▼Horie Toshiyuki 堀江敏幸
ラヒリの世界を独創的なものに仕立てているのは、移民として「はるかに遠い人を思う」気持ちと、身近な他者である夫や妻への無理解が表裏の関係に置かれている点だ。主人公たちに巣くっているのは、移民たちのみならず、現代人の誰もが冒された不安の病である。原題の「病気の通訳」とは、だから登場人物の職業というより、作者自身の立場を指し示すものだろう。相対する他者の病状を通訳するだけで自ら処方箋は出さない、慎重で冷静で、なおかつ慈悲深い観察者の位置。それが若き才筆の依って立つ、美しい倫理である。
▼Michiko Kakutani ミチコ・カクタニ[ニューヨーク・タイムズ]
きわだって構えの美しい、高雅な作家。デビュー作である『停電の夜に』が、すでに円熟を予感させる。
▼Amy Tan エイミ・タン
ジュンパ・ラヒリという作家は、そばにいる誰かれをつかまえて、「この本、読みなさい!」とすすめたくなる、そんな作品を書くひとである。
▼Ellen E Heltzel エレン・E・ヘルツェル[オレゴニアン]
慣れ親しんだものを失うことは、移民ばかりでなく、だれにでも生じる経験だ。その切実な痛みを、ジュンパ・ラヒリは明晰に、かつ抑制した美しさをこめて書きとめている。
▼Laura Shapiro ローラ・シャピロ[ニューズウィーク]
みごとなデビュー作。静かな語り口が大きな特長である。素直に文章を運び、表現は控えめだが、いつのまにか豊かな味わいが深まってゆく。