ホーム > 書籍詳細:「思わず見ちゃう」のつくりかた―心をつかむ17の「子ども力」―

「大人の事情」からヒットは生まれない!

「思わず見ちゃう」のつくりかた―心をつかむ17の「子ども力」―

ラッキィ池田/著

1,296円(税込)

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発売日:2017/06/30

読み仮名 オモワズミチャウノツクリカタココロヲツカムジュウシチノコドモリョク
装幀 ホビーセンターカトー東京/カバー撮影協力、広瀬達郎(新潮社写真部)/撮影、新潮社装幀室/装幀
発行形態 書籍
判型 四六判変型
頁数 191ページ
ISBN 978-4-10-351061-1
C-CODE 0095
ジャンル 芸能・エンターテインメント
定価 1,296円

シュワちゃんの「ヤカン体操」から「ようかい体操第一」まで数々の大ブームを生み出し、振付師=ヒットメーカーの常識を作り上げたパイオニアが明かす、人の心を“踊らせる”発想のヒミツ。「欲望」「変身」「アマチュア」「自己中心」「おもしろがり」……心をつかむ天才たちに共通するキーワードは“子ども力”にあった。

著者プロフィール

ラッキィ池田 ラッキィ・イケダ

1959年生まれ。1980年代より独創的な発想の振り付けが各界の注目を浴び、これまでテレビ番組、CM、映画、舞台など数えきれない程の作品を手がける。近年はアニメ「妖怪ウォッチ」の「ようかい体操第一」「ゲラゲラポーのうた」が子どもたちに爆発的人気となる。2017年6月現在、NHK・Eテレ「いないいないばあっ!」「にほんごであそぼ」の振り付けをレギュラーで担当するほか、作詞、雑誌連載、吉本総合芸能学院(NSC)の講師など、多彩なシチュエーションで活躍する。

書評

「大人を経た子ども」になること

齋藤孝

 ラッキィ池田さんは、僕がお会いした中でもある意味もっとも「子どもらしい人」です。総合指導しているNHK・Eテレ「にほんごであそぼ」で14年ほど振付けを担当してくださっていますが、ラッキィさん自身が「子ども力」を持っているから、子どもたちが生き生きと踊れるダンスを作れるんです。
 ラッキィさんのダンスは、その場で湧き上がってきたイメージがそのまま動きになっているから、ムリに覚えようとしなくても体が自然に動いて、子どもたちが内側から楽しくなります。いろんなアイディアを詰め込んだ、伝統芸能の一流の人たちが出てくる番組のなかで、素直に真似して踊りたくなるユルさは幼児番組にいちばん大事な「生命感」を出してくれていて、貴重なものなんです。
 ラッキィさん自身も、いつでも柔らかくて上機嫌な人。いつもにこにこしながら頭にじょうろをのっけていて、それがよく似合っています。クリエイティブであることと、子ども的であることが、ラッキィさんの中ではイコールで結ばれている。それを存在自体で示している方なので、この本はラッキィさんがこれまでやってきたこと、自分のなかにあるいちばん大事なことを綴っているんだなと思いました。「子ども力」を広めるにあたって、ラッキィさんほどふさわしい人はいないと思います。
「子ども力」には、周りを気にしすぎないという良さがあります。本には「空気を読まない力」についても書かれていますが、会議などでも、空気を読みすぎて誰も意見を言わないのでは集まる意味がありませんよね。その時、「反対意見を言っても嫌われない人」というのがいて、自分の利益のためではなく、ただ純粋にそう思ったから言っているだけなんだと周りに思わせる人は、貴重な存在になれます。気を遣いすぎて消極的になるところは日本人の弱点ですから、私たちは「大人を弁証法的にくぐり抜けた子ども」を目指すのがいいと思うんです。子どもがあって、その否定が大人だとすれば、正・反・合で「大人を経た子ども」になるということです。
 この本を読むと、ラッキィさんの「子ども力」はダンスだけでなく発想自体から成り立っていて、それはいろんな人からいろんなことを学んで形作られているんだと分かります。毒蝮三太夫さんが永六輔さんに植木市での買い方を教えた話など、一回一回の出来事をちゃんと自分に生かしていて、この本全体がエピソード集になっているんです。読んでいて心に残る話が多く、「『釣りはいらねえからとっといて』って言うのが江戸っ子なんだよ」と、人に喋りたくなりますね。
 僕はこの本に出てくるニーチェの『ツァラトゥストラはこう言った』が好きで、大学の授業で学生と一緒に読んでいます。そこには「恐れないで自分自身を乗り越えていこう」、最終的には「子どもになろう」と書かれています。子どもには、目的から離れて「自分がやりたいから」何かをやってしまうというばかばかしさがある。たとえば、「口の中にビー玉を何個詰められるか詰めちゃう」とか……。しかしこれが、価値を生み出す根本的な運動なんです。この本の随所にニーチェが出てくるのを見て、「そうか、ラッキィさんは『子ども力』を本能的に身につけているだけでなく、ニーチェも味方につけていたのか」と楽しくなりました。
 たくさんのギャグを生み出した赤塚不二夫さんや、戦後のラジオ放送をおもしろくした永六輔さんなど、この本に書かれている人たちのようなクリエイティブな発想が、現代の仕事には必要だと思います。今の時代は、新しい価値を生み出さないと利益率が上がらない。そのための発想力が必要ですが、頭が固いと今までやってきたことを繰り返してしまうので、一度「子ども力」を爆発させることが必要なんです。
 わくわくする瞬間がある大人は、クリエイティブですよね。でも大人はその素直な気持ちを、練習しないと思い出せません。だから僕は講演会などで、参加者に立ってジャンプをしてもらい、拍手やハイタッチをしてもらうんです。一回体を動かすと、頭も動きやすい。オープンな体からオープンな心が生まれるんですね。
 ラッキィさんがやっていることは、殻ができて重くなっていく心の鎧を、そうやって取るお仕事だと思うんです。(談)

