キョクホクデ
極北で


ジョージーナ・ハーディング 小竹由美子

17世紀初頭の北極海で、命知らずの越冬を試みた孤高の男。その強く気高い精神の物語。

1616年夏、北極海。イングランドの捕鯨船が帰国の途に着こうとしていた。トマス・ケイヴという寡黙な男を一人残して――。愛する妻と子を一時に喪った男の底知れない哀しみ。極北の地での越冬と魂の救済を重ねあわせた、胸をゆさぶる物語。英国人女性作家が四百年前の資料から紡ぎだした、壮大なスケールのデビュー長篇。

発行形態 : 書籍
シリーズ : 新潮クレスト・ブックス
判型 : 四六判変型
頁数 : 252ページ
ISBN : 978-4-10-590074-8
C-CODE : 0397
ジャンル : 外国の小説
外国の小説
発売日 : 2009/02/27

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ジョージーナ・ハーディング
Harding,Georgina

1955年英国生まれ。ロンドンの出版界で働き、1980年に来日。翌年まで東京で編集の仕事に従事。以後アジア各地、ヨーロッパ大陸を旅してまわる。1990年、チャウシェスク政権下のルーマニア紀行『In Another Europe』を刊行。1993年、インド南東部トランクェーバーで一歳の息子と暮らした体験を綴った『Tranquebar: A Season in South India』を刊行。2007年刊行の『極北で』が初の小説作品。現在はエセックス州コールチェスター在住。



小竹由美子 


▼Ishii Shinji いしいしんじ
我が身を振り捨てるように浜へ居残る痩せぎすの船乗りに、北極の冬が襲いかかる。男のなかにも極北の地、荒涼として方向のない、命の失われた光景が広がっている。ふたつの北極のせめぎ合い。春の訪れとともにそれらは溶けあい、男は北極のようななにかとなり、それは悲痛な姿であるが以前より広々とし風は通る。男が生きていくとしたら、そうならなくてはならなかったのだ。

▼Guardian ガーディアン
この、北極地方の風景、精神の浄化、畏怖や迷信についての無駄はないながらも豊かな記述は、雪に照りつける太陽のように激しい輝きを放っている。

▼Telegraph テレグラフ
ハーディングの文体は、主人公と同様たるみがなく緊張感にみちている。生きること、贖罪、信じることについて深い考察を巡らすこの小説は、ゴールディングの『ピンチャー・マーティン』にごく近い位置にある。

▼Independent インディペンデント
ハーディングは、善と悪ではなく、苦悩と哀悼を、そして、信じることを通じて得た意志のカがどれほど人を強くするかを考察してみせる。これは必ずしも神への信仰ではなく、内と外からの苦難に立ち向かう自らの精神力を、自然と共存する力を信じるということなのだ。なんであれ信じるということが時代遅れに思える昨今、ハーディングのこの寓話は、私たちがどこで道を踏み外してしまったのかをまざまざと思いださせてくれる。
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