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急逝した女優は「手記」を書き残していた! 遺された夫が書き継ぎ、完成させた愛の物語。

カーテンコール

川島なお美/著、鎧塚俊彦/著

1,404円(税込)

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発売日:2015/12/08

読み仮名 カーテンコール
発行形態 書籍、電子書籍
頁数 191ページ
ISBN 978-4-10-339781-6
C-CODE 0095
ジャンル 演劇・舞台、タレント本
定価 1,404円
電子書籍 価格 1,123円
電子書籍 配信開始日 2016/06/10

結婚からわずか4年。幸せな毎日を送る女優を襲ったのは、治療困難といわれる「肝内胆管がん」 だった──。治療法を探し求めたセカンドオピニオン。覚悟して臨んだ腹腔鏡手術。手術前夜に病室で綴った「遺書」。そして、夫が書き記す、激やせ騒動と衝撃の死の真相。最後まで「川島なお美」を演じきった、ある女優の生き様。

著者プロフィール

川島なお美 カワシマ・ナオミ

1960年、愛知県名古屋市生まれ。女優。青山学院大学英米文学科入学と同時にデビュー。「ミスDJリクエストパレード」を皮切りに、映画、ドラマ、舞台などに数多く出演。ドラマ『イグアナの娘』『失楽園』、映画『鍵』『チャイ・コイ』、舞台『クリスマス・キャロル』『広い宇宙の中で』が大きな話題を呼ぶ。1998年には、第35回ゴールデン・アロー賞(放送賞)を受賞。趣味も多岐にわたり、ワインエキスパートやアクアアドバイザーなどの資格のほか、フランスの四大ワイン産地より騎士号を叙任。2009年、パティシエの鎧塚俊彦と入籍。2015年9月24日19時55分、胆管がんにより死去。戒名は秋想院彩優美俊大姉。

鎧塚俊彦 ヨロイヅカ・トシヒコ

1965年、京都府宇治市生まれ。関西のホテルで修業後、渡欧。スイス、オーストリア、フランス、ベルギーでさらに8年間修業を積む。ヨーロッパで日本人初の三ツ星レストランシェフパティシエを務めた後、帰国。2004年、恵比寿にて出来立てのスイーツを提供する「Toshi Yoroizuka」をオープン。その後、六本木にライヴ感覚を重視した14席のカウンターデザート「Toshi Yoroizuka MIDTOWN」、杉並区の八幡山駅近くに「Atelier Yoroizuka」開設。また、世界初となる、畑からの一貫した自社生産のショコラ作りを目指し、南米エクアドルにカカオ農園「Yoroizuka Farm Ecuador」を設けた。長年の夢を実現し、2011年には小田原石垣山山頂に2000坪以上の農園を併設したレストラン&パティスリー「一夜城 Yoroizuka Farm」、2012年には地方の農家の方々との連携を目指した「Yoroizuka Farm TOKYO」を渋谷ヒカリエにオープン。スイーツを通して、農業と地方の活性化に尽力中。また、2014年よりロカボ(低糖質)スイーツを専門にした、Toshi Healthy Sweetsを展開している。

書評

最後の一年で女優が書き遺したもの

新潮社企画編集部

 二〇一四年の九月下旬、一通のメールが新潮社の編集者N宛てに届いた。
「自分が書くことに本当に意義があるのだろうか? と自問する日々でした。軽いかんじの本ならすぐにでも書きたいのですが、あれから色々思うところがあって。経験のそれほど深くない私が書いていいのか? とか、世間は徐々に忘れてくれるだろうけど、出版することでまた癌というイメージを川島なお美にうえつけて何のメリットがあるんだろとか(略)。迷いはありますが、とっかかりの部分、書いてみますね」
 文中にある通り、差出人は女優の川島なお美さん。友人でもあったNに「がんの体験記」執筆を約束していたものの、なかなか書き出せなかった理由を正直に打ち明けている。
 遡ること八か月前、同年の一月末に腹腔鏡による肝内胆管がんの切除手術を受けた川島さんは、当初病気について公表するつもりはなかった。医師から寛解のお墨付きをもらった後に、例えば「徹子の部屋」などで告白するつもりだったという。しかし、仕事に復帰してすぐ、手術のことが週刊誌にスクープされ、ワイドショーを賑わすことに。
 その後、作家の林真理子さんから手記の執筆を勧められたこともあり、編集者のNに相談の上、いざ書き始めようとした川島さんだったが、不安や迷いが生じて筆が進まなかった。しかも、七月には「がん再発」が明らかとなり、手記どころではなくなっていたのかもしれない。
 それでも、やがて川島さんは覚悟を決め、Nに冒頭のメールを送信する。その日付は「2014年9月24日」。日本中に大きな衝撃を与えた死の、ぴったり一年前だった。
 しばらくすると、メールに直接書き込まれた原稿がNに送られてきた。その序章にはこうある。
〈世間に知れ渡ったからには、もう隠し立てする必要もないのです。
 堂々と何でもお話しできます。
 同じようにがんかもしれないと悩んでいる方、がんと宣告されたものの、どうしたらいいか迷っている方、初めての出来事に不安いっぱいになっている方、そんな方々に、自分の経験を生かし、少しくらいアドバイスできることがあるのかもしれない……そう思うようになりました。〉
 ひと月に一章のペースで送られてくる原稿には、川島さんの体験した「がん」の一部始終が、包み隠さず記されていた。病気は人間ドックで偶然発見されたこと、開腹手術と抗がん剤には疑問を抱いていること、最善の治療法を求めて様々なセカンドオピニオン外来を訪ねたこと、そして、手術前夜に病室で夫宛ての遺書を書いたこと……。あくまでクールに、時にはユーモアたっぷりに綴られた文章は、その質の高さと読みやすさに、編集経験の長いNも驚いた。
 執筆と並行して推敲も重ねられ、翌二〇一五年の七月に原稿はほぼ完成。手記の出版までの具体的なスケジュールも決まって、我々が編集作業に入ろうとした矢先、川島さんの身体に異変が起きた。
 あるイベントへ出席したことがきっかけで騒がれ始めた激やせ、さらに体調不良による突然の主演ミュージカル降板。自身のブログを通じ、川島さん本人は復帰に強い意欲を見せていたが、九月二十四日、そのまま帰らぬ人となった。享年五十四、あまりに早すぎる死だった。
 原稿はがんを克服したことが前提の内容であったため、一時、出版が危ぶまれた。しかし、パティシエである夫、鎧塚俊彦さんが亡き妻の遺志を継ぎ、最終章を加筆したことで、『カーテンコール』は世に出たのである。
 死の直前まで舞台に立ち続けた女優は、最後の一年をかけて書き遺した手記で何を伝えたかったのだろうか。出版の打ち合わせの席で、川島さんが口にした言葉を思い出す。
「これは闘病記じゃない。あくまで生きるために、医師からがんを宣告されたらすべきことを、皆さんに伝えたくて書いたの」
 その強い思いを受け止めて、ぜひ読んでいただきたい一冊である。

(しんちょうしゃきかくへんしゅうぶ)
波 2016年2月号より

目次

まえがき
序章 スクープ
第1章 疑い
第2章 戒め君
第3章 良性か、悪性か
第4章 セカンドオピニオン
第5章 決断の日
第6章 主人への手紙
第7章 手術と退院後の日々
第8章 私の「がん活」
第9章 再発の不安とシナモンのこと
終章 ラストステージ
あとがき

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