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大和路を知り尽した著者による満喫度120%の古道散策!

大和路散歩ベスト10

小川光三/著

1,404円(税込)

本の仕様

発売日:2003/02/25

読み仮名 ヤマトジサンポベスト10
シリーズ名 とんぼの本
発行形態 書籍
判型 A5判
頁数 143ページ
ISBN 978-4-10-602099-5
C-CODE 0326
ジャンル 歴史・地理、国内旅行
定価 1,404円

古代の面影を色濃くただよわせる大和路。この地を隅々まで知り尽した著者が案内する知的好奇心に満ちた極上の古道散策。「みささぎの道」「石仏の道」「斑鳩の道」など8コースに、あらたに仏隆寺から大野寺「室生古道」、風の森峠から鴨都波神社「神話の葛城の道」を加え、大幅に改訂増補。

著者プロフィール

小川光三 オガワ・コウゾウ

1928年奈良生れ。仏像を主とした古美術写真の開拓者・小川晴暘の三男。日本画・洋画を志して青年期を過すも、1950年父の後を受けて飛鳥園を継ぎ、古美術写真に専念。かたわら大和を中心とする古代文化にも情熱を燃やす。主な著書および写真集に『大和の原像』(大和書房、1973)、『飛鳥園仏像写真百選―正・続―』(学生社、1980、1981)、『やまとし うるはし』(小学館、1982)、『魅惑の仏像』全28巻(毎日新聞社、1986~1996)、『あをによし』(小学館、1996)、『興福寺』(新潮社、1997)、『仏像』(山と渓谷社、2006)など、とんぼの本シリーズにも『大和路散歩ベスト10』(2003)、『仏像の見分け方』(共著、1987)がある。2004年秋にフランスで、2005~2006年にイタリアで仏像主体の写真展を開催。現在、株式会社飛鳥園代表取締役、文化史家。

目次


春日野の日の出。手前は春日野の中心で最も神聖な場所・浅茅ヶ原。中央やや右よりが三笠山。背後の山の主峰を花山といい、原生林におおわれた、これらの山の総称が春日山である。左端に若草山。
撮影:小川光三
みささぎの道
東大寺転害門~秋篠寺

