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民主主義がバカを増殖させる! デマに騙されない《保守の知恵》。

デモクラシーの毒

藤井聡/著、適菜収/著

1,404円(税込)

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発売日:2015/10/19

読み仮名 デモクラシーノドク
雑誌から生まれた本 新潮45から生まれた本
発行形態 書籍、電子書籍
判型 四六判変型
頁数 218ページ
ISBN 978-4-10-339661-1
C-CODE 0095
ジャンル 社会学、ノンフィクション
定価 1,404円
電子書籍 価格 1,123円
電子書籍 配信開始日 2016/04/08

民主主義は「ウソがうまい奴」に権力を与え、全体主義を暴走させる危険なシステムである。橋下劇場、大阪都構想、改革サギ、偽装保守、ナショナリズム、新自由主義、グローバリズム、構造改革、ネット社会、集合痴、お笑い、一般意志、アナーキズム、集団的自衛権、TPP……衆愚のデマに抗するための「保守の知恵」とは?

著者プロフィール

藤井聡 フジイ・サトシ

1968年奈良県生まれ。京都大学大学院教授。内閣官房参与(防災・減災ニューディール)。京都大学工学部卒、同大学院工学研究科修士課程修了後、スウェーデン・イエテボリ大学心理学科客員研究員、東京工業大学教授を経て、現職。専門は公共政策論、都市社会工学。著書に『超インフラ論』『〈凡庸〉という悪魔』『大阪都構想が日本を破壊する』など多数。

適菜収 テキナ・オサム

1975年山梨県生まれ。作家。哲学者。早稲田大学卒。大衆社会論から政治論まで幅広く執筆活動を展開。訳書に『キリスト教は邪教です! 現代語訳「アンチクリスト」』、著書に『ゲーテの警告』『ニーチェの警鐘』『日本をダメにしたB層の研究』『日本を救うC層の研究』『バカを治す』『なぜ世界は不幸になったのか』『愚民文明の暴走』(呉智英との共著)など多数。

