ホーム > 書籍詳細:ゴジラで負けてスパイダーマンで勝つ―わがソニー・ピクチャーズ再生記―

片道切符で「出向」したどん底の映画スタジオを、私はこうしてトップにした!

ゴジラで負けてスパイダーマンで勝つ―わがソニー・ピクチャーズ再生記―

野副正行/著

1,296円(税込)

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発売日:2013/10/25

読み仮名 ゴジラデマケテスパイダーマンデカツワガソニーピクチャーズサイセイキ
発行形態 書籍、電子書籍
判型 四六判
頁数 220ページ
ISBN 978-4-10-334791-0
C-CODE 0095
ジャンル 演劇・舞台、映画
定価 1,296円
電子書籍 価格 1,037円
電子書籍 配信開始日 2014/07/11

ソニーで長いこと電機製品を売ってきた私が、突然命じられた片道切符の「出向」。行った先は、業界最下位にあえぐアメリカの大手映画スタジオだった──。日本人初のハリウッド経営者として、瀕死のコンテンツ産業を救うさまざまな方策を編み出し、見事トップを争う会社へと立て直した著者の、工夫と粘闘のストーリー。

著者プロフィール

野副正行 ノゾエ・マサユキ

1972年慶應義塾大学理工学部卒業、ソニー株式会社入社。33年間の同社勤務のうち20年をアメリカで過ごし、マネジメント経験を積む。エレクトロニクス、通信、エンタテインメント(映画、音楽)などの広い領域で、マーケティング、新規事業開発、現行事業の再建など、数々の実績を残す。1996年よりハリウッドのソニー・ピクチャーズ副社長。1999年共同社長に就任。業界最下位のスタジオを常にトップを争う企業に育て上げた。2000年秋にソニー株式会社に戻り、執行役員常務。2002年上席常務。その後、ボーダフォン執行役副社長、I&S BBDO代表取締役社長兼CEOなどを経て、現在、(株)出版デジタル機構代表取締役社長。

書評

波 2013年11月号より ミッションは「どん底をトップに」

北谷賢司

「片道切符だよ」と、当時のソニーの実力社長・出井伸之さんから“出向”を告げられたとき、野副正行さんは、テレビドラマの主人公のように出井さんを睨みつけたりはしなかった。しかし、腹の中では「アイタタタタ、これは大変なことになった」と感じていたという。それも当然、“出向先”のソニー・ピクチャーズ・エンタテインメント(SPE)は、ハリウッドの大手映画会社(スタジオ)六社の中で業績最下位、どん底に喘いでいたからだ。
ソニーがコロンビア・ピクチャーズを買収したのは一九八九年のこと。「バブルに浮かれる日本が、カネに飽かせてアメリカ文化の象徴を奪いにきた」と、さんざん誹謗中傷されたものだった。経営を任せた米国人たちの無能や乱脈、乱費から、新たにソニーの名を冠したSPEの業績は低迷、こんどは「ウォークマンで得た利益を、アメリカでの“映画道楽”でドブに捨てている」と、日米双方のメディアから叩かれる破目になった。
そんな時の“出向命令”だから、「アイタタタタ」と唸ったのも無理はない。しかし、彼は、不安などおくびにも出さず、ニューヨークの米国ソニー本社からハリウッドへ向かった。その出発の直前、私は野副さんに進言した。
「スタジオでは、どんな車に乗っているかでまず値踏みされる。ソニーの社内規定に構わず、高級車を調達すること。それから、スタジオ幹部や業界人を家に招けるよう、これも遠慮せずに豪邸をビバリーヒルズ周辺に借りること」
私は、長年、アメリカのエンタメ・ビジネスの世界を見ており、こうした“演出”も大事だと痛感していたのだ。初日に小型のレンタカーでSPEに乗り付け、幹部用駐車場係のおじさんからすげない扱いを受けてしまった野副さんだったが、豪邸のほうは私の忠告を守ってくれ、スタジオ関係者との相互理解を深める。だが、「しょせんノゾエは映画の素人。きっとソニー本社のデジタル機材の購入を押し付けにきたのだ」と疑っていた社員たちに一目置かせ、やがて「これは大した経営者だ」と信頼を得るに至ったのは、彼の類稀なコミュニケーション能力と論理性、そして機転ゆえだった。
こうしてSPE副社長となった野副さんは、幸いにもコンビを組めた信頼の置ける米国人上司とともに改革に着手。足かけ五年ほどで、どん底から常にトップを争う企業に変えて見せた。映画界にスターや監督の自叙伝ならごまんとあるが、ハリウッド経営者が実体験をもとに作品の制作決定などのプロセスを詳述した書物は、実は米国にもこれまで無かったのである。しかも、ハリウッド・ビジネスの仕掛けや裏側が、分かりやすく、面白く綴られている。
中でも読みどころは、「アメリカ版ゴジラ」の興行的な大失敗を、結局、どんぶり勘定の企業文化を根本的に変える起爆剤にしたくだりだろう。「テンプレートとポートフォリオ」の導入がその一つで、投資理論を映画という感性のビジネスに持ち込み、融合させ、見事に「計数化」「可視化」を成し遂げたのである。さらに、「スパイダーマン」の映画化権を、機転を働かせ、戦略的な交渉の末に獲得し、ドル箱の「シリーズ化路線」のビジネスモデルまで築いてしまった。
数々の功績にもかかわらず、野副さんは少しも自慢顔をしていない。だが、本書の内容は、企業経営に腐心する者にも、映画・テレビ・出版・ゲームといったコンテンツ産業に働く人たちにとっても、眼を見開かせるものがある。彼は日本人として初の(そして、今後、二度と生まれないかもしれない)メジャースタジオ社長にまでなったのだが、なぜかソニー本社はあまり積極的に広報せず、その功績はほとんど知られてこなかった。今回、この自伝によって一端なりとも記録に残されたことは、映画ビジネス史上、大きな価値があると思っている。

