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史上最も過激かつ優美なカードゲームで、一世一代の大勝負!

六億九、五八七万円を取り返せ同盟!!

古野まほろ/著

1,836円(税込)

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発売日:2014/08/22

読み仮名 ロクオクキュウセンゴヒャクハチジュウナナマンエンヲトリカエセドウメイ
発行形態 書籍
判型 四六判変型
頁数 346ページ
ISBN 978-4-10-332742-4
C-CODE 0093
ジャンル ミステリー・サスペンス・ハードボイルド
定価 1,836円

カジノが合法化された日本。スロットマシンの大当たり(ジャックポット)それがすべての発端だった。僕のものになるはずだった大金が、「カジノ帝国」の首領(ドン)、池袋警察署長に奪われた! 経費分を上乗せして、全部取り返してやる。仲間たちと結成した「ザ・カルテット」をなめるなよ! 一気読み必至の「コン・ゲーム」。最後に騙されるのは、誰だ?

著者プロフィール

古野まほろ フルノ・マホロ

東京大学法学部卒業。リヨン第三大学法学部修士課程修了。学位授与機構より学士(文学)。警察庁I種警察官として警察署、警察本部、海外、警察庁等で勤務し、警察大学校主任教授にて退官。2007(平成19)年、『天帝のはしたなき果実』で第35回メフィスト賞を受賞し、デビュー。有栖川有栖・綾辻行人両氏に師事。他の著書に、『新任巡査』『新任刑事』『警察手帳』、『おんみょう紅茶屋らぷさん』、『臨床真実士ユイカの論理』などがある。

書評

波 2014年9月号より 仕掛けと伏線に満ちた騙し合い

村上貴史

コン・ゲーム。コンフィデンス・ゲームの略であり、信用詐欺のこと。作中では、“大掛かりな舞台をでっちあげ、カモを騙して巨額をせしめ、なおかつ、それが詐欺であったことを微塵も感じさせない――という『演劇的な』『綺麗な』『被害者も被害に気付かない』ゲーム”と記されている。本書『六億九、五八七万円を取り返せ同盟!!』は、そう、そんなコン・ゲーム小説なのだ。この分野では、ジェフリー・アーチャーの『百万ドルをとり返せ!』や小林信彦の『紳士同盟』が代表作だが(なんだか題名が似ているなぁ)、本書もそれらに劣らぬ魅力を備えている。
禁酒法ならぬ禁煙法が施行され、その一方で池袋にカジノ特区が設置された日本でのこと。二八歳のしがない役者である古野まほろは、三、六〇〇円を元手にスロットマシンに興じ、そして六億三、一九五万一、一〇〇円を当てた。その余韻が冷めやらぬなか、まほろは煙草三〇〇〇箱を秘匿していたとして逮捕されてしまう。身に覚えはない。だが彼の部屋からは煙草が実際に発見され、警察に身柄を拘束されることとなったのだ。池袋警察署に――池袋カジノ特区を独裁者として実質的に支配する有我法然が署長を務める池袋警察署に――だ。そのでっちあげと思しき罪による拘束の際に、当然のごとく六億円あまりの現金はどこかに消え去っていた。
そして二十三日が経過し、まほろは釈放された。彼の高校時代の吹奏楽部の仲間たち、すなわちイタリアで貴族でありマフィアでもある男と結婚して侯爵夫人となった修野茉莉、警視庁外事課課長の柏木照穂、そして文芸編集者の峰葉実香の三人が釈放を祝ってくれるその席で、まほろは修野から一つの提案を受ける。有我の支配するカジノから六億九、五八七万円を奪おうという提案だ。この金額は、まほろが不当に奪われた金額に必要経費やら慰謝料やらを上乗せした正当な金額だという。修野の計算では、必要経費は約五、〇〇〇万円。彼女がそのうち二、〇〇〇万円強を負担するから、残りの三、〇〇〇万はまほろたちで賄えという。それも、演習として有我署長から奪ってこいというのだ……。
プチ・コンすなわち演習で三〇〇〇万円、それを活かしてグラン・コンという本番で残金の六億余を奪う。その二段構えの詐欺を描いた本書だが、まずもって敵方の造形が素晴らしい。有我法然がとにかく弾けているのだ。彼が王国を築き上げるまでの略歴も読ませるが、それ以上に読者の心に刺さるのが、暴君として君臨する様である。気に入らぬ者は自ら手を下して殺すほどの野獣性を備えつつ、様々な敵対勢力や既存の権力を巧みにコントロールして自らの地位を築き守り抜く才覚も持つ巨漢。それが有我法然なのだ。
その強敵を相手に、まずはプチ・コンだ。茉莉を除く三人は、その知恵と才能を結集し、有我法然の弱点を狙う。この作戦が実に愉快。相手の心を巧みに誘導しているのだ。しかも、本格ミステリファンであれば、作中で使われる固有名詞の数々に思わずニヤリとするはず。『天帝のはしたなき果実』でメフィスト賞を受賞してデビューという著者の経歴が十分に活かされているのだ。
そうした可笑しさを備えていたプチ・コンに対し、グラン・コンは真剣勝負である。有我法然に対し、まほろたち四人は、読者にもきっとおなじみであろうカードゲームを極度に射倖性高くアレンジして勝負を挑む(このルールも刺激的だ)。こちらは良質のギャンブル小説の緊張感に満ちており、その上での騙し合いという二重の緊張感が愉しめる。阿佐田哲也か白川道かリチャード・ジェサップか。そんなスリルに満ちた騙し合いの最後に、著者はいくつもの衝撃を仕掛けている。唖然として呆然として、一拍おいて“してやられた!”と納得する。序盤の伏線が強烈に効いているのだ。読み手として嬉しくなる。
ちなみに本書の四人組にしてもグラン・コンのカードゲームにしても、古野まほろのデビュー作から登場しているため、従来からの読者はプラスアルファの愉しみも味わえる。だが、単独で読んでも間違いなく満足必至。本書で古野まほろを初体験するのも、それはそれで幸せなことに違いない。

(むらかみ・たかし 書評家)

判型違い(文庫)

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