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線路は続き、列車が走る。旅に出よう、ディスカバー・ジャパン、再び!

日本鉄道美景

田中和義/著、今尾恵介/著

2,484円(税込)

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発売日:2011/11/25

読み仮名 ニッポンテツドウビケイ
雑誌から生まれた本 週刊新潮から生まれた本
発行形態 書籍
判型 B5判
頁数 126ページ
ISBN 978-4-10-331631-2
C-CODE 0065
ジャンル 産業研究、鉄道
定価 2,484円

「週刊新潮」のグラビアページを飾った珠玉の鉄道風景の数々。春、桜が咲き、新緑が山を覆う。田植が終われば、青い空と海の夏が来る。秋、平野は黄金色に輝き、山々は錦繍に燃える。やがて湿原に雪がちらつき冬の到来を告げる。春夏秋冬、めぐる季節と地形が織りなす千変万化の鉄道車窓。日本の美しさは鉄道だけでも楽しめる!

著者プロフィール

田中和義 タナカ・カズヨシ

1958(昭和33)年、東京生まれ。1981年、創刊直後の「FOCUS」に参加。2001年には「週刊新潮」に移り、一貫して雑誌カメラマンとして活動を続ける。「FOCUS」での連載企画(「一番大事な家族」)をまとめたものに「犬のココロ」「猫のキモチ」(いずれも2001年、新潮社刊)。

今尾恵介 イマオ・ケイスケ

1959年横浜市生まれ。小中学時代より地形図と時刻表を愛好、出版社勤務を経てフリーライター。著書に『鉄道でゆく凸凹地形の旅』(朝日新書)、『絶景鉄道 地図の旅』(集英社新書)、『住所と地名の大研究』(新潮選書)、『地名の社会学』(角川選書)、『鉄道ひとり旅入門』(ちくまプリマー新書)など多数。『日本鉄道旅行地図帳』(新潮社)シリーズの監修者。

書評

波 2011年12月号より 本でしかできない旅

酒井順子

自分の顔は決して自分の目でじかに見ることができないように、自分が乗っている列車を、人は外から見ることができません。列車に乗るだけの旅人は、列車そのものが風景の中でどのような役割を果たしているのか、しばしば気づかないものです。
日本の様々な風景の中を走る列車の姿を捉えたこの写真集は、日本と列車とがいかに美しいものであるか、そして日本の風景に列車がいかに根付いているかを、教えてくれるのでした。
改めて見る日本の風景は、繊細です。美しく手いれされた田んぼ。優しい川の流れ。そんな風景に寄り添うように、列車は走ってゆきます。
そうかと思えば、険しい山間や、波しぶきがかかりそうな海沿いを走る列車もあります。共通して感じるのは、かつての日本人が、いかに苦心して鉄路を切り拓いてきたか、ということ。日本人が日々手をかけることによって山里の素朴で美しい景観を守ってきたように、線路もまた人の手によって敷かれ、そして守られているのです。
線路や列車は、決して自然の風景を邪魔しません。むしろ列車という被写体は、景色をより生き生きとしたものにするということに、私はこの本を見て気づきました。
町中の写真も、そこに猫が一匹いれば急に生気のあるものとなり、またサバンナの写真も、そこにシマウマが一匹いれば、躍動感が生まれるものです。同じように、日本の景色は列車の姿がそこにあるだけで引き立ち、そして引き締まります。鉄の固まりである列車だけれど、人によって線路が敷かれ、人を運んでいるからこそ、それは有機物のような存在感を発しているのです。三月の震災後、止まっていた列車が走った時に、沿線住民の方々が「本当に嬉しかった」とおっしゃっていたのも、列車が持つ生命力の故でしょう。
写真に添えられているのは、今尾恵介さんの解説です。なぜ日本の鉄道は、海沿いを走ることが多いのか。川の流れはなぜ、蛇行するのか。男鹿半島はかつて離島であり、また釧路湿原はかつては内湾だった……。短い文章に「おお」と膝を打つことがしばしば。列車を包む景色の歴史と人為を知ることができて、写真に奥行きが生まれます。
この本を手にしていると、今すぐにでも旅をしたくなるのでした。指宿枕崎線に乗って、開聞岳の夕景を見たい。雪の只見線に乗りたい。そして山陰本線から海を眺めたい……と。
しかし、それらの線に乗ったからといって、この本にあるような絶景を見られるわけではないのです。前述の通り、この本の写真は、列車「から」撮ったわけではなく、列車「を」撮ったものであり、「いったいどこから撮ったのだろう」というアングルの写真ばかり。景色が美しい場所を走るのはたいてい運行本数が少ないローカル線であるわけで、一日に何本かだけの列車が通る時に天候や時刻が写真向きとは限らない。これだけの写真を撮るためのご苦労は、いかばかりのものだったでしょうか。
子供の頃からSLを撮ることが好きだったという写真家が、多大な労力と時間を費やしてすくいとった奇跡のような一瞬を集めたのが、この写真集。私は鉄道に乗ることばかりが好きで、写真にはあまり興味がなかったのですが、本のページをめくることによってしかできない旅が確かにあるのだと、この本を見て思いました。
特に私がしびれたのは、小湊鐵道・飯給駅の写真。昔ながらの小さな駅には、満開の桜が数本。そこに一陣の風が吹いたのでしょう、フレームいっぱいに花びらが舞い散っている……。そこに列車は写っていませんが、人も列車もいない駅に、かつて人が植えたのであろう桜の花びらが、確かに息吹を与えているのです。