(さいとう・たかし 明治大学教授)
波 2017年7月号より

目次

はじめに
第1章 「子ども」に戻るステップ
子どもスイッチを押そう! すベては「欲望」から始まる
ワクワクできるスイッチ?/スイッチONのきっかけは「任されること」/「NO」を使わず思考する/子どもスイッチは時空を超える!?
おもちゃ一つで現実をファンタジーに変えちゃう!? 「想像」の力
「みんなと同じように踊る」必要なんてありません!/想像力があれば、現実だって塗り替えられる/麻里ちゃんに夢を見せ続けた関根勤さん/「大人の事情」を無視した「なんでもあり」が愛される
「徹底」的にバ力になれる! 人の目を気にしない強さ
徹底的に鍛えることで殻を破る/お笑いという「発明」を伝えるエネルギー/とにかく明るい安村は「元祖一発屋」!?/新しいスタイルを作った鬼龍院翔
「無目的」は爆発だ!
「損得抜き」の気持ちよさ/「太陽の塔」が放つ強烈な“違和感”の理由?/人と人も、「無目的」に繋がれる!
第2章 「子ども力」を仕事に生かす
昆虫のように「変身」できるとしたら
芋虫の頃の話はNGです!/僕を「ラッキィ池田」に変身させた鶴太郎さん/「変身」から新しい出会いがやってくる
AKB48は焼きそばメロンパン!? 「規格外」の発想が生み出すもの
子どもの会話は予測不能!/AKB48は「部品」のアイドルグループ?/「焼きそばメロンパン」に「折り紙」……規格外の子どもビジネス!/「前提」を外すと、思いもよらない価値が生まれる
「アマチュア」でなぜ悪い!
アマチュアとは「好きで好きでしょうがない人」/世の中がひっくり返るときは、競争にすらならない/ちくわ天やコロッケを乗せるそば屋? 園子温監督のキャスティング
アイデアとは夢みること「発明」を呼ぶ“源内病”
「夢の」ダンスコンテスト!?/基準を変えれば、新しいエンターテインメントが生まれる?/次々に発明したくなる“源内病”/「アイデアをやろう!」でギャグを生み出した赤塚不二夫
「ひとり」を守って頑固にあそぶ
「子どもっぽい」までに自分を貫く!/世界に誇るニッポンの頑固な職人技/「普通の仕事」で世界を魅了するダフト・パンク
第3章 大人に効く「子どもカ」
ニーチェとプロレス――「自己中心」だから強くなれる!
「子ども力」は「突破力」にもなる/ニーチェが教えてくれた「自己中心性」と「道徳」の関係/子どもの世界に「いじめ」はなくならない?/“強さ”のイメージを変えるプロレス
“エラー”に遭って「正義」に目覚める?
子どもの正義を呼び覚ますのは「ERROR」!?/「いいこと」ばかりで正義は育たない/当たり前が当たり前じゃないと気づいた世界一周の旅/正義を目覚めさせることが必要なわけ
人生、「ぐだぐだ」でいこう
大人こそダラダラしよう/笑いは百薬の長! 「マムちゃん寄席」で公開診療/振付師の仕事は、予想外の連続!?/思い通りにならない状況をどこまで楽しめる?
どんな言葉も生放送! 一回限りを「無邪気」に楽しむ
人生にリハーサルなし! な毒蝮三太夫さん/「生放送」だからドキドキできる
第4章 究極の「子ども」永六輔さんのヒミツ
なんでもすべらない話にしちゃう「おもしろがり」の秘訣
「初代・永六輔」のお話はみな新作落語!?/おもしろエピソードは「すべらない話」に仕上げる/「上手な方」より「おもしろい方」をとる!
ラジオで“見る”? 「感覚」から開ける世界
鳥が「見えない」んですけど……/車イスに乗って初めて分かる「点字ブロック、痛い!」/「5・7・5」でいろんな感覚を発見!
絶対に空気を読まない! 素直な「驚き」がニュースを生む
クライアントは「お客さん」ではない/久米宏さんの中継は視聴者との“真剣勝負”/誰がなんと言おうと、自分の驚いたことが「ニュース」!
「笑って」いれば戦争にならない
終戦で豹変した「大人」たち/つまらない「放送」は、絶対にしない/立川談志と「犬猿の仲」? 共演NGすら演出したエンタメ魂
おわりに

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