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「レオナルドの偉大さ、思考の特質は『解剖手稿』を見なければわからない」養老孟司

レオナルド・ダ・ヴィンチ―人体解剖図を読み解く―

前橋重二/著

1,728円(税込)

本の仕様

発売日:2013/04/18

読み仮名 レオナルドダヴィンチジンタイカイボウズヲヨミトク
シリーズ名 とんぼの本
発行形態 書籍
判型 B5判変型
頁数 126ページ
ISBN 978-4-10-602243-2
C-CODE 0371
定価 1,728円

自然科学、航空力学、軍事学……あらゆる分野で功績を残した「万能のひと」。彼が絵画に劣らず、生涯を通じてもっとも熱心に追究しつづけたのが、解剖学だった。頭蓋骨、神経、血液循環、はては性交の仕組みに至るまでを考察し、画家ならではの精緻な素描を添えた「解剖手稿」を徹底解読。簡潔明瞭な解説で初心者も楽しめる。

著者プロフィール

前橋重二 マエハシ・ジュウジ

ライター。1953年生れ。慶應義塾大学経済学部卒。美術雑誌、自然科学書などの編集にたずさわる。2007年より「芸術新潮」ワールド欄に寄稿中。著書に『フェルメール巡礼』『五重塔入門』(ともに新潮社とんぼの本)。

書評

個人的アーカイブ

猿田詠子

 昨年、立て続けに「ウメサオタダオ展」(日本科学未来館)や、「今和次郎 採集講義展」(パナソニック・汐留ミュージアム)などを見た影響か、個人が膨大な資料を読み込み、フィールドワークを積み上げてできあがった、アーカイブに興味がある。『レオナルド・ダ・ヴィンチ―人体解剖図を読み解く―』は、万能の天才と呼ばれるレオナルドが遺したアーカイブのうち、30歳代後半から60歳代前半に追究したテーマである「解剖学」の手稿に焦点を絞った、ずいぶんマニアックな本である。著者は、レオナルドの知的好奇心について「自分が興味をもつ課題についてはつねに詳細なメモをつけ、謎を解明する具体的な方策を案出し、これを実行して『経験的』に問題を解こうとこころがけた」と言う。本書では、解剖と観察を重ね、足りない部分は当時の資料や想像で補い、紙葉に落とし込んでいくプロセスに触れることができるのが興味深い。
 解剖図は優れた科学者としてのレオナルドの成果ではあるが、「彼はいう――人の姿態について説明するときはことばに頼ってはいけない。なぜなら〈君の記述が綿密になればなるほど、読者の頭はかえって混乱してくる(略)〉から。あるいは〈眼にかかわる事柄を耳から入れようなどと思いわずらってはならない〉から」という画家としての矜持を持つとともに、立体ではないことの限界も理解していたと著者は指摘する。アーカイブといえば、公的な施設や仕組みを指すことが多く、いまはインターネットでの自動収集や集合知を利用して、フラットで大規模なアーカイブが作りやすく、利用もしやすくなっている。一方、私たちが接することのできる「個人の」アーカイブは、生の資料自体ではなく、レオナルドにとっての素描のように、適切なメディアを選んで整理され、統合され、構築された手法そのものだ。だからこそ、個人の執念によるアーカイブを、その生が反映されたものとして、愛おしく感じるのだろう。
 そのレオナルドを尊敬していたのが、ラファエッロだ。『誰も知らないラファエッロ』では、「古典的な調和の取れた画家」というステレオタイプとは別の側面を明らかにしている。三巨匠として並べられながらも、レオナルド、ミケランジェロに比べると格下として語られがちだ(と、著者自身も認めている)が、イタリア絵画の伝統を総合し、後世の多くの画家にとっての美の規範となったラファエッロの絵画も、またひとつのアーカイブと言えるかもしれない。

(さるた・うたこ 編集者)
波 2013年5月号より

目次

はじめに 知の冒険者、人体の不思議に挑む
レオナルド解剖学の軌跡
I 冒険の始まり「最も崇高で美しい」頭蓋骨
II 「空想解剖図」を描く
III 百歳の老人を解剖する
IV 人体を美しく図解する「解剖手稿A」
V 心臓という難問
レオナルド解剖学を「追試」する
I 眼球 なぜ水晶体に気づかなかったのか
II 大動脈弁 500年後の証明
III 気管支循環 500年後の異論
IV 性交解剖図 現代の後継者たち
おわりに レオナルドと自然
【レオナルド入門】
1 多忙な生涯
2 多彩な仕事
3 「解剖手稿」とは何か
4 解剖学小史

【レオナルド日記】
1 母の血/男色行為で告発される
2 《岩窟の聖母》の謎/《スフォルツァ騎馬像》の破壊
3 ミケランジェロと壁画バトル/数学に夢中
4 ローマの憂鬱/穏やかな晩年/フランスの宮廷画家として死す

まとめテーマでくくる 本選びのヒント

担当編集者のひとこと

レオナルド・ダ・ヴィンチ―人体解剖図を読み解く―

 著者の前橋重二さんは、雑誌「芸術新潮」のもと編集者。当時から博覧強記で知られていたが、近年はいっそう磨きがかかった。その図抜けた知識力と記憶力、並みの者では太刀打ちできない。そんな彼が、かねてより密かに(?)研究調査を重ねていたのが、本書で採り上げたレオナルド・ダ・ヴィンチの「解剖手稿」。

 レオナルドといえば、日本では《モナリザ》や《最後の晩餐》の作者、すなわち画家としてのイメージがもっとも強い。しかし、“万能の人”と称されるだけに、ご本人は他分野への興味が尽きず、絵筆が滞ることもしばしばだったとか。結果、未完に終わった作品も多い。自然科学や土木工学、なかでも解剖学への思い入れは並大抵ではなかったという。繊細なシェーディング(描影法)を施した頭蓋骨や内臓の図、鏡文字で余白を埋め尽くす覚え書きには、なるほど、ただならぬ情熱が込められている。本書では、残された膨大な紙葉のなかから、前橋さんがこだわり抜いて選んだ図版に、わかりやすい解説を加えた。ルネサンスの巨人が飽くなき追求を続けた、人体という宇宙への旅を追体験できる絶好の入門書。かの養老孟司先生からもお墨付きをいただきました!

2016/04/27

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