ウバイツクサレヤキツクサレ
奪い尽くされ、焼き尽くされ


ウェルズ・タワー 藤井光

叶わない夢。得体の知れない恐怖。二十一世紀のアメリカ人たちの姿を鮮烈な言葉で切り取る九つの物語。

夏休みを持てあます少女、認知症の父と過ごす中年男、移動遊園地に集う人々、暴虐の限りを尽くすヴァイキングの男たち。多彩な視点と鮮烈な語りで、人々の静かな絶望、消えずに燃え残った願い、湧き出す暴力の気配を切り取る全九篇。ニューヨークタイムズブックレビューほか各紙誌が絶賛、驚異の新人によるデビュー短篇集。

発行形態 : 書籍
シリーズ : 新潮クレスト・ブックス
判型 : 四六判変型
頁数 : 271ページ
ISBN : 978-4-10-590084-7
C-CODE : 0397
ジャンル : 外国の小説
外国の小説
発売日 : 2010/07/30

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ウェルズ・タワー
Tower,Wells

1973年バンクーバー生まれ。ノース・カロライナに育つ。ウェスリアン大学で人類学と社会学を学んだ後、コロンビア大学創作科で修士号を取得。2002年に短篇「茶色い海岸」でパリス・レビュー新人賞を受賞。『奪い尽くされ、焼き尽くされ』の表題作は、ジュンパ・ラヒリやアンソニー・ドーアの作品とともに『The Anchor Book of New American Short Stories』に収録された。『奪い尽くされ、焼き尽くされ』はフランク・オコナー賞最終候補となり、ニューヨーク公共図書館ヤング・ライオン賞を受賞、9カ国語に翻訳された。現在、コロンビア大学で教鞭を執るかたわら、ニューヨーク・タイムズ、ニューヨーカー、マクスウィーニーズ、パリス・レビュー等に小説およびノンフィクションを寄稿している。ブルックリンおよびノース・カロライナ在住。



藤井光 
茶色い海岸
保養地
大事な能力を発揮する人々
下り坂
ヒョウ
目に映るドア
野生のアメリカ
遊園地営業中
奪い尽くされ、焼き尽くされ
訳者あとがき


▼Minami Aoyama 青山南
かつてレイモンド・カーヴァーやトバイアス・ウルフは、アメリカ社会の吹きだまりのようなところでひっそり生きるひとびとを、簡潔な言葉で書いた。そこには夢を持てないことを嘆くブルースみたいな音楽がただよっていたのだが、タワーの作品群にはそういうものがまったくない。彼らはただただ不機嫌なのだ。苛立ち、トゲトゲしている。「奪い尽くされ、焼き尽くされ」た21世紀のアメリカは、ブルースすら生まれない、とほうもない荒涼のなかにある。シニカルを超えた、ほとんどシックなユーモアが、リアルなアメリカをつかまえる。

▼Esquire エスクァイア
我々が必要としているのは『奪い尽くされ、焼き尽くされ』のような本だ。タワーはむやみに希望を与えない。エレジーを歌うこともない。彼の描写するものに壮麗さはないが、その代わりに正確さがある。登場人物たちは物事をうやむやにし、酒に酔い、悲しみ、破産し、ねじれた親切心を起こし、あるいは理由もなく小さな国を侵略したりする。つまり、それは我々アメリカ人の姿なのだ。

▼Michael Chabon マイケル・シェイボン
ウェルズ・タワーの短篇は、紛れもないアメリカの日常のことばで、スリリングに書かれている。暴力的で、滑稽で、荒涼としていて、そして美しい。いますぐ読むべき作品だ。

▼Publishers Weekly パブリッシャーズ・ウィークリー
傑出したデビュー短篇集である。巧みに声色を統御し、さまざまな人物に共感する彼の能力は類まれなもので、それが登場人物たちの中に渦巻くねじれたユーモアと根源的な怒りの間に繊細な緊張感を作り出している。
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