ノロイノジダイ
呪いの時代


内田樹

すべては自らにかけた「呪い」から始まった――まっとうな知性の使い方とは。

政治家の失言、ネット上の罵詈雑言、就活や婚活の壁……他人を呪うことは、自らを呪うこと。「ほんとうの私」なんてどこを探してもいない。ぱっとしない「自分」だけど、そろそろ受け容れて、もっと自分を愛そう。そして、他人にも祝福の言葉を贈ろう。時代に蔓延する「呪い」を解く智恵を語る、ウチダタツル的・新“贈与論”。

発行形態 : 書籍
判型 : 四六判
頁数 : 286ページ
ISBN : 978-4-10-330011-3
C-CODE : 0095
ジャンル : 哲学・心理学・宗教・歴史
哲学・思想
発売日 : 2011/11/18

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祝福の言葉

内田樹
ウチダ・タツル

1950(昭和25)年、東京都生まれ。東京大学文学部卒。東京都立大学大学院人文科学研究科博士課程中退。神戸女学院大学文学部総合文化学科を2011年3月に退官。専門はフランス現代思想、武道論、教育論、映画論など。主著に『ためらいの倫理学』、『レヴィナスと愛の現象学』、『他者と死者』、『街場の教育論』、『映画の構造分析』、『武道的思考』他。『私家版・ユダヤ文化論』で第6回小林秀雄賞、『日本辺境論』で新書大賞2010、著作活動全般に対して第3回伊丹十三賞を受賞。神戸市で武道と哲学のための学塾「凱風館」を主宰している。

 I 日本のことを考える
第1章 呪いの時代
「情理を尽くして語る」/「呪い」は破壊を目指す/自己評価と外部評価/無根拠な楽観/無差別殺人と「ほんとうの私」/「ロストジェネレーション」/「祝福する」
第2章 「祝福」の言葉について
「利己的」と「自分らしさ」/絶対不敗のウェポン/ニヒリズムへの帰着/抑制が効かない記号化/記号としての身体/姿なき「支持者」/「一誠」に託された祈り/呪いと祝福について/生は汲み尽くせない
第3章 「後手」に回る日本
オバマの手際/覇権国家の秘密/アメリカの「設計図神話」/「後手」に回る日本/日本政治の「風土病」/政治家の言葉は軽いもの/公人は「推定有罪」/「ほんとうの私」と「仮象の私」/政治思想の死滅/近視眼的、刹那的、表層的/政治的危機の核心
第4章 英語が要らない奇跡の国
日本の幸運/世界でも例外的な日本/日本語の「近代化」/「翻訳文化」の伝統/漢字文化圏の破壊的な事態/植民地主義マインド/池部良の英語体験
第5章 「婚活」と他者との共生
適職イデオロギー/エンドレスの顧客/ビジネスモデルの使い回し/同じようなものだよ/「結婚できる能力」
第6章 「草食系男子」とは何だったのか
とにかく「弱い」/「権利請求」の戦略/「世渡り術」からのスピンオフ/リスクを忌避したい/傷つきやすさが前面に/ペルソナが解離している/問題は「割り方」/ペルソナの品ぞろえ
第7章 『日本辺境論』を超えて
『日本辺境論』の構造的三本柱/地殻変動的変化/ものをぐるぐる回す/「金で金を買う」/エンゲルスは間違っていた/階層化の進行/典型的な「強者連合」/例外的歴史的状況は終わった/「交換経済」から「贈与経済」へ/エンドレスの商品リスト/本質的に無理筋/「贈る」のはむずかしい/ぜにのないやつぁ俺んとこへこい
第8章 これからを生き延びる智恵
「片づかなさ」の人間性/価値を賦与する権利/どのような返礼をなしたか/知性のまっとうな使い方/鳴り響くアラーム/「炭坑のカナリア」/「おまえ死ぬよ」
第9章 神の言葉に聴き従うもの
死者に語りかける言葉/どうしても言いたいこと/読者の知性に対する敬意/命がけの跳躍/深い敬意を込めよ/パーソナルなメッセージ/自己超克の可能性
 II 未曾有の震災の後に
第10章 荒ぶる神を鎮める
荒ぶる神の鎮め方/原発供養/人間が人間であるための神について/地震と津波の傷は癒える/福島原発の事故は人災だ/「専門家」の不在が不幸を呼んだ/原発はビジネスにならない/危機時に「正解」はない/疎開のすすめ――一極集中から多極化へ/弁慶のデインジャー対応について
第11章 戦争世代と科学について
科学と身体/「科学的」とは何か/木で鼻を括るな/反証可能性/「もう何も信じない」を信じる
あとがき