石仏の道
頭塔~円成寺

斑鳩の道
法隆寺~矢田寺

菩提山道
和爾下神社~円照寺

幻のヤマトの道
白石の国津神社~笠地蔵

山の辺の道
石上神宮~大神神社

飛鳥道
高松塚古墳~安倍文殊院

室生古道
仏隆寺~大野寺

神話の葛城の道
風の森峠~鴨都波神社

二上山・当麻道
聖徳太子廟~当麻寺

インタビュー/対談/エッセイ

波 2003年3月号より ベストセラー再び  小川光三『大和路散歩ベスト10』

とんぼの本編集部

 一九八三年、「とんぼの身軽さで世界をキャッチ」をボディコピーに、《とんぼの本》シリーズが刊行され始めて、今年で二十年。この間、二百冊近くが刊行されました。
創刊当初から、「美術や文学はもちろん、紀行、歴史、科学などさまざまな人間のいとなみを、とんぼのような複眼で縦横にとらえる」とうたってきました。活字の本でも写真集でもなく、さまざまな情報をコンパクトにパッケージした、まったく新しいジャンルの本として登場し、美しい写真とイラストレーション、そして味わい深い文章を合体させて、「とんぼのような複眼」で世界を眺めてみようという気持ちを込めて《とんぼの本》と名付けられたのです。
シリーズ第八冊目に刊行された『大和路散歩ベスト8』(一九八四年刊)の著者、小川光三氏は、まさにそんな思いを表現するのにぴったりの著者でした。古美術写真の開拓者・小川晴暘氏の三男として生まれ、青年期に画家を志し、後に父親のあとを継いで古美術写真に専念することになります。一方、大和路を中心とする古代文化のありようの探究にも情熱を燃やし、『大和の原像』(一九七三年刊)にまとめられたユニークな論は話題を呼び、テレビ番組にもなったことは、広く知られるところです。奈良に生まれ育ち、写真を撮るために大和路の隅々まで足を運び、その土地の伝承、祭祀遺跡、寺社の位置などに深く思いをしずめた人ならではのことです。
《とんぼの本》発刊後十年、池澤夏樹氏から次のような一文をいただいたことがあります。
〈飛ぶ昆虫は多いけれども、空中の一点に静止する、いわゆるホヴァリングが一番上手なのはトンボだ。最適の視点に静止して、精密な画像を送ってよこす。その画像のストックを縦横に利用すると言う意味で、《とんぼの本》は現代的なすぐれた情報装置である〉
このホヴァリングするとんぼの姿も、小川光三氏に重なって見えてきます。『大和路散歩ベスト8』初版刊行当時の書評をいくつか紹介してみましょう。
《これほど旅人への思いをかりたてるような一冊はなかった。やはり五十余年の歳月をこの奈良と共に過した筆者ならではの感性と、みずからのなりわいを委ねた土地への愛が、一頁一頁に暖かく染み透っている》(「週刊東大新報」)
《美しい写真と文による案内書で、土地の人しか知らないような細い道や、これまであまり紹介されたことがなかったのどかな散歩道などが満載されている》(「朝日新聞」奈良版)
《(小川氏は)「仏像の中に秘められた古代人の思い、魂を表現したい」と思い歴史を学び、大和をくまなく歩き回って古代人の追体験を心がけた。その写真は内面も表現し、古代の人々、日本人の思想の厚さを訴えている》(「読売新聞」奈良版)
幾多あるガイドブックが「単に旅行者の道案内として、実用面ばかりが重視されてきた」のに対し、本書がひと味もふた味も違って「大和の歴史に肉薄」し、「絵画的な美しさは他のガイドブックにはない新鮮さがあふれている」と好評でした。しかし、さすがに二十年もたつと、いわゆるガイドブックとしてのデータの不備が目立ってきます。著者自身、数年前から編集部に改訂版を出しませんかと要望されていました。市街化が進み、宅地が増え、ぬかっていた道も整備され、山が削られ、池が埋め立てられたりもしているとのこと。
編集部としては、《失われた風景》を本として残しておく方が、読者にも喜んでいただけるのではないかという意見もありました。しかし、紹介したコースには歩行が禁じられるところもでてきました。そこでデータを一新し、さらに新たなコースも二本加えて改訂版を出すことにしました。
あえて電線を消した写真が二点、あきらかに現状と異なる写真も数枚、残しました。それがどれか、そろそろ春の息吹が感じられる大和路を歩いて確かめてみてください。
《とんぼの本》シリーズは、昨年の春、ちょっと装いを変えて再出発しました。旧シリーズのベストセラーも、少しずつ新しい形で改訂版を刊行していく予定です。

担当編集者のひとこと

大和路散歩ベスト10

 なかにし礼氏が週刊新潮に連載して好評を博した「さくら伝説」は、写真で見たある桜の花に恋をして、その桜に逢うための旅に出るところから、はじまる。桜は一番好きな花だが、花を追いかけて旅をするほどの趣味は持ちあわせていなかった主人公を、そこまで思いつめさせたのは、奈良の古刹・室生寺に至る四つの道の一つ、南門にあたる仏隆寺の桜である。門前の長い石段の途中に立つ樹齢九百年のモチヅキザクラについては、昭和五十五年六月に白洲正子氏も、この寺の「得がたい宝」で、「参道の入口にそびえる桜の大木で、そびえるというより、わだかまっている、といった方がいい」「私が知る範囲では、大和の中で一番大きな桜の老樹である」と紹介している(『私の古寺巡礼』所収)。  白洲正子氏の大和での散策の先導役であったほど、この地を隅々まで知り尽くしている小川光三氏。その氏が、古代の面影を色濃くただよわせる大和路を情趣ゆたかな写真と知的好奇心に満ちた文章で案内した『大和路散歩 ベスト8』は、〈とんぼの本〉シリーズのなかでも際だったロングセラー本の一つでした。このたび大幅に改訂増補した『大和路散歩ベスト10』では、前述の仏隆寺を起点とした「室生古道」と「神話の葛城の道」の二コースを追加しました。桜の花は春だけのお楽しみですが、四季おりおり、いつ行っても楽しい大和路へ、本書片手にすぐにでも出かけてみませんか。



柳生の里へと通じる柳生道は「石仏の道」でもある。その途上に刻まれた朝日観音。実際には弥勒仏で、鎌倉中期の作。撮影:小川光三

2016/04/27

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