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「落語ブーム」の後に生き残るのは、果たして、どのような落語家なのか?

落語進化論

立川志らく/著

1,188円(税込)

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発売日:2011/06/24

読み仮名 ラクゴシンカロン
シリーズ名 新潮選書
発行形態 書籍、電子書籍
判型 四六判変型
頁数 218ページ
ISBN 978-4-10-603681-1
C-CODE 0376
ジャンル 演劇・舞台、落語・寄席・演芸
定価 1,188円
電子書籍 価格 950円
電子書籍 配信開始日 2011/12/23

それぞれの噺の本質を捉え、落語を進化させ続けること。その上で「江戸の風」を吹かせること。これが「現代の名人」に求められる条件だ! 声質、語りの速度、所作といった身体論から、「抜け雀」「品川心中」「中村仲蔵」等の新たな落ちの創造に至るまでを、全身落語家が熱く語る。特別付録として、志らく版「鉄拐」一席を収録。

著者プロフィール

立川志らく タテカワ・シラク

1963(昭和38)年、東京生れ。1985年に立川談志に入門。1995(平成7)年、真打昇進。創意溢れる古典落語に加え、映画に材をとった「シネマ落語」でも注目を集める。落語界きっての論客としても知られている。著書に『全身落語家読本』『雨ン中の、らくだ』『立川流鎖国論』『落語進化論』『談志のことば』などがある。DVD「志らく 立川志らく二十五周年傑作古典落語集」全十巻も好評を博している。

書評

波 2011年7月号より 談志に捧げる讃歌

東えりか

私の周りにはなぜか談志嫌いが多い。父も母もイヤミなところが鼻に付くと今でも嫌いらしい。夫は関西出身者で根っからの上方落語派。落語会に誘っても「フンっ」とそっぽを向かれてしまう。
そんな環境なのに、私は昔から談志の落語が好きだった。クールでスマート、スタンダップ・コメディという言葉も談志から学んだ。数年前の年末に「芝浜」を聞いたのは自慢の一つだ。
立川志らくの新刊『落語進化論』は「師匠に捧げる讃歌」である。立川流の落語家は談志に憧れて入門したわけだから、尊敬しているのは当たり前だが、志らくのハートは尊敬を通り越し、未だに師匠に釘付けなのだ。
志らくは立川流四天王のひとりである。映画評論家としても名高い。そんなところから「シネマ落語」をつくり、一席を超スピードで駆け抜ける「ジェットコースター落語」でも名を馳せた。しかし今回はじっくりとっくり古典を語る。
本書では、現代における落語の姿と進化について、映画のシーンに準えて読者に語りかけていく。ときにはマニアックすぎて、例えになっていないような気もするが、チャップリンの作品や大好きな「ゴッドファーザー」、小津安二郎などを例にとって、娯楽とはなんぞや、と考察する。映画の俳優が役を演じるための努力、監督が画像にこだわる執念、それと同じものを落語に求めていく。
かつて習った噺や名人の十八番、これぞ古典という落語の矛盾を徹底的に洗い出し、現代に生きる人、誰もが納得できるように落ちを変え、人物造形に手を加える。角を矯めて牛を殺さないように、細心の注意を払いながら彼は落語と格闘している。人情噺と落語は違うといわれているが、それを落語にするまでを見せていく。志らくの落語はこうやって作っているんだぜ、と手の内をすべて曝けだす。選んだ噺は「紺屋高尾」「浜野矩随」「子別れ」「柳田格之進」という大ネタだ。手を加えた物語に、なるほど、と膝を打つ。
同門の落語家たちへのライバル意識もむき出しだ。志ん朝の跡を継いだといわれる兄弟子・談春、計算された狂気で急成長をしている弟弟子・談笑、「立川流の最高傑作」と呼ばれる志の輔でさえ射程内である。同い年の柳家喬太郎、親友の柳家花緑など、人気の高い落語家たちへの評価も厳しい。
落語ブームだといわれて時間が経った。志ん朝の急死がすべての始まりだったという志らくの分析は正しいと思う。その後、数年で若手と呼ばれた落語家が頭角を現し今のブームの牽引車となった。志らくもそのひとりなのは間違いない。四十代半ばを超えて、一皮もふた皮も剥けた。人気は正直だ、面白くない落語家はやがて沈んでいく。尊敬して止まない談志の上を狙う志らくに、二十年後の名人を期待してもいいのではないだろうか。

(あずま・えりか 書評家)

目次

まえがき
第一章 江戸の風
落語が消えゆく世界
落語二〇一二年問題
稽古をする落語家にろくな奴はいねえ
江戸の風
落語のリアリズム
それぞれの噺の本質
第二章 人情噺の落語化
「『たちきり』なんざ誰でも出来る」
人情噺の落語化
 その1 「紺屋高尾」
 その2 「浜野矩随」
 その3 「子別れ」
 その4 「柳田格之進」
第三章 名人の落語を聴くと眠くなる理由
落語家が静止する必要性
音としての落語
名人の落語を聴くと眠くなる理由
芸は伝承すると遅くなる
落語のフレーズの美学
若者に落語は通じるか
第四章 落ちの進化
マクラ不要論
落語の落ち
落ちの進化
 その1 「抜け雀」
 その2 「井戸の茶碗」
 その3 「中村仲蔵」
 その4 「品川心中」
 その5 「死神」
 その6 「笠碁」
第五章 これぞ古典落語十席
これぞ古典落語十席
 「黄金餅」
 「らくだ」
 「千早振る」
 「欠伸指南」
 「粗忽長屋」
 「三軒長屋」
 「堀の内」
 「かぼちゃ屋」
 「酢豆腐」
 「居残り佐平次」
第六章 落語は果たして飽きるのか
落語国住人たちの謎
映像における落語の可能性
芸は盗めるか?
日常の中の非日常
落語は果たして飽きるのか
特別付録 「鉄拐」――落語の進化の具体例
あとがき

担当編集者のひとこと

落語進化論

「全身落語家」の新たなマニフェスト 足しげく独演会に通っていた時期があります。時は(幾度目かの)落語ブーム前夜、実力のある中堅落語家が顔を揃えつつあり、終演後は落語を愛する友人たちと酒を酌み交わしつつ、“今宵の喜び”を分かちあったものです。立川志らくさんの「シネマ落語」に出会ったのもその頃。古今の名作映画を素材にした新たな古典が誕生するのを目の当たりにしながら、この芸能の持つ可能性はまだまだ大きいのだ、と感じました。
『全身落語家読本』(新潮選書、2000年刊)から月日も経ち、その間に担当となった私は、「現時点での落語論を書いてください」と依頼しました。それを受け、二〇〇九年五月から、こつこつ書き続けて頂いたものをまとめたのが『落語進化論』です。
 落語界きっての理論派とも言われる著者ですが、エッセイもひとつの芸だとの考えから、余談、脱線なども含め、読んで楽しい選書に仕上がりました。巻末には、立川志らく版「鉄拐」をまるごと一席収録しています。
「落語と共に進化し続ける落語家だけが落語家として生きていく資格があると思います」
 著者はそう言いきりました。落語の進化、落語家の進化とは何か? その答えは本書にあります。

2016/04/27

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