ホーム > 書籍詳細:「日中韓」外交戦争―日本が直面する「いまそこにある危機」―

暴走する中国、逆上する韓国、試される日米同盟。日本外交に活路はあるのか。

「日中韓」外交戦争―日本が直面する「いまそこにある危機」―

読売新聞政治部/著

1,512円(税込)

本の仕様

発売日:2014/06/18

読み仮名 ニッチュウカンガイコウセンソウニホンガチョクメンスルイマソコニアルキキ
発行形態 書籍
判型 四六判
頁数 302ページ
ISBN 978-4-10-339016-9
C-CODE 0095
ジャンル 政治、外交・国際関係
定価 1,512円

自国の権益の拡大、領土領海の拡張のため、なりふり構わぬ攻勢を仕掛けてくる中国。大統領自らが世界中で反日宣伝を繰り広げ、日本に対する敵意を露わにする韓国。理性を失った相手との「外交戦争」は、一歩間違えば最悪の事態が待っている。風雲急を告げる東アジア情勢を冷静に読み解き、その中で日本が生き残る道を考える。

著者プロフィール

書評

波 2014年7月号より 安全保障の「現場」にこだわる  

永原伸

大学生の娘に「来年は就活だろ。社会常識を身につけるなら新聞だぞ。読売新聞を読みなさい」と説教したところ、しばらくして「違う意見の記事も読みたい」と言われたので、朝日新聞を勧めた。
読売と朝日の主張は、戦後独立を果たす段階で朝日がソ連を含む「全面講和」を支持し、読売が西側陣営との「単独講和」を支持したように、ことあるごとに対立してきた(詳しく知りたい方は、読売新聞論説委員会編『読売VS朝日――社説対決50年』〔中公新書ラクレ〕をお読みいただきたい)。ところが最近は、一般記事の内容まで違いが目立ってきている。一例をあげよう。
「集団自衛権71%容認 『限定』支持は63%」
「集団的自衛権 行使容認反対63%」
前者は読売の、後者は朝日の世論調査結果を紹介する一面記事の見出しだ。同じ世論調査なのに、どうして正反対の結果が出るかと言えば、“仕掛け”は設問にある。読売が「全面的に使える」「必要最小限の範囲で使える」「使える必要はない」の3択に対し、朝日は「できるようにする」「できない立場を維持」の2択だ。朝日は回答者に集団的自衛権を「同盟国と一緒に戦う権利」「戦争に加わる」行為だと説明して賛否を問うてもいた。
5月まで読売新聞で政治部長の職にあった筆者としては「朝日は意図的だなあ」というのが率直な感想だが、「読売は3択形式で限定容認論に世論誘導しようとしている」と言う人もいるだろうから、ここで黒白をつける気はない。筆者がここで言いたいのは、集団的自衛権に優るとも劣らず読売と朝日でとらえ方に差が出るテーマが、中国、韓国との対外関係だということである。
「売れるから『嫌中憎韓』 書店に専用棚」――。
そんな見出しの記事が朝日に載ったのは、今年2月のことだ。記事の中身は、韓国や中国を非難する本がベストセラーになり、週刊誌でも両国をこき下ろす大見出しが並ぶ傾向が目立っているというもので、記事全体のトーンは不健全な風潮と言わんばかりだった。この記事が出たころ、読売新聞政治部の看板企画「政治の現場」を基にした本書の執筆作業が佳境を迎えていたので、「朝日からみたら、我々の本も『嫌中憎韓』ブームの便乗本と映るのかも知れないな」と思ったものだ。
本書は、この国が直面する外交・安全保障上の「いまそこにある危機」について、関係者への徹底取材により「現場で何が起きているか」をリポートした政治ノンフィクションである。軍事力増強と海洋進出にひた走る中国との軋轢も、戦後最悪と言われる日韓関係の実態も、まさに「いまそこにある危機」にほかならない。
執筆にあたって、次のような思いがまったくなかったと言えば嘘になる。
〈日中・日韓関係が険悪なのは、一方的に日本のせいなのか。相手にも非があると指摘することさえも、「嫌中憎韓」のレッテルを貼られることなのか〉
〈朝日のように歴史問題を蒸し返す姿勢こそ、中韓の「反日」宣伝を助長させていないか。そう思うことも、我々が「歴史への反省が足らない」からなのか〉
けれども、感情にまかせて書きなぐるようなことはしなかった。あくまで具体的な事実――「現場」にこだわって記述することに努めたつもりである。事実を提示し、読者に判断材料を与えることが重要と考えたからだ。本書が朝日の言う「嫌中憎韓」本のたぐいかどうか、ぜひ書店で手にとって自分の目で確かめてほしい。
なお、本書で取り上げた尖閣棚上げ論や沖縄独立論、あるいは習近平政権のスローガン「中国の夢」や米国の対中軍事戦略などを掘り下げて論じるため、本書の取材・執筆の中心メンバー(小川聡・大木聖馬)が『領土喪失の悪夢―尖閣・沖縄を売り渡すのは誰か―』(新潮新書)を7月出版する予定だ。併せてお読みいただければ、日本を取り巻く安全保障環境の厳しい現実への理解がさらに深まるだろう。
売れるから「嫌中憎韓」では悲しい。我々の警鐘に多くの人が共鳴するから「売れる」のであってほしい。そう願っている。