(きたたに・けんじ 元ソニー執行役員兼米国ソニー・エグゼクティブ・バイス・プレジデント)

目次

はじめに
I 危地
1 トム・クルーズからの電話
散々の前評判/「そうだ、予告編を作り直そう!」/最初の「勝負」が始まる/久々のドル箱作品に
2 スタジオ買収で苦境に陥ったソニー
何のための「買収」だったのか/経営を任せた男たちの実態/失敗の清算/片道切符の派遣/実は「逆面接」だったのか!/告げ口に耳を貸さなかった男/駐車場係の反応/不安感を打ち消すメッセージを
3 ゴジラになれなかったGODZILLA
流れに乗って次々にヒット作を生む/恐竜にもコウモリにも勝利した「メン・イン・ブラック」 /「賞レース」でも成果/試写会は上々の手応え/おかしい、伸びないぞ!?/なかなか出なかった「青信号」/見落としていた「成功の鍵」/大失敗の痛すぎる教訓
II 転換
4 テンプレートとポートフォリオ
映画制作ビジネスの可視化を目指す/若手から浮かんできたアイデア/初めて見えた年間ラインナップの理想型/失敗も「計算の範囲内」に/制作現場からの強硬な抵抗/流れを変えた会議/他のコンテンツ産業にも応用できる戦略へ
5 シリーズ化――なぜ続編はビジネスになるのか
大失敗のもう一つの教訓/シリーズ化は甘くはない/我が家にもいた、よく働く小さなネズミ
III 強化
6 スパイダーマンに化けた007
持ちかけられた「リメイク移籍」/慌てた「本家007」サイド/ウィン・ウィンの解決策はないのか?/ついに手にしたシリーズ化の「巨大作」
7 職人集団を「独り立ち」させる――イメージワークスがアカデミー賞を獲るまで
「お荷物」になっていた技術者たち/内部からもクレーム続出/立派な「収益源」に生まれ変わる
8 傑作の「宝庫」を手放すな――ソニー・クラシックスの重要性
サブブランドにも戦力あり/ジョン・キャリーの狙いに感づく/ポートフォリオ上の貴重な存在に
9 「長壁」にぶつかる――中国の逆鱗に触れた「セブン・イヤーズ・イン・チベット」
脳裏をよぎった悪い予感/あわや、ソニー・グループ全体の危機に/ようやく開かれた突破口/切り札となった「提案」 /「臥虎蔵龍」が全米で大ヒット/北京でのプレミア試写会/つまずきの後の大きな実りに
10 日本へのグローバル化――テレビ事業の拡大に取り組む
放送チャンネル運営の依頼/致命傷となった一言/インドでは今やトップのシェアを握る
11 賞とショーと――ハリウッドで仕事をするということ
過敏な配慮も必要なムラ社会/アカデミー賞とゴールデン・グローブ賞の意味とは/忘れられないエピソード/「見本市」がどうビジネスに結びつくのか/受け継がれた夢と人脈/旅立ち
おわりに
付記

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