ホーム > 書籍詳細:二重螺旋 完全版

生命とは何か。究極の問いに肉薄した男が赤裸々に語る、世界を震撼させたドキュメント!

二重螺旋 完全版

ジェームズ・D・ワトソン/著、アレクサンダー・ガン/編、ジャン・ウィトコウスキー/編、青木薫/訳

3,024円(税込)

本の仕様

立ち読みする

発売日:2015/05/29

読み仮名 ニジュウラセンカンゼンバン
発行形態 書籍
判型 四六判変型
頁数 479ページ
ISBN 978-4-10-506891-2
C-CODE 0098
ジャンル ノンフィクション、生物・バイオテクノロジー
定価 3,024円

生命の本質、DNAの立体構造はどのように発見されたのか──旧版にはなかった貴重な資料写真、関係者の間で交わされた書簡、研究結果を記したノートの図版、そして「幻の章」など多数収録。ライバルたちの猛追をかわし、生物学の常識を大幅に書き換えた科学者たちの野心に迫る、ノーベル賞受賞までのリアル・ストーリー。

著者プロフィール

ジェームズ・D・ワトソン Watson,James D.

1928年生まれ。1962年、フランシス・クリック、モーリス・ウィルキンスとともに、「核酸の分子構造および生体における情報伝達に対するその意義の発見」に対して、ノーベル生理学・医学賞を受賞した。ニューヨークのコールドスプリングハーバー研究所名誉所長。

アレクサンダー・ガン Gann,Alexander

コールドスプリングハーバー研究所のワトソン生物科学スクール学長であり、同研究所出版局のシニアエディターも務めている。

ジャン・ウィトコウスキー Witkowski,Jan

コールドスプリングハーバー研究所バンベリーセンターでエグゼクティブディレクターの役職にあり、ワトソン生物科学スクールでは教授も務めている。

青木薫 アオキ・カオル

1956年生まれ。翻訳家。ポピュラーサイエンスの訳書多数。サイモン・シン『フェルマーの最終定理』『暗号解読』『ビッグバン宇宙論』『宇宙創成』『数学者たちの楽園:「ザ・シンプソンズ」を作った天才たち』、エドワード・フレンケル『数学の大統一に挑む』、レナード・ムロディナウ『ユークリッドの窓』、アミール・D・アクゼル『無限に魅入られた天才数学者たち』など。著書に『宇宙はなぜこのような宇宙なのか』がある。2007年度日本数学会出版賞受賞。

目次

注釈・図版入り版への序文
サー・ローレンス・ブラッグによる原典版への序文
原典版の「はじめに」

プロローグ
第一章
第二章
第三章
第四章
第五章
第六章
第七章
第八章
第九章
第十章
第十一章
第十二章
第十三章
第十四章
第十五章
第十六章
第十七章
第十八章
第十九章
第二十章
第二十一章
第二十二章
第二十三章
第二十四章
第二十五章
第二十六章
第二十七章
第二十八章
第二十九章
エピローグ

ノーベル賞
補遺1 DNAの模型がはじめて説明された手紙
補遺2 『二重螺旋』に収録されなかった章
補遺3 ワトソンとメルク特別研究員審査委員会
補遺4 『二重螺旋』の執筆と出版
補遺5 シャルガフの書評とそれに続く論争