(ながはら・しん 読売新聞グループ本社執行役員社長室長)

目次

プロローグ――平和の海か、戦いの海か
第1章 日中冷戦
国際会議で「日本=ナチス」
歴史絡めた反日世論戦
「中国の勝利」捏造報道
日本も反論「世界は中国を懸念」
対中にらみ「地球儀俯瞰外交」
反日宣伝 米首都を侵食
国営メディアで拡散
靖国に原因すり替え
中国防空圏 日本を威圧
飛行計画 日米に綻び
中国機が緊急発進する日
米空母を近づけるな
ミサイルで守られた「中国の海」
太平洋進出のチョークポイント
2008年から始まった尖閣奪取の試み
尖閣も核心的利益
「清王朝」領土復活の夢
南シナ海 無法な拡張
見え始めた「反中同盟」
米リバランス 問われる本気度
米中関係に翻弄される尖閣
国防費削減の大波
エア・シー・バトル
オフショア・コントロール
中国共産党の真意探れず
進まぬ危機管理メカニズム
尖閣にらんだ新防衛大綱
「南の守り」重視へ転換
「離島奪還」足りぬ実力
離島防衛のグレーゾーン
尖閣にらんだガイドライン改定
第2章 尖閣烈々
荒波にもまれる島々
中国の主張は無理筋
「棚上げ論」をめぐる暗闘
ついに日中衝突
異例の結末
「尖閣国有化」の決断と波紋
広がる反日デモ
エスカレートする対立
絶えざる緊張の海
首脳会談できず 打開策もなし
対立は世界を舞台に
国際機関は頼れず
解決策見えず
第3章 冷え切る日韓
中国に取り込まれる韓国
ジャパン・ディスカウントの脅威
主戦場は米国
北朝鮮情勢に対応できるのか
緊急時の協力も困難
反日の原因は世論にあり
司法も世論を恐れる
不可思議な判決続々
「恨」の感情
反日感情を生み出す韓国の教育
韓国メディアの罪
経済で自信
最強の反日団体
細る知日派
毅然とした対応が欠かせない
第4章 日米同盟と沖縄
高まる沖縄独立論
中国の影
沖縄の「領有権」も主張
県民意識
薄い危機感
迷走の普天間問題
安倍再登板
ようやく決着
異常な地元紙
根強い差別感情
安全保障観の大きなギャップ
反発と依存――複雑な基地問題
沖縄がカギをにぎる
第5章 見えない戦争
手段選ばぬ「超限戦」
「世界の工場」にひそむ脅威
米中サイバー空間覇権争い
サイバー戦争勃発
「第5の戦場」
貧者の凶器
「無防備」日本政府の落とし穴
司令塔なきサイバー空間
自分しか守れない自衛隊
人材確保にも足かせ
ファイブ・アイズの高い壁
民間任せのインフラ防衛
サイバー空間は誰のものか
あとがき
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