はじめに 池田清彦
I 環境について、ほんとうに考えるべきこと……養老孟司
石油とアメリカ/文明とエントロピー/本気で考えていない/環境問題とは何か/自然とは何か/環境と安全保障/何を考えるべきか
II 環境問題の錯覚……池田清彦
一 何が「環境」の「問題」なのか
かつては環境問題といえば自然保護と公害のことだった/環境問題には「流行」がある/有機物の循環/下肥までをも組み込む形での物質循環が行われていた江戸/増えているのは炭酸ガスだけではない/自然界にもともとあるものと、ないもの
二 身の回りの環境問題――ゴミとリサイクルをめぐる誤謬
ペットボトルのリサイクルはムダ/リサイクルに向くものと、向かないもの/自治体指定のゴミ袋はエコロジカルではない/リサイクルの何が良くて何がダメなのか/ゴミがないと困るハイテクのゴミ焼却炉/やればやるほどムダが出る
三 ほんとうの環境問題――エネルギーと食料
自然破壊と人口増加/人口が増加に転じた要因/エネルギーと食物の関係性/持続可能なエネルギーはない/石炭と石油が自然環境を救った/本来、最もエネルギー効率が良いのは水力発電だが/なぜアメリカがバイオ燃料に力を注ぐのか/日本におけるバイオ燃料の可能性は?/貧民から食料を奪うことにつながるバイオ燃料/風力発電やエコカーはペイするかが問題/太陽光発電の問題点と優位性/余った電力を揚水式ダムに用いる/憲法でエネルギーは買えない/食料自給率は上がるか/フード・マイレージと農業振興/少子化対策に金をばらまくのは錯誤
四 環境問題は「人間の問題」である――人口問題のジレンマ
「中国人とインド人の惑星」化/世界の出生率を下げるには/少子化の何が問題なのか/人口問題が解決すればすべての問題は解決する?
五 地球温暖化の何が問題か
京都議定書を守っても二酸化炭素の量は減少しない/地球はこれまで何度も温暖化と寒冷化を繰り返してきた/気温が何℃上がるというのか/温暖化によってどんなダメージがあるのか/海面三五センチの上昇の何が問題なのか/京都議定書を守っても日本が温度上昇抑制に貢献できるのは〇・〇〇四℃/一〇〇年後の温度がどうなるかを計算しても意味がない/景気を悪くしないかぎり、CO2の排出は減らせない/問題の予防よりも、問題が生じた後の対策を
III 「環境問題」という問題……池田清彦×養老孟司
一 政治的な「地球温暖化」論
そもそも「地球温暖化」はほんとうなのか/日本の負担は「六〇分の一」でいい/「温暖化歓迎」という意見はなぜないのか/何でも地球温暖化のせい?
二 エネルギーと文明の関係
地球温暖化論の背景にあるエネルギー問題/石油は日本に使わせろ/アメリカと中国の問題/環境問題と石油会社/油から歴史を見る/いちばん重要な問題は何か/石油中心社会からどう脱するか/システムを変えられるか/持続可能な人口
三 生きる道
全世界の食料援助量の三倍を棄てている国/問題を細かく見ること/食料自給率を金額ベースで考える/環境と秩序のありよう/中間項の喪失/「環境立国」よりも、モノづくり
あとがき 養老孟司