謝辞

訳者あとがき
図版クレジット
参考文献
原注の出典一覧
索引

インタビュー/対談/エッセイ

生命の本質に肉薄するドラマ

青木薫

 本書の著者、ジェームズ・ワトソンという人物をご存知だろうか? そんな名前に聞き覚えはないという人でも、DNAなら知っているだろう。
 それは、生命現象の鍵をにぎる物質。一九五三年、ワトソンはフランシス・クリックとともに、そのDNAの二重螺旋構造を発見した科学者である。そして六二年、ワトソンとクリック、さらにDNAのX線構造解析において重要な仕事をしたモーリス・ウィルキンスは、その功績に対してノーベル賞を授与された。ノーベル賞受賞から六年後の六八年には、ワトソンはDNA構造発見までの経緯を綴った著作、“Double Helix”(二重螺旋)を発表する。その作品は、世界的なベストセラーになるとともに、科学界には大きな波紋を広げることになった。
 ここまで説明したところで、「ノーベル賞のメダルを競売にかけた学者か」と、昨年末のニュースを思い出した人は少なくないだろう。落札したロシアの富豪が、メダルはワトソン本人に返却すると発表した、あのニュースである。
 競売報道の後、いやそれ以前より、ワトソンはメディアから攻撃の対象となってきた。ネットで彼の名前を検索すると、「嘘つき」「人間として最低」という書き込みまで見つかる。「二重螺旋構造の発見はパクリ」と断言しているサイトもあり、私も彼を聖人とは思っていないが、どうしてそこまで言われるのか、驚いてしまうほどだ。
 ワトソンが悪者とされる背景には、女性研究者ロザリンド・フランクリンの存在があった。先ほど“Double Helix”が「科学界には大きな波紋を広げることになった」と述べたが、とくに、彼女の描写が失礼だとして非難されたのである。
 さらに事態を悪化させたのは、フランクリンの友人であるアン・セイヤーが、重大な事実誤認を含む『ロザリンド・フランクリンとDNA』を発表したことだった(邦訳タイトルにはさらに「ぬすまれた栄光」という煽情的な副題がついていた)。この本の刊行以来、あたかも伝言ゲームのように誤解がふくれあがり、ワトソンはフランクリンを無能な科学者として描いたとか(それはまったく事実と異なる)、ワトソンは彼女の研究を盗んだ泥棒だという話がまことしやかに増幅されていった。彼女が若くして亡くなったこともあり、「ワトソン=悪代官」、「フランクリン=悲劇のヒロイン」のような構図ができあがってしまったのである。
 しばらく前だが、私は既存の邦訳書『二重らせん』(講談社文庫)を原文対照で読みなおす機会があり、いくつか重要な部分での原文との食い違いや、誤解を生む原因になりかねない、ワトソンに対する印象の大きな違いに驚愕したことがあった。同時に彼の筆運びの巧みさにも衝撃を受け、この作品が破格の魅力を持つことに改めて気づかされたのである。
 そこに思いもよらぬ幸運が訪れた。アレクサンダー・ガンとジャン・ウィトコウスキーの編集による、『二重螺旋 完全版』の翻訳依頼である。
 ガンとウィトコウスキーは、新たに発見されたクリックの書簡(主な文通相手はウィルキンスだった)を調べるうちに、ワトソンの記述が、当時の状況を実に正確に反映していたことに感銘を受けたという。そして、クリックの書簡だけでなく、同時代人たちの証言や資料をできるかぎり集めてみたいと考えるようになり、科学あり、歴史あり、「ゴシップ」ありの興味深い注釈を膨大に加えて、「完全版」が誕生した。
 ワトソンは当初、本書のタイトルとして「正直ジム」を考えていたという。自分の見たこと感じたことを正直に書けば、波風は立つかもしれないが、あえてそうした。科学の現場で何が行われているのか、それを知らしめようとした彼の意図も、「完全版」によって確信することができる。これにより、本来の『二重螺旋』が鮮やかに現代に蘇ったといえよう。
“Double Helix”は、生命科学の激動期を活写する傑作だ。そこには悪代官や悲劇のヒロインは誰一人存在しない。ワトソン、クリック、ウィルキンス、そしてフランクリンと、登場人物全員が躍動感にあふれ、生命の本質に肉薄するドラマが繰り広げられている。

(あおき・かおる 翻訳家)
波 2015年6月号より

感想を送る

新刊お知らせメール

ジェームズ・D・ワトソン
登録する
アレクサンダー・ガン
登録する
ジャン・ウィトコウスキー
登録する
青木薫
登録する
生物・バイオテクノロジー
登録する

同じジャンルの本

書籍の分類

二重螺旋 完全版

全国の書店、または以下のネット書店よりご購入ください。

※ 書店によっては、在庫の無い場合や取扱いの無い場合があります。あらかじめご了承ください。
※詳しい購入方法は、各ネット書店のサイトにてご確認ください。

  • amazon
  • 楽天ブックス
  • 7net
  • e-hon
  • HonyaClub
  • TSUTAYA ONLINE
  • 紀伊國屋書店
  • エルパカBOOKS - HMV
  • honto