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業界が斜陽? 会社が小さい? それがどうした。やれることは山ほどある!

なんにもないから知恵が出る―驚異の下町企業フットマーク社の挑戦―

磯部成文/著、三宅秀道/著

1,404円(税込)

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発売日:2015/11/18

読み仮名 ナンニモナイカラチエガデルキョウイノシタマチキギョウフットマークシャノチョウセン
発行形態 書籍、電子書籍
判型 四六判
頁数 190ページ
ISBN 978-4-10-339521-8
C-CODE 0095
ジャンル 実践経営・リーダーシップ
定価 1,404円
電子書籍 価格 1,123円
電子書籍 配信開始日 2016/05/13

もともとおむつカバーを作っていた会社が、「泳力」という概念とともに学童用水泳帽の市場を創造。さらに、「介護」という言葉を発明して関連市場も創り出した。東京の下町にある従業員60人あまりの中小企業が、なぜ「市場丸ごとの創造」を繰り返せるのか。その秘密をフットマーク社トップと気鋭の経営学者の対話で解き明かす。

著者プロフィール

磯部成文 イソベ・シゲフミ

1941年生まれ。フットマーク株式会社代表取締役会長。慶應義塾大学経済学部卒業後、大阪・船場で3年間の丁稚奉公を経験。1967年に磯部商店(現フットマーク)に入社し、1970年に代表取締役社長に。学童用水泳帽の市場を創造し、「介護」という言葉も発明した希代の商品企画マンとして知られる。

三宅秀道 ミヤケ・ヒデミチ

1973年生まれ。経営学者。専修大学経営学部准教授。早稲田大学商学研究科博士課程単位取得退学。東京大学ものづくり経営研究センター研究員などを経て現職。2012年に発表した著書『新しい市場のつくりかた』(東洋経済新報社)が、本格的な経営書ながらベストセラーとなり、注目を浴びる。

書評

「あたりまえ」を作りだす方法論

新雅史

 東京墨田区にある六〇人程度の中小企業であるフットマーク社。その会長である磯部成文さんと経営学者である三宅秀道さんの対談である。
 この本の売りは何か。
 まえがきには、商品開発がうまくなるための教科書である、と書いてある。商品開発というと、技術革新やマーケティングのことかと思うかもしれない。しかし、そこで語られているのはもっとラディカルなことである。消費者がまだ見たこともない商品をどのように思いついたか。そして、その商品の必要性をどのような言葉で表現していったか。そのプロセスの詳細についてである。
 その例として、「介護用品」の開発経緯を紹介しておこう。
 もともとフットマーク社は子ども用のおむつカバーをつくる零細の衣料メーカーであった。磯部さんが会社を引き継いだ一九六〇年代後半、近所の女性から、ある相談が持ちかけられた。大人用のおむつカバーを作ることはできないか、という相談である。おじいちゃんがおもらしをして困っているのでおむつを使いたいということだった。磯部さんは職人さんに頼んで特注品を作った。女性からはとても喜ばれた。
 同じような悩みをもつ家族が多くいることはすぐに想像がついた。磯部さんは、全国にこうした高齢者が数多くいるのではないかと思い、「大人用おむつカバー」という商品を売りだした。だがポツポツとしか売れなかった。磯部さんは「大人用おむつ」という表現に問題があると考えた。そのネーミングでは、おむつが子ども向けである、という常識をくつがえすことができないからである。
 磯部さんは、排泄に困っている家族があたりまえのように入手しうるネーミングが何であるかを考えた。そして、辿りついたのが、「病院の看護婦さんのやさしいイメージのある『看護』と、けが人を助ける『介助』を組み合わせた『介護』という言葉」だった。
 つまり、介護という言葉は、磯部さんの発明品である。じっさい、一九八四年には、「介護」がフットマーク社の商標として登録が認められている。こうして、フットマークは、「介護用品」という新しい市場を手に入れることができたのである。
 介護という言葉は現実を大きく変えた。高齢者が家族以外の他人から排泄のお世話を受けることも珍しくない。磯部さんは他社が「介護」という言葉を用いても使用料を取っていないが、その市場を創りだしたのがフットマークという会社であることは知っておきたい。
 わたしたちはマーケティングというと、消費者調査に代表されるように、人びとが何を求めているかを知ることだと思っている。そのことも大切ではあるが、本当のイノベーションは消費者調査からは生まれない。次の時代のあたりまえはほとんどの消費者も知らないのだから。
 三宅さんは、新しい市場をつくることを「文化開発」と呼んでいる。文化とは、日々の生活パターンのことである。そして、文化とは、日々のルーティンゆえに、なぜそれを日々おこなっているのかを問いなおしたりしない。たとえば、なぜ、わたしたちは箸をつかうのか、そんなことはあたりまえすぎて疑問に思うことはないからだ。
 社会学者は、人びとが疑問に思わず実践している行動や価値観について研究する人種である。おそらく磯部さんも、社会学者と同じような発想をする人なのだと思う。磯部さんはいまの「あたりまえ」を徹底的に疑うとともに、商品を通じて、異なる「あたりまえ」を提案している。その思考プロセスをこの対談集で知ることができる。

(あらた・まさふみ 社会学者)
波 2015年12月号より

目次

まえがき
第1章 町工場だからこそ強い
「ご近所のお悩み相談」から生まれた介護おむつカバー
商品の機能を名前で表現する
「イノベーションのジレンマ」を超えて
下町のエコシステム
事業を継ぐのは「当たり前」
慶應を出て、船場の丁稚奉公に
第2章 商品開発は文化開発である
すぐに自社ブランドに切り替える
「寅さん」の営業スタイル
水泳帽子を使った水泳指導
なぜ水泳帽子を全員が被るようになったのか
「泳力」という言葉はどうして生まれたか
邱永漢氏と共に台湾へ
第3章 理想は「家元型企業」
新しいことを考えるのが大好き
「泳法マーク」をデザイン
スイムグラスはいつから普及したのか
スクール水着のはじまり
水泳を楽しむマイバッグ
第4章 美大に人材がいる時代
社員にどうやりがいを持ってもらうか
クリエイティビティを落とさずに組織化を図る
社員の採用は縁から始まる
東北芸術工科大の学生が次々と入社
プールを「泳ぐ場所」から「運転する場所」に
新入社員が「おばちゃんの本音」を収集
アクアビクスの文化開発
産学連携で健康用衣料品を開発
第5章 会社は必ず壁にぶつかる
クリエイティブな組織ゆえのジレンマ
「いい会社」の罠
恵まれていたからこそ転換が遅れた会社
セオリーを金科玉条にしてはいけない
会社があるのは「お客さんのため」
ベビースイミングという文化開発
日本の水泳文化を海外にも輸出
ペット用介護用品にも照準
第6章 コンセプト丸ごとのリニューアル
強みが弱みに転じる時
成熟したフィールドをリデザインできるか
ゾンバルトのキャッチボール
抽象概念を言語化できるか
あとがき

つなぐ本×本 つながる読書<広がる世界

見方を変えれば市場も変わる。

●あらゆる障害(バリア)は価値(バリュー)に変えられる。●なぜ市場を丸ごと創造できるのか。

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