ヨルトアカリト
夜と灯りと


クレメンス・マイヤー 杵渕博樹

「壁」崩壊後の旧東ドイツ。人々の心を覆う深い闇と、そこに灯るささやかな光――。

元ボクサーの囚人、ドラッグに溺れる画家、老犬と暮らす失業者、言葉の通じない娼婦、小学生に恋する教師。東西統一後のドイツで「負け組」として生きる人間たちを、彼ら自身の視線で鮮明に描き出す。デビュー作が「東ドイツ版トレインスポッティング」と激賞された新鋭による、十二の物語。ライプツィヒ・ブック・フェア賞受賞。

発行形態 : 書籍
シリーズ : 新潮クレスト・ブックス
判型 : 四六判変型
頁数 : 239ページ
ISBN : 978-4-10-590082-3
C-CODE : 0397
ジャンル : 外国の小説
外国の小説
発売日 : 2010/03/26

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クレメンス・マイヤー
Meyer,Clemens

1977年、東ドイツ・ハレ生まれ。建設作業、家具運送、警備などの仕事を経て、1998年から2003年までライプツィヒ・ドイツ文学研究所に学ぶ。ドイツ再統一前後の東ドイツの不良少年たちのリアルな生態を描いた初長篇『おれたちが夢見た頃』(2006)は、“東独版トレインスポッティング”などと評されてベストセラーに。多数の文学賞を受賞し、舞台化もされた。2008年、2作目となる『夜と灯りと』でライプツィヒ・ブック・フェア文学賞受賞。ライプツィヒ在住。



杵渕博樹 
小さな死
南米を待つ
銃と街灯とメアリー・モンロー
デブは恋してる
犬と馬のこと
夜と灯りと
おれたちは旅する
ヨハネス・フェッターマンの短くも幸福な生涯
川への旅
通路にて
君の髪はきれいだ
老人が動物たちを葬る
訳者あとがき


▼Furukawa Hideo 古川日出男
ことばは体だ。当たり前のように作家の体から生まれる。そして「そこに何が刻まれているか」がその小説の立ち位置のようなものを決定する。皮膚にも鼻梁にも毛髪にも、たとえば美醜があり、そうした価値観とは別のユニークさがある。年齢はむろん体に刻まれるし、あるいは刺青が彫られているかもしれない。クレメンス・マイヤーは実際に刺青が彫られた腕で、叩くように、切るように、ことばを編む。登場人物たちのワン・シーンを描出するふりをして、その全人生を掬おうと試みる。皮膚は皮膚なのに、そこに透かされたシンボルが見える。

▼Frankfurter Allgemeine フランクフルター・アルゲマイネ紙
マイヤーはいったい誰のために書いているのか、という問いには、こう答えることができるだろう――孤独に人生の重荷に耐え、あるいは不当に扱われていると感じているすべてのひとのために書いているのだと。

▼Welt ヴェルト紙
素っ気ないようでいて愛に満ち、慰めがないようでいて慰めがある。ドイツではもう長いあいだ、誰もこんな書き方をしてこなかった。

▼Zeit ツァイト紙
この本でマイヤーは、われわれの社会の負け組の人々に対する、陳腐な同情とは無縁な共感を示している。この国はこんな語り手を必要としている。
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