1 アンナ、クレア、そしてクープ
孤児/赤と黒/マヌーシュ/過去から抜け出す/かつてはアンナとして知られていた人物/名前につまずく
2 荷馬車の一家
家/アストルフ/旅路/二枚の写真
3 デミュの家
マルセイヤン/到着/広大な世界/犬/シャリヴァリと夜なべ/恋文/夜の仕事/親類/マゼールの森/畑/考え/戦争/休暇/帰還/さよならを言うがいい
謝辞
訳者あとがき
▼Masatsugu Ono 小野正嗣
カリフォルニアの血のつながらない「家族」の崩壊が、いつしか砂漠と海を越え、田舎町に隠棲し、失われた愛を言葉によって取り戻そうとするフランス人作家の生涯の終わりへと至る。オンダーチェは物語には何の必然性もないことを教えてくれる。偶然性と断片性を掟とする物語は、都合よく秩序を押しつけようとするあらゆる試みに異議を唱える。私たちは深い「喪失」を染み込ませた詩的な文体にただ身を委ねる。作家の言葉と読者の想像力が交わるところからつねに道が生じ、そこから息をのむような光景が開かれる。
▼Jhumpa Lahiri ジュンパ・ラヒリ
オンダーチェの新作が出るたびにわたしは、何はさておきそれを読む。この『ディビザデロ通り』にもすっかり夢中になり、これまでの最高傑作であると感じた。情熱について、時間や記憶や暴力について、オンダーチェはこれまでも比類のないほど感動的に描き出してきた。しかしこの作品には、それをも超える強健さ、抑制された筆致の生む強さがある。最高の書き手のみが獲得しうる、哀愁に満ちた静謐さが、この作品にはある。
▼New York Times Book Review ニューヨーク・タイムズ・ブック・レビュー
この本には、さまざまな芸術的技巧だけでなく、人の心を惹きつける、何か人間的な要素がある。
▼Herald Tribune ヘラルド・トリビューン
読み手が情熱を注げば注ぐほど、それに相応しいだけの喜びを与えてくれる、そんな作品である。