ホーム > 書籍詳細:リカと3つのルール―自閉症の少女がことばを話すまで―

「一生ことばが話せません」そう宣告された娘のため、父親が辿りついた方法とは?

リカと3つのルール―自閉症の少女がことばを話すまで―

東条健一/著

1,404円(税込)

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発売日:2013/02/18

読み仮名 リカトミッツノルールジヘイショウノショウジョガコトバヲハナスマデ
発行形態 書籍、電子書籍
判型 四六判
頁数 239ページ
ISBN 978-4-10-333471-2
C-CODE 0095
ジャンル 科学
定価 1,404円
電子書籍 価格 1,123円
電子書籍 配信開始日 2013/08/23

他の子となにかが違う……医師の診断は「ことばの概念がありません」。重度の自閉症だった。父親である著者は、治療法を追い求め、ついに画期的な方法論に出会う。それは人を動かすための普遍的なルールを駆使することだった。「リカ、ご飯、食べたい」。わが子にことばをもたらした、だれもが役立てられるその方法とは?

著者プロフィール

東条健一 トウジョウ・ケンイチ

作家。I993年大学卒業。営業職、大手報道機関の社会部記者を経て、現職。著書に『リカと3つのルール』、訳書にD・カーネギー著『決定版カーネギー 道は開ける』、『決定版カーネギー 話す力』(すべて新潮社)がある。

tojobook トージョーブック by 東条健一 (外部リンク)

Twitter @tojobook (外部リンク)

書評

波 2013年3月号より 現代の予言の書となる一冊

神田昌典

幸せな結婚、新居にはイタリアのブランド家具が入り仕事も順調で、と誰もがうらやむ生活を送っていた著者に子供が生まれる。どんな高級品だって揃えてやろう。なんだってしてやろう。だが、かわいいその娘は、ある日映画「エクソシスト」の少女を思わせる異様な爪先立ちで歩き始める――後に、重度の自閉症だと判明するのだが、それを受け止めるまでには、時間が必要だった。
重度の自閉症でことばの概念さえ持たない子供が、ことばを手に入れるまでを綴ったこの本は、育児書としても読めるし、ことばをもたらす物語としても読める。読み方はいろいろとあるけれど、「障害」を持つ子供を育てるという未知の体験を前に「日常」が崩れる不安や恐怖と、今までの価値観を手放し新しい世界に踏み出す勇気が同時に生まれる物語として、私は読んだ。過去と未来のコントラストは非常に鮮やかだ。
その意味で、今後の世の中を先取りして経験した予言の書だと私は思った。2011年の大震災、リストラ、自閉症に限らず子供のあらゆる問題に至るまで、いつなんどきどんな困難に出会うかはわからない。そのとき私たちは何かを手放して進むしかない。新しい社会でどんな人間関係を築くか。なにを大事に生きていくのか。この本には、著者の心構えが自閉症というものを通して描かれている。
なにしろ、今までの生活の前提すべてが崩れても、著者はあきらめていない。治療法を追い求め、画期的な方法論を見出して、とにかくやってみる。自分を変えていくのだ。この姿勢には、個人的にも共感した。というのも、私自身も二年前にガンを患っており、他人事ではないからだ。病気や障害を持つと、そのことに蓋をして自らに「だからダメだ」とレッテルを貼って殻に閉じこもってしまいがちだ。
でも、ここで必要なのは、予想外のことに出くわしたときに自らの価値観を変えることだ。
変えないで今までの価値観を引きずると、環境は変わっているわけだから、不幸の道を全速力でまっしぐらに走ることになってしまう。リカは、父親である著者がそうならないうちに気づかせてくれた存在とも言える。
そもそもリカの自閉症は「障害」なのだろうか。「個性」でありユニークさとして、父親はとらえていく。だからこそ、客観的にこのストーリーを書けたのだろう。
生まれてからずっと美しいものだけに囲まれている存在――重い発達障害を抱える子供というのは、別の側面ではそういう存在だ。その子の立場で世界を見たら、一変するはずだ。
あるお母さんから聞いたことがある。毎日通学路で子供が同じ橋のたもとで叫ぶ。なぜこの子は私を困らせるんだろう、そう思っていた。でもある日、あまりにも叫ぶので同じ目線までしゃがんでみた――すると、そこにはなんとも美しい光の交差があった。いつもの立ったままの目線だったら視界に入らなかった美。ことばを持たないこの子はそれを伝えてくれようとしていたのか。
彼らの存在は私たちに学ばせてくれる。それだけでなく、社会がどう彼らを扱うかは、日本の未来像につながるはずだ。多くの人たちが気づかない「美」を教えてくれる子供たちは、社会にとってのレッスンとなる「wounded healer」であり、祈りを捧げる存在なのだ。
そもそも、ことばでコミュニケーションをとる必要はどこまであるのだろう。相手を色やオーラで見分ける子供だっている。リカのような子供たちの言語表現やコミュニケーション手段を学び、取り入れることで、逆に今までの当たり前の概念を壊し、新たな礎を築けるかもしれない。
共同で枠を超える、いやそれどころか変えたっていい――そのための貴重な存在として、リカは生まれてくれた。そんな風に私には思えてならない。

(かんだ・まさのり 作家)

目次

プロローグ
第1章 学習と罰の関係
楽園からの追放者/勉強法+ビジネス書+自己啓発書=成功本/恐怖の首切り塾/無料の高校/監獄実験/思考は現実化しない
第2章 アクセル全開
お金がない/お金で人生を変える/欲望のアクセル/癒されぬ渇き
第3章 悪魔に取り憑かれた少女
新しい家/お行儀の良い子/ことば以前のことば/親を忘れた日/ゴースト・ワールド/リンゴ農園の追跡/親の愛情が足りません
第4章 真実の扉
今度はどうする?/アムロ再び/自閉症の現実/過去からの訪問者
第5章 ドラゴンを倒す方法
内科診断基準/児童精神科医/幽体離脱/幻のサル/内面の不成功/ホワイトソックス・レボリューション/自閉症と天才性/自閉症は愛情不足が原因ではない/有機水銀と自閉症の関係/民間療法の巡礼
第6章 応用行動分析とばいきんまん
ロヴァス博士の画期的研究/タイムリミット/ロールスロイスを買えますか?/発達障害はだれにでも/ふつうの人にも効果があります/ばいきんまんの夜/見る前に跳べ
第7章 学習の科学
人間の行動原理/空間固定の法則/行動観察と記録/「座って!」/「おいで!」
第8章 人を動かす3つのルール
1番目のルール「はっきりと指示する」/2番目のルール「失敗させない」/3番目のルール「すぐに強化する」/ソニーの遺伝子
第9章 行動のマネジメント
行動はスモールステップに分解する/目を合わせろ!/効率が上がるタイムマネジメント/問題行動を減らす方法/罰を使わない三つの理由/目標設定にとらわれるな/ロボットでも大丈夫
第10章 模倣の技術
模倣は最強の学習ツール/初歩のマッチング/大きな動作の模倣/ちがっていても大丈夫/小さな動作の模倣/初めての音/だれも自分が悪いとは考えない
第11章 だれも知らないことばの世界
写真カード/リンゴということばをおぼえる/概念のカテゴリー/連続行動/あなたのお名前は?/ピグレットのカチューシャ/ぼくがだれかわかる?
第12章 心の扉が開く
遠い旅への誘い/多重債務者/まさか!/教えられていたのは、ぼくだった/パスカルの賭け/悪魔と契約/マジックアワー
参考文献

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