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もし、このバンドが存在していなかったら、J−POPはどうなっていたのか。

くるりのこと

くるり/著、宇野維正/著

1,404円(税込)

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発売日:2016/09/16

読み仮名 クルリノコト
発行形態 書籍
判型 四六判変型
頁数 239ページ
ISBN 978-4-10-350271-5
C-CODE 0095
ジャンル 音楽
定価 1,404円

1996年9月の結成から20年。オリジナルメンバーの岸田繁と佐藤征史がロングインタビューで語り尽くした、知られざるあの時の苦悩と二人が見据える未来。京都で誕生し、その後の日本の音楽シーンを大きく変えた唯一無二のバンド、くるりの謎と本質に迫る。くるりをよく知る関係者の証言も収録した永久保存版の一冊。

著者プロフィール

くるり クルリ

1996(平成8)年9月、立命館大学の音楽サークル「ロック・コミューン」にて結成。古今東西さまざまな音楽に影響されながら、旅を続けるロックバンド。2016年9月現在は、岸田繁(きしだしげる/ボーカル、ギター)、佐藤征史(さとうまさし/ベース、ボーカル)、ファンファン(ふぁんふぁん/トランペット、キーボード、ボーカル)の3名で活動中。2016(平成28)年9月14日、バンド結成20周年を記念して、オールタイムベストアルバム『くるりの20回転』をリリースした。

くるり / QURULI (外部リンク)

宇野維正 ウノ・コレマサ

1970(昭和45)年、東京都生まれ。映画・音楽ジャーナリスト。「ロッキング・オン・ジャパン」「Cut」「MUSICA」等の編集部を経て、2016年9月現在は「リアルサウンド映画部」で主筆を務める。著書に『1998年の宇多田ヒカル』。

書評

くるりへの伝言

松任谷由実

 2009年の12月、私とくるりは1枚のシングルをリリースしました。タイトルは「シャツを洗えば」。アパレルブランド、GAPのキャンペーンソングとして制作した、「くるりとユーミン」名義のコラボ作品です。
 くるりとの共演は、2005年にフジテレビの「松任谷由実のオールナイトニッポンTV」という特番に岸田君を招き、ギターの弾き語りで私の「12月の雨」を歌ってもらったのが最初。さらに2009年には、彼らのトリビュートアルバム「くるり鶏びゅ~と」で、今度は私が「春風」をカバーしています。
 前々から気になっていたくるりとの2度の共演を経て、次に舞い込んできたのがキャンペーンソングのお話でした。
 彼ら二人へのインタビューで構成された、この『くるりのこと』には、「ユーミンの伝言」というパートで、「シャツを洗えば」を共作する際のエピソードが描かれています。その中で、岸田君が「歌詞の書き方については徹底的に直された」と語っているのですが、あえて「徹底的に」したのには理由がありました。それは、せっかくのコラボなんだから、くるりと私でがっぷり四つに組んで曲作りをしたかったから。半分冗談ですが、岸田君を一人で放っておくと、電車の歌ばかり作ってしまいそうだし。
 まず、事前に岸田君が作っていた複数の候補曲から、一番キャッチーな曲を選びました。それは、メジャーで少し重めのシャッフル。そこに三人共作の歌詞をつけるんです。
 歌詞を書くときに二人へ伝えたのは、「抽象的なことよりもリアル、それも日常のリアルを切なく歌に落とし込んだら」ということでした。日常にこそ、書くべきことがあると。
 じゃあ、どんな日常のリアルを書けばいいのか、となったときに、私が実生活で凝っていた「洗濯」が思い浮かびました。当時、海外の洗剤を何種類も手に入れて、実際にそれで洗濯しては、その仕上がりを楽しんでいたんですね。そんなことを口にしたら、ふと、晴れた日に洗濯したシャツを男の子が干してるような、さわやかなイメージが頭に浮かんだんです。GAPと言えばシャツだし、それも洗いざらした白いシャツ。曲が少し重めなんだから、なおさら歌詞は爽快なものにしようって、話がまとまりました。
 オケのレコーディングをほぼ終えた頃、歌詞の仕上げは岸田君に頼みました。私がさらに注文をつけると、彼が「1時間下さい」と言うので、佐藤君としばらくスタジオの外をうろつくことに。タイミングを見計らって戻ると、さすが、ほんのわずかな時間で素晴らしい歌詞を完成させていました。
 逆に、私の方が徹底的に直されたのは、サビのオブリガート(助奏)を歌うときの、音符の付点の長さ。普段のレコーディングなら、気にならないような違いだったのですが、岸田君と佐藤君はかなりこだわっていたようです。その付点による撥ね方がくるりのグルーブなんだと理解して、私も徹底的にそれにつきあいました。
 そうしてリリースされた「シャツを洗えば」は、今でも私の大好きな曲。くるり以外にもコラボした作品はいくつもありますが、その中でも最上級に好きなんです。
 くるりの二人とそんな時間を過ごす中で、私が改めて気づいた彼らの魅力は、独特の浮遊感でした。それは特に、コードのルート音に留まらない演奏をする、佐藤君のメロディアスなベースに負うところが大きい。そこに、ヤスリのかかっていない無垢な岸田君のボーカルとギターが重なると、何ともいえない「あの雰囲気」が生まれるのだと思います。
 この『くるりのこと』を読んでみると、あの時の出来事を思い出すとともに、デビュー時からずっと変わらずに進化を続けている二人に驚かされます。ヒットが出ない、CDが売れない、と元気がないように見える日本の音楽シーンだけれど、「くるりがいるから大丈夫」と思えてくるんです。
 今年の11月、私は38作目のオリジナルアルバム「宇宙図書館」をリリースします。長いキャリアを重ねてもなお、ひとところに留まらず、私もまだ進化できると信じているし、それをこのアルバムで証明するつもりです。
 まだまだ、くるりの二人には負けられません。