(さかい・じゅんこ 作家)

目次

鉄道美景*田
南阿蘇鉄道 阿蘇下田城ふれあい温泉~南阿蘇水の生まれる里白水高原
男鹿線 脇本~羽立
只見線 入広瀬~上条
只見線 会津高田~根岸
豊肥本線 立野~赤水
五能線 東八森~八森
由利高原鉄道 鮎川~黒沢
風景地形解説〈田〉 今尾恵介
[田の駅] 陸羽東線 東長沢
鉄道美景*川
只見線 会津塩沢~会津蒲生
只見線 会津宮下~早戸
大糸線 平岩
大井川鐵道 アプトいちしろ~長島ダム
大糸線 南小谷~中土
嵯峨野観光鉄道 トロッコ保津峡
予土線 土佐大正~土佐昭和
肥薩線 瀬戸石~海路
只見線 会津川口
只見線 会津中川~会津川口
高千穂鉄道 吾味
風景地形解説〈川〉 今尾恵介
[川の駅] 土讃線 土佐北川
鉄道美景*海
日高本線 厚賀~大狩部
根室本線 音別~古瀬
根室本線 音別~古瀬
大村線 千綿~松原
五能線 驫木
紀勢本線 相賀~尾鷲
山陰本線 餘部
室蘭本線 大岸
山陰本線 馬路
五能線 あきた白神~岩館
予讃線 串~喜多灘
山陰本線 折居~三保三隅
風景地形解説〈海〉 今尾恵介
[海の駅] 島原鉄道 大三東
鉄道美景*湿原・湖沼
根室本線 厚岸~糸魚沢
釧網本線 塘路~茅沼
釧網本線 釧路湿原
釧網本線 細岡~塘路
函館本線 大沼公園~赤井川
只見線 田子倉
大井川鐵道 奥大井湖上
風景地形解説〈湿原・湖沼〉 今尾恵介
風景地形解説〈駅〉 今尾恵介
[湿原・湖沼の駅]大井川鐵道 奥大井湖上
鉄道美景*山
根室本線 落合~新得
富良野線 美瑛~美馬牛
宗谷本線 和寒~東六線
岩泉線 押角~岩手大川
由利高原鉄道 曲沢
石北本線 上川~上白滝
磐越西線 徳沢
木次線 出雲坂根~三井野原
石北本線 上白滝~白滝
小海線 小淵沢~甲斐小泉
指宿枕崎線 大山~西大山
風景地形解説〈山〉 今尾恵介
[山の駅]土讃線 坪尻
鉄道美景*桜
岩泉線 岩手大川~浅内
小湊鐵道 飯給
磐越西線 徳沢
松浦鉄道 浦ノ崎
小湊鐵道 上総大久保
肥薩線 大畑
風景地形解説〈桜〉 今尾恵介
[桜の駅] 関西本線 笠置
あとがき
『週刊新潮』掲載号一覧

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