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「本物の森」だけが、いのちを守る。「実践派」植物生態学者の熱い提言。それは、庭から始められる。

木を植えよ!

宮脇昭/著

1,188円(税込)

本の仕様

発売日:2006/11/24

読み仮名 キヲウエヨ
シリーズ名 新潮選書
発行形態 書籍
判型 四六判変型
頁数 220ページ
ISBN 978-4-10-603572-2
C-CODE 0361
ジャンル 地球科学・エコロジー、建築
定価 1,188円

その土地本来の森こそ、災害に強く、手間がかからず、半永久的に繁り続ける。日本人は先進国の中で唯一、森を皆伐しなかった。世界でも稀な恵まれた森の生育環境に住み、照葉樹林文化をルーツとする私たちは、今こそ率先して人類を救う「正しい木」を植えるべきだ。著者の半世紀にわたる哲学と植樹法のすべてが分かる集大成。

著者プロフィール

宮脇昭 ミヤワキ・アキラ

1928(昭和3)年岡山県生れ。広島文理科大学理学部生物学科卒。2007(平成19)年現在、国際生態学センター所長。国内各地をはじめ、東南アジア、中国、アフリカなどで、精力的に森作りに邁進する。2006(平成18)年、地球環境問題への貢献が認められ、日本の研究者として初めて、ブループラネット賞を受賞した。著書に『日本植生誌』(全10巻 至文堂)、『植物と人間』(NHKブックス)、『木を植えよ!』(新潮社)など多数。

書評

波 2006年12月号より 植林の小さな巨人  宮脇 昭『木を植えよ!』

岸井成格

 ブループラネット賞を受賞した宮脇昭先生の待望の「森」の本が出版された。世界と日本で三千万本以上の植林、植樹を指導されてきた宮脇先生の「本物の森づくり」の哲学と理論が分かりやすく展開されている。
私は先生の指導の下に設立された植林のNPO法人「森びとプロジェクト委員会」の理事長になり、全国の仲間とともに日本の公害の原点といわれる足尾銅山の不毛の跡地と、八幡平の松尾鉱山跡地での植林活動にたずさわってきた。この先何年かかるか分からない息の長いプロジェクトになる。
先生は「不毛といわれる厳しい環境の中で成功してこそ、どこにでも本物の森をつくることができる。これからは山だけでなく市街地で多くの森づくりを進めなければならない。森こそが命の源泉だからだ」と、環境破壊への危機感をバネに精力的に現地指導にあたっている。私たちは先生をひそかに「植林の小さな巨人」と呼んでいる。あの小さな体で、どこからあれだけの情熱とエネルギーが湧いてくるのか感嘆するばかりだ。
私たちの活動はドングリを集めることから始まり、ドングリの選別、苗床づくり、腐葉土など良質の土づくり、そしてようやく植林、植樹になる。その間は、モグラ、ネズミ、リス、鹿などの“食害”対策に追われ、全てが厳しい自然との闘いであり共生だ。
「生物はみんな生きることに必死なんだ。ドングリだって、小さな苗木だって生きるために全力を尽している。その必死な思いに答える植林、植樹でなければ本物の森は育たない」と、私たちのチョットした“手抜き”や“慢心”も決して許さない。
将来を見据えて、優秀なインストラクターの養成や、さまざまな思いを込めた「親子教室」の開催も同時に進めている。
『木を植えよ!』は、日本の「鎮守の森」の成り立ちから、森が持つ本来の姿を説き明かして行く構成だ。自然破壊のすさまじい実態や、戦後日本の針葉樹中心の植林事業の功罪から、森づくりの基本は、「その土地に最も適した樹木を選ぶこと」、そして中心になる「土地本来の主木の樹種を選択すること」だという。
さまざまな樹種を混ぜる中で、自然に主役と脇役が育つことを「潜在自然植生」と呼び、先生は「潜在自然植生は、それぞれの土地の条件によって異なるので、まずそれを見極めることが大事になる」と説いている。
そのことは第七章「森のつくり方」で、「生物社会でも、本物は長持ちします。どれほど格好がよく、早く育って、きれいな花が咲いて一時的に繁茂しても、ニセモノは一般には長持ちしません」と、植林、植樹の“大原則”を示している。
ドングリの選び方から樹種の見分け方、そして具体的な植林、植樹の実践的な手引き書にもなっている。

(きしい・しげただ 毎日新聞特別編集委員)

