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政治家は歴史の法廷の被告である。だからこそ、私はすべてを書き遺した。

自省録―歴史法廷の被告として―

中曽根康弘/著

1,512円(税込)

本の仕様

発売日:2004/06/25

読み仮名 ジセイロクレキシホウテイノヒコクトシテ
発行形態 書籍
判型 四六判変型
頁数 255ページ
ISBN 978-4-10-468701-5
C-CODE 0095
ジャンル 政治、自伝・伝記、ビジネス・経済
定価 1,512円

豊かなエピソード、鋭い観察、鮮やかな人間分析。卓抜な歴史観と国際政治の解剖。そして誰よりも知悉している権力とリーダーシップへの深い洞察。「戦後政治の総決算」を唱えた男の栄光と挫折の人生体験が見事に息づく書下ろし。昭和史上、稀代の政治家・中曽根康弘の発言は混迷を極める日本が難局を乗り切るための指針となる!

著者プロフィール

中曽根康弘 ナカソネ・ヤスヒロ

1918(大正7)年群馬県生れ。東京帝国大学法学部卒業後、内務省入省。海軍主計少佐、警視庁監察官等を経て、1947(昭和22)年衆議院議員に当選。1959年科学技術庁長官、1967年運輸大臣、1970年防衛庁長官、1972年通産大臣、1980年行政管理庁長官等を歴任し、1982(昭和57)年内閣総理大臣に就任。首相在職日数は1806日。著書に『青年の理想』『日本の主張』『新しい保守の論理』『中曽根康弘句集』『政治と人生』『天地有情』『自省録』『保守の遺言』他。公益財団法人世界平和研究所会長。

書評

波 2004年7月号より 恐ろしいまでに大胆精細な回顧録  中曽根康弘『自省録―歴史法廷の被告として―』

竹村健一

 中曽根康弘さんほど数多の著作物を著してきた政治家は他にいない。オーラルヒストリーの『天地有情』から、怜悧な政策の書『二十一世紀日本の国家戦略』まで、すぐれた著作は枚挙に遑なしである。
その中曽根さんが、多くの読者を視座に置いた回顧録を著すと聞いて私は大いに興味を惹かれた。中曽根さんが日本の歴史に果たしてきた大いなる功績を考えるなら、過去現在を問わず、日本の政治家の中で、もっとも強い発言力と影響力を備えた稀有な存在であることが知れるからである。
この認識は最近マスコミにおいても広く定着した様子で、国内外の政治状況の近未来予測に高い見識と視座を持つ中曽根さんが、新聞、テレビに登場し自説を展開することが多くなった。私の番組『報道2001』にはかなり以前から頻繁にご登場頂いているが、ジャーナリズム全体で再評価が進んだ証左であろう。
こうして「平成の徳富蘇峰」的な存在感さえ漂わせ始めた中曽根さんだが、戦後六十年近くの間の発言と行動は、まだまだ十分に知られているとは思えない。そういう意味で、中曽根さん自身が過去の行動と発言を率直に書き下ろしたこの回顧録は、非常に大きな意味を持つだろう。
タイトルは、哲人政治家マルクス・アウレリウスに借りた『自省録』だが、ここには中曽根さんの並々ならぬ自負が感じられる。そして、一読した誰もが「これほどの政治信条と哲学を持った政治家が、日本にいた」事実に驚きを禁じえないはずである。
政治家・中曽根にまつわる代表的な世評に「風見鶏」があり、広く国民の間にマイナスイメージとして定着された。このたびの『自省録』が、一連の歪曲されたイメージを払拭し、過去六十年、戦後一貫して変わらない希代の保守政治家であったことを巷間に告げる歴史の証言であると私は確信するが、ここでは親しく御友誼を頂いている二十数年間の思い出を書いてみたい。
彼が自民党総裁になった時、私は自民党の雑誌『自由民主』に政治家との対談を長期連載していた。そこで、彼が総裁になる日、つまり総理になると確定する当日にインタビューを行なうことになった。
それまで何人かの総理に会ってきたが、私が総裁室に入ると、椅子を離れて応接のソファに来て、すぐに対談を始めるのが常だった。しかし、中曽根さんだけはまだしばらく総裁の椅子に座ったままでいた。その日は総裁に決った当日だったし、その瞬間をまだ反芻していたのではないだろうか。
ほんとうに人生をかけた長い宿業を達成した者だけに訪れる束の間の平安であったかもしれない。少しでも長く自民党総裁、すなわち総理大臣の椅子に座っている姿が、ことさら印象に残っている。このとき、中曽根さんは何冊ものノートを持ってきて、「こうして総理になったらやろうと思うことをずっと書き続けてきた」と見せてくださった。以前にも以後にも多くの総理に会ったが、そうしたノートを見せた人は皆無だった。
総理に就任して最初のアクションは、「日韓関係の回復」だったが、そのために中曽根さんは瀬島龍三氏を密使として韓国に送っている。瀬島氏への依頼は、総理就任三日後だったという。
瀬島氏が密使だと知れた直後、偶然飛行機で私は氏と隣り合わせに座ることがあった。「中曽根さんは、どうしてあなたに頼んだのでしょう」と訊くと、瀬島氏は言下に「私と朴大統領が士官学校の同窓だったので、韓国の軍部に知己が多く、全斗煥さんとも親しかったからです」とおっしゃった。すべて調べた上で中曽根さんは依頼し、目立たぬように成田でなく大阪から発たせ、伊藤忠の仕事であるかのように思わせる細かい心遣いまでする。
しかも、背景には大局観がある。その後に控えていた日米首脳会談。暗礁に乗り上げていた日韓関係を回復できないままで日本の総理がアメリカに行っても、発言力は強くはない。そう考えたうえでの迅速な行動と大局観に裏付けられた細かな心遣い。
まさに中曽根政治の真骨頂を垣間見る思いがしたのである。
『自省録』は、政治に人生を捧げた人間の大胆で精細な回顧録であるだけでなく、戦後昭和史を生命力溢れる筆致で描いた圧倒的な歴史の書である。

(たけむら・けんいち 評論家)

判型違い(文庫)

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