物語』
『恋の骨折り損』――『シンクロニシティ』と『ザッツ・ジャパニーズ・ミュージカル』
『終わりよければすべてよし』――SKD『賢い女の愚かな選択』
IV 歌謡曲かよ人生はの日々
『一杯のコーヒーから』――義兄小野二郎と晶文社と津野海太郎と植草甚一
『星は何んでも知っている』――ディープ・インタヴュー『みんな不良少年だった』
『二人の世界』――ゴースト・ライター、インタヴュアー、聞き書き『由利徹が行く』
『笑って許して』――『スラップスティック・ブルース』と『変人よ我に返れ』
『花はおそかった』――小説依頼と景山民夫
『憧れのハワイ航路』――ホノルルのアパートとラスヴェガスでの演出
『私のハートはストップモーション』――中上健次と野田秀樹と鼎談『有名人』
『想い出ぼろぼろ』――「ふるさときゃらばん」と野口久光、野口先生と元さん
『或る日突然』――JR東日本車内誌『トランヴェール』の初めから終わりまで
『みだれ髪』――文章が書けないことに気づいた『スタンダップ・コメディの勉強』

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