▼Kawakami Hiromi 川上弘美
『見知らぬ場所』という短篇集には、さまざまな「愛」が描かれている。ここに描かれている「愛」は、複雑だ。複雑であり、また同時にあっと驚くほど、簡素でもある。読んできた一つ一つの「愛」を思い出すと、ぞくりとする。ぞくりとして、けれどやはり自分は今まさに生きて、誰かあるいは何か、との「愛」の関係を持ってしまっていることを確認させられて、その果てに私たちは何を思うのだろう。一人一人違うだろう、その「何か」が、たしかにこの「ふつうの人たち」ばかりを描いた短篇集の中には、書かれているのである。
▼San Francisco Chronicle サンフランシスコ・クロニクル
人間が経験する愛と喪失をたどっていく技量の確かさ。その感性はただものではない。悲しい物語が多いけれど、これはじつに喜ばしい一冊だ。ラヒリの豊かな才能が、さらに大きく開花したことがわかるのだから。
▼The Boston Globe ボストン・グローブ
見事な仕上がりの作品集。現役世代トップレベルの実力を改めて見せつける。
▼Michiko Kakutani ミチコ・カクタニ[ニューヨーク・タイムズ]
腕の落ちる作家だと、メロドラマか見えすいたつくりものになりかねない結末も、ラヒリの手にかかると、哀しみが胸に迫ってくる――これは、人の心がわかる聡明さ、最高度の筆力の証である。
▼The International Herald Tribune インターナショナル・ヘラルド・トリビューン
ラヒリが造型する人物には、作家の指紋が残らない。作家は人物の動きに立ち会っているだけのようだ。人物はまったく自然に成長する。