▼Issey Ogata イッセー尾形
少年の目に飛び込んできた小説の断片。その後彼は、一人の女を愛する二人の男の物語に翻弄され続ける。力ずくで奪うのか、黙って立ち去るのか。シュリンクの『朗読者』は、少年期に姿を消した女性と再会して心を開かせる、静かな物語として読んだが、本書の主人公は奪う側、立ち去る側、去られる側の立場に立たされる激しい物語だという気がする。著者は法律家としての知識を生かし、法というものの普遍性を探究している。ナチス時代やベルリンの壁の時代を熟知しているからこその物語だろう。政治体制の裂け目を生きた作者に、「愛」と「法律」に引き裂かれてきた人生を感じた。
▼Hannoverscher Allgemeine Zeitung ハノーフェルシャー・アルゲマイネ紙
大学教授でベストセラー作家でもあるシュリンクは、息子が父親を、夫が妻を、ドイツ人が歴史を探し求める旅を、みごとに日常と絡み合わせて描いている。20世紀の混乱をくぐり抜けるこの冒険物語は、大胆でシンプルな語りにより、ミステリーさながら、飛ぶように読めてしまう。
▼Brigitte ブリギッテ誌
この本のなかには、シュリンクに成功をもたらしたすべての要素がある。悪についての賢明な分析があり、愛の物語があり、それがドイツの現代文学のなかでも比類のない美しい文章で語られている。