(まつとうや・ゆみ シンガーソングライター)
波 2016年10月号より

目次

プロリーグ 宇野維正
第1章 くるり、京都で生まれる
岸田が佐藤に出出会うまで
佐藤が岸田に出会うまで
岸田と佐藤、楽器を始める
「バンドやらへんか?」
毒猿ペピヲ、始動
大学進学、もっくん登場
くるり、誕生の瞬間
『くるりの一回転』
京都コンプレックス
第2章 くるり、京都の街に出てくる
フジロック地獄紀行
「敬語を話せ」
契約とお金のこと
佐久間正英との出会い
『さよならストレンジャー』
高卒ルーキー
――くるりの人(1)高橋太郎
第3章 くるり、時代を駆け抜ける
98年の世代
『図鑑』
街鳴り
『TEAM ROCK』
「こいつしばく」
『THE WORLD IS MINE』
「くるりにはドラマーが2人いた方がいいよ」
――くるりの人(2)森信行
第4章 くるり、調子にのる
「俺に叩かせろ!」
『アンテナ』
時間かせぎ
『NIKKI』
チャラチャラ期
第5章 くるり、ウィーンに行く
「やっぱりくるりは繁と佐藤のバンドやから」
佐藤征史の狂気
『ワルツを踊れ』
第6章 くるり、京都に帰る
『魂のゆくえ』
ユーミンの伝言
『言葉にならない、笑顔を見せてくれよ』
くるり、5人でリスタート!?
――くるりの人(3)ファンファン
第7章 くるりの現在、そして未来
「石巻復興節」
『坩堝の電圧』
くるり、また「3人」になる
再上京、独立
『THE PIER』
くるりの逆襲
エピローグ 宇野維正
あとがきにかえて 岸田繁

くるりからの動画メッセージ

くるりからの動画メッセージ
「こんなことや、あんなこと、いろいろ載ってます」

ユーミンからのメッセージ

シングル『シャツを洗えば』で共演した、
ユーミンからのメッセージ。

ユーミン

くるりはずっともがき続けている。
ところが、その名のように
音楽の空を飄々と
旋回しているように見える。
ファンはそれを
眺めていることが好きなのだ。
松任谷由実

松任谷由実Official HP
http://yuming.co.jp/

松任谷由実 Official Twitter
https://twitter.com/yuming_official

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