目次

はじめに
第一章 「鎮守の森」は「本物の森」
1 「鎮守の森」の意味
2 日本人はなぜ初詣に出かけるのか
3 自然を畏怖する生き方
4 「本物の森」とは何か
5 「鎮守の森」の現状
6 日本が誇れる自然の遺産
第二章 日本人と照葉樹林
1 コンクリートの弱点
2 針葉樹の欠点、照葉樹の強さ
3 針葉樹と照葉樹の特徴
4 照葉樹の永久性
5 災害に強い照葉樹
6 皆伐されていたプーケットの海岸
7 保険金対策として樹を植えた
第三章 人間にはなぜ森が必要か?
1 森はどのように消えるのか
2 短期間で消えた日本の森
3 一万年前から森は邪魔者にされていた
4 文明はすべからく森の上につくられた
5 森の寄生者でしかない人間
6 森が与えてくれる厖大なもの
7 地球で唯一の生産者は植物
8 生態系を学ぶ大切さ
第四章 日本列島の特徴
1 日本の国土
2 日本の気候
3 日本の土壌
4 日本の植物相
5 日本の森
第五章 日本人と森
1 照葉樹林域
2 森を「皆殺し」にはしなかった
3 世界で最も森に向いている日本の環境
4 森の分類方法
5 日本の自然林
6 マツが二百五十倍に増えた理由
第六章 森をつくる前に
1 学校に植樹することの大切さ
2 森は警報装置でもある
3 事前に知ってほしいこと
4 学校での実例
5 各地で行なわれた植樹
第七章 森のつくり方
1 樹を選ぶ
2 樹苗のつくり方
3 植樹地の準備
4 植え方
5 マルチング
6 植えた後の手入れ
第八章 山だけではなく街に森をつくる
1 なぜ都市に森が必要か
2 最先端をいく上海の森づくり
3 毎年一人十本
第九章 自宅の庭に森をつくろう
1 狭い庭に森をつくる意義
2 屋敷林、集落林の合理性
3 横浜市立大学医学部の森づくり
4 マンションの周りにも
おわりに
参考文献

担当編集者のひとこと

木を植えよ!

「本物の森」だけが、いのちを守る。
そして、それはあなたの庭から始められる。


「本物か、ニセモノか。Iさんはどちらなんでしょうか? しばらく仕事をしてみないと、わかりませんね」
 著者の宮脇先生に二年ほど前、初めてお目にかかった時、先生は私(I)に向かってそうおっしゃった。いい加減な気持ちで原稿依頼などしてはいないが、こう言われると、正直ビビる。ことば通り、先生は厳しかった。他人に厳しいのは、自分に三倍くらい厳しいからだと分かったのは、本作りのために、横浜にある先生の仕事場や、何カ所かの植樹祭にお伺いしてからだった。とにかく、先生は忙しい。上海から成田に帰国し、その足で札幌に飛び、二日間、講演会と植樹祭。横浜には一日帰っただけで、再び、鳥取へ。その次の週はアフリカ……。国内、海外を問わず、植樹祭、講演会、インタビュー取材……そんな芸能人みたいなスケジュールの中で寸暇を惜しみ、先生はこの本を書き下ろした。「完璧な本にしましょう」(これも先生の口癖)と、妥協を惜しまぬ姿勢は、その後、何度も原稿の修正を重ねることになった。いつ先生は本の仕事をしているのだろう? と私は思った。移動中、旅先のホテルで、満員電車で立ちながら(実際に目撃した)、先生はこの本を書いたのだ。思いもよらぬ時間に、思いもよらぬ速さで、先生は連絡をくれ、原稿を直してきた。先生の迫力に引きずられるように、私もこの仕事に集中していった。先生と接していると、ニセモノのままでいることができないのだ。
「木を植えなければいけない。しかも、その土地に合った正しい木を、本物の木を」
 誇張ではなく、このことのためだけに、78歳の先生は起きている時間のほとんどすべてを費やしている。
「ニセモノを植えるから、二次災害が起こり、森が弱り、維持費がかかるんです。本物の木だけが、放っておいても永久に生き続け、人間の生活を守り、心を豊かにするんです。木と同じように、今の世の中、ニセモノが多すぎます。ニセモノは、長持ちせずに、すぐにダメになる……」
 植えるべき「本物の木」とは何か? ということについては、ぜひ本書をお読みいただきたいのだが、この本はいろいろな意味で「本物であることの大切さ」を私に教えてくれた。
「厳しい」と書いてしまったが、付け加えると、先生は講演会やパーティ、植樹祭で、老若問わず女性に囲まれる。これも、本物だけが発する魅力なのである。

2016/04/27

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