内田樹さんより、祝福の言葉です。



内田先生、読者の方に祝福の色紙を書いてください!

『呪いの時代』は、現代に蔓延する「呪い」について分析しつつ、読者の方々に「祝福」を伝えるための本でもあります。それならば、読んでくださった方々に、祝福の言葉を投げかけてみてはどうだろう、と色紙に書いていただきました。
標語? 希望? 書いてくださった順番そのままに、言葉を並べてみました。

紙に書いてトイレに貼るもよし。
揮毫を誰かに頼んでみるもよし。
『呪いの時代』と並べるもよし。
ただ笑って終わるは、ますますよし。

書いていただいた色紙は80枚ほど。全国の書店に配布予定です。(担当者より)

 イラストは、内田さん直筆の猫マークです。サインのときのトレードマークだそうです。

ぼくからみんなに祝福を
日本全土に祝福を
呪うの止めて笑いましょう
祝う門に福来る
あれこれ言わずに祝福を

呪う暇にドブさらい
呪う暇にゴミ拾い
呪いはいろいろ悪いです
呪いは心に悪いです
呪いは体に悪いです

祝福はええよ
呪うといいことあらへんで
人を呪ってはいけませぬ
祝福する人に幸いあれ

「おはよう」の贈りものを始めましょう
贈与の一撃から始まる世界の平和
贈与する人に贈与は到来
祝福する人に祝福を
贈与はたのしいです
もっと祝福を

呪ったらあかんで
暇があったら祝福を
呪うかどに災厄が
呪いは毒よ
人を呪わば穴二つ
二人を呪わば穴四つ
四人呪わば穴十六

祝う門に福来たる
草木鳥獣 悉皆おともだち
大慈大悲の心です
みんな仲良く致しませう

All you need is Love
呪う暇に海水浴
呪う暇あればハイキング
呪うより雪かき

呪う暇にお稽古しましょう
呪う暇に合気道
呪うより野良へ
呪いはいかんです

怨むより感謝
あなたの幕屋の扉を開け
何でも食える どこでも寝られる 誰とでも友だちになれる
みなさますべてに祝福がありますように
祝福すれば天下に敵なし

愛もたいせつだ 敬意はもっとたいせつ
祝えば楽しい
贈与する者だけが贈与される
怨むな憎むな羨むな

祝ってすごせばこの世は極楽
祝ってすごせば蓮のうてな
祝ってすごせばそこはハライソ
祝ってすごせばパラダイス
いつもにこにこパラディーゾ

祝う門には大日如来
笑う門には釈迦如来
笑う門には聖パトリック
笑う門にはサンタマリア
笑う門には救世主
祝う門に造物主

祝ってすごせばこの世はハワイ
祝ってすごせばこの世はバリ島
祝ってすごせばこの世は箱根
祝ってすごせばこの世は野沢温泉

磯の真砂は尽きるとも 祝いの理由は尽きません
ほがらかに歩みましょう
祝う門には福来り 呪う門には……

祝う門に福来り 呪う門に……
祝う門に福来たり 呪いの門には……
祝う門には福来り 呪う門には○○が来る
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