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流転の海 第一部

宮本輝/著

2,090円(税込)

発売日:1992/11/30

  • 書籍

大阪の焼跡闇市から実業家として再起をはかる松坂熊吾。豪胆にして理不尽な男が、五十歳にして初めて子を授かった。作者自身の“父と子”を描くライフワークの第一部。

書誌情報

読み仮名 ルテンノウミダイイチブ
発行形態 書籍
判型
頁数 352ページ
ISBN 978-4-10-332507-9
C-CODE 0093
ジャンル 文芸作品、文学賞受賞作家
定価 2,090円

あらすじ

 戦前、自動車部品会社の経営者として飛ぶ鳥を落とす勢いだった松坂熊吾は豪胆と我儘、善意と理不尽、無邪気と先見性を内包した尽きせぬ魅力を湛えた男だった。
 妻房江は実母と死別し、実父には捨てられ、苦労に苦労を重ねた後、結婚したが、子をなしながらも仔細あって別れた。その後、大阪新町の茶屋の仲居となり、美貌と繊細な気遣いが見込まれて、女将の代理として帳場他一切を取り仕切るようになった。その頃、熊吾と出会う。熊吾四十五歳、房江三十二歳であった。
 昭和二十二年、熊吾は五十歳にして、思いもよらぬ子宝を授かった。熊吾は病弱な乳飲み子の伸仁に誓う。
 ──お前が二十歳になるまでは絶対に死なんけんのう。
 松坂商会は、戦災による資産の消失と資金の未回収で、裸一貫からの再起となった。進駐軍の払い下げ物資による中古自動車部品販売業からの再出発である。
 熊吾が信頼を寄せていた番頭井草正之助は回収した巨額の現金を持ち逃げした。この造反は熊吾のかつての使用人であった亜細亜商会社長海老原太一が裏で糸を引いていたのであった。
 去る者が出る一方、来る者もあった。バラックの立ち並ぶ闇市で知り合った京都帝大出の陰のある秀才、辻堂忠が松坂商会に入社し、顔はいかついが善良な運送業者丸尾千代麿の協力を得る。前途が拓けはじめたかに見えたのだが……。

著者プロフィール

宮本輝

ミヤモト・テル

1947(昭和22)年、兵庫県神戸市生れ。追手門学院大学文学部卒業。広告代理店勤務等を経て、1977年「泥の河」で太宰治賞を、翌年「螢川」で芥川賞を受賞。その後、結核のため2年ほどの療養生活を送るが、回復後、旺盛な執筆活動をすすめる。『道頓堀川』『錦繍』『青が散る』『流転の海』『優駿』(吉川英治文学賞)『約束の冬』(芸術選奨文部科学大臣賞)『にぎやかな天地』『骸骨ビルの庭』(司馬遼太郎賞)『水のかたち』『田園発 港行き自転車』等著書多数。2010 (平成22)年、紫綬褒章受章。2018年、37年の時を経て「流転の海」シリーズ全九部(毎日芸術賞)を完結させた。

The Teru's Club / 宮本輝公式サイト (外部リンク)

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