書評

「劣化した民主主義」に効く解毒剤

中野剛志

 内閣官房参与の藤井聡京大教授と哲学者適菜収氏による、実に際どい対談である。
 対談の大きなテーマは、そのタイトル『デモクラシーの毒』にある通り、民主政治に内在する「悪」についてである。その「悪」とは、全体主義のことである。ついに全体主義が日本社会全体を蝕み始めたという恐るべき真実が、対談を通じて浮かび上がる。
 全体主義と聞いて「何を大げさな」と一笑に付したくなったのなら、すでに「デモクラシーの毒」がマスメディアを通じて脳神経にまで回り始め、正常な感覚が麻痺して、目の前で起きていることの意味が分からなくなってしまったのだと考えた方がよい。解毒剤として、本書を処方しよう。
 ただし、使用上の注意を申し上げておくと、本書は、かなり強い薬である。その代わりに、飲みやすいように工夫がされている。対談という形式なので楽に読めるし、専門用語は必要最小限に抑えられ、ワイドショー的な話題も豊富に登場する。
 例えば、本書全体をパラパラとめくってみると、対談の中で登場する様々な人物の写真が載せられているのだが、そのバリエーションが実に可笑しい。
 橋下徹、安倍晋三と続いた後に、ゲーテ、その次は菅直人、そしてアーレント、小泉純一郎、バーク、西郷隆盛、石原慎太郎の後に、突然ターミネーター、そしてニーチェを挟んで佐村河内守、小保方晴子、小沢一郎、その後はル・ボン、ヘーゲル、福田恆存、ソクラテス、オークショットと来たのに、いきなり竹中平蔵、そして何故かアンタッチャブルの山崎弘也、SEKAI NO OWARI……、といった具合である。この面々が一冊の中に登場する本には、お目にかかったことがない。
 これだけ見ると、「いったい、この二人は何をしゃべっているのだろう」と思われるかもしれない。しかし、これは、間違いなく日本のデモクラシーを巡る対話なのであり、そしてこの人物たちは、いずれもデモクラシーと無関係ではないのである。
 考えてみれば、デモクラシーとは、国民が主権者となる政治形態とされているのだから、デモクラシーを巡る対話は、当然の帰結として、主権者たる国民を巡る対話になる。だとするならば、佐村河内守、小保方晴子、そしてお笑い芸人やミュージシャンにまで話が及んでもおかしくはないはずだ。なぜなら、彼らは国民が関心を寄せた対象であり、したがって彼らは国民の資質を検証する材料となり得るからだ。
 日本の政治の質の低さを批判する論者はあまたいるが、そのほとんどが政治家を槍玉に挙げて論評する。しかし、主権者は政治家ではなく、国民である。政治家は国民に選ばれたに過ぎない。ほかならぬ国民自身が、そう信じているではないか。だとするならば、本来、批判の矛先は、政治家ではなく、主権者たる国民一般に向けられるべきであろう。
 二○○九年の選挙において政権交代が実現し、民主党政権が成立した際、多くの論者そして国民が「これで政治が変わる」と興奮した。しかし、民主党政権の体たらくが明らかになると、国民は再び選挙で政権を交代させた。
 しかし、選挙で政権を換えれば、政治が変わるというのは幻想に過ぎない。なぜなら、デモクラシーにおいては、国民こそが主権者である。ならば、政治を変えるには、主権者たる国民を変えなければならないはずだ。だが、選挙によって政権の交代はできても、国民の交代はできない。
 したがって、政治が劣化したのだとしたら、それは国民が劣化したからである。国民を馬鹿にして言っているのではない。むしろ、その反対に、国民を主権者として尊重すればこそ、そういう結論に至るのである。
 というわけで、藤井氏と適菜氏もデモクラシーの毒について語ろうとして、大衆批判を展開せざるを得なくなっている。その批判の対象には、本書の読者すらも含まれてしまう場合もあろう。だから、この対談は「際どい」というわけである。
 だが、良薬は口に苦し。本書を一通り読めば、デモクラシーの毒は、かなり中和されて無害化されるはずだ。
 ただし、それで気持ちが楽になるわけではない。むしろ苦しくなるだろう。なぜなら、毒が抜けて正常な感覚が戻った結果、今度は、日本社会を蝕む全体主義の正体がまざまざと見えてしまうからである。

(なかの・たけし 評論家)
波 2015年11月号より

目次

はじめに――適菜収
第一章 デモクラシーの毒
橋下徹はアナーキスト/責任を取らない言論人/超デモクラシーの時代/近代の暴走/とめどないバカの増殖
第二章 偽装する保守
「保守」とニヒリズム/タチの悪い「バカ保守」/歴史を見るスパン/「主義」を警戒する姿勢/「保守」を名乗る伝統の破壊者
第三章 「大衆社会」に抗う
「大衆」と「非大衆」/佐村河内騒動の本質/いまも有効なオルテガの大衆批判/議論とディベートの違い/「大衆」とどう戦うか/ゾンビと「大衆」
第四章 保守と近代
保守とは何か/ソクラテスとツイッター/安易に理想を語るな/保守を誤認すれば国が滅ぶ/三つの近代イデオロギー/城壁とヨーロッパ人
第五章 ネット社会と「集合痴」
「笑い」と芸の本質/現代の逃げ場/バーチャル空間の危機/顔を識別する能力/一般意志を語るバカ/ネットをいかに使うか
第六章 都構想と「全体主義」
大阪人のルサンチマン/言論テロル/全体主義の仕組み/「悪の浄化」の限界/「フライング敗北宣言」
第七章 「橋下劇場」が炙り出したもの
「ノーサイド」の欺瞞/民主主義の勝利ではない/卑劣なメディア/第二の金嬉老事件/橋下を持ち上げたバカ
第八章 改革詐欺と思考停止社会
文学が描く悪/最大の悪とは/安保法制における思考停止/「解釈」の連続性を壊すな/改革というまやかし/失われた「慎重さ」
おわりに――藤井聡

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