ホーム > 書籍詳細:危機の女王 エリザベスII世

様々な困難を乗り越えてきた女王を待ち受ける、「第四の危機」とは何か?

危機の女王 エリザベスII世

黒岩徹/著

1,404円(税込)

本の仕様

立ち読みする

発売日:2013/09/27

読み仮名 キキノジョオウエリザベスニセイ
シリーズ名 新潮選書
発行形態 書籍、電子書籍
判型 四六判変型
頁数 254ページ
ISBN 978-4-10-603734-4
C-CODE 0323
ジャンル ノンフィクション、世界史
定価 1,404円
電子書籍 価格 1,123円
電子書籍 配信開始日 2014/03/28

英王室の頂点として献身的に国家に尽してきた女王エリザベス。治世はこれまで最長のヴィクトリア女王を抜かんとしている。「世紀の恋」と呼ばれた先々代のエドワード8世の退位まで遡り、チャーチル、サッチャーら歴代首相との関係、最大の危機となったダイアナ妃問題など、在位61年の軌跡から現代社会における君主のあり方を探る。

著者プロフィール

黒岩徹 クロイワ・トオル

1940年東京生まれ。東大法学部卒。毎日新聞社入社後、長野支局、外信部。1970-72年オックスフォード大セント・アントニーズ・カレッジ(大学院)留学。1975-82年毎日新聞ロンドン特派員。1984-87年ワシントン特派員。1989-95年欧州総局長兼ロンドン支局長。1995年編集委員。1999年日本記者クラブ賞受賞。同年より東洋英和女学院大教授。2001年、多年にわたり日英交流に尽したとしてエリザベス女王より名誉大英勲章OBE受章。現在、東洋英和女学院大名誉教授、毎日新聞客員編集委員。

書評

波 2013年10月号より 肩の荷が重い「女王」という仕事

小池滋

今年の七月に英国女王エリザベス二世は男のひ孫に恵まれた。直系第三位王位継承者となる。彼女はさぞ嬉しかったであろう。歴代英国王の中でこれまで最長在位記録はヴィクトリア女王の六四年だが、エリザベス二世は一九五二年に王位を継いだから、記録更新は遠くあるまいと期待される。
日本の普通の国民が英国の女王について思っているのはこんなところではなかろうか。めでたいこと、女王は幸せな人だと。だからこの本の表題「危機の女王」を見て意外だと驚くかもしれないが、内容を読むとその驚きはさらに大きくなり、何て可哀想な人だと同情したくなるだろう。その通り。エリザベス二世の日々は、心労の連続だったということを、本書は確実な証拠とともに伝えてくれる。
彼女は子供の頃には、自分が将来国王になる運命を担っていると思うはずはなかった。ところが国王エドワード八世が、アメリカ人で離婚歴を持つ女性を愛し、周囲の反対を押し切って結婚しようとしたため、国王になって一年もたたぬ一九三六年一二月に退位せざるを得なくなった。
そこで弟のジョージが思いがけなく王位に就くことになる。映画「英国王のスピーチ」で最近広く知られるようになった通り、子供の頃から肉体的・精神的ハンディを背負っていたジョージ六世は、第二次世界大戦に巻き込まれ心労も大きかったろう、一九五二年に急死した。その長女エリザベスが二五歳の若さで女王になった。
日本の皇室が政治に関与してはいけないことは誰もが知っている。戦後皇室改革でいろいろお手本にしたのが英国王室だったから、先生の英国王室もそうだろうと思いたくなるが、大違いなのだ。英国王は英国と英連邦の政治に関する仕事をどっさり抱えて大忙し。エリザベスの肩にその重荷がいきなり降って来た。もちろん歴代の首相その他に助けられるのだが、女王とうまが合う首相もいれば、合い性の悪い首相もいる。エリザベスは義務と律儀に取り組まないと気が済まない性分なので、その心労もそれだけ大きい。
その上私生活上のトラブルも多かった。夫フィリップの浮気・不倫。息子チャールズとダイアナ妃の悲劇はいまなお記憶に新しい。さらに国民の大多数はダイアナに同情的で、それだけ王室や政府に対して冷やかになる。不公平だが仕方ない。
これ以上は詳しく述べないから、ぜひ本書を読んでほしい。著者は日本の新聞社の特派員を長く務め、英国生活体験も豊富、二〇〇一年に日英文化交流に貢献したことで女王から勲章を頂いている。でも筆は極めて公平無私、女王だけの肩を持っているわけではない。王室に関しては英国人記者でも取材は難しい。だから資料集めの苦労は大変だったろうと思う。巻末の参考資料リストの量と幅広さに脱帽する。読みやすい本だが、内容の深さと確かさは抜群と保証できる。

(こいけ・しげる 東京都立大学名誉教授・英文学者)

目次

はしがき
第一章 国王の退位
第二章 一目惚れ
第三章 妻として、母として、国王として
第四章 第二の危機
第五章 儀式ずくめ
第六章 普段着の女王
第七章 英国首相と対峙して
第八章 女王は金持ちか?
第九章 忍び寄る第三の危機
第十章 ダイアナの衝撃
第十一章 第四の危機
あとがき

担当編集者のひとこと

危機の女王 エリザベスII世

キャビアと白鳥は王様の物 ユーラシア大陸の端っこ同士、イギリスには王室、日本には皇室が存在し、両国にとってなくてはならない存在。しかし、似ているようでも、イギリスには王室に由来する、日本から見ると不思議な法律がいくつかあります。たとえば、「伝統的に海の生き物と白鳥は王の個人財産である」というものもそのひとつ。イギリスの海岸や近海で獲れたクジラ、イルカ、キャビアの親であるチョウザメは国王に献じるか、もしくは、食べるときは国王の許可を取らなければならず、今から30年ほど前には獲られたチョウザメがバッキンガム宮殿に送られたものの、宮殿側が食べてよしというお達しを下し、獲った者のもとに返されたときには腐ってしまった、そんな珍事もあったようです。
 では、白鳥はどうしてかといえば、これは12世紀にできた法律なのですが、当時の貴族や王は白鳥をバーベキューにして食べていたので、庶民には食べさせまいというものです。しかし、驚くべきは、この法はまだ有効で、おととし、モーターボートで水上スキーをしていた男性が、白鳥を誤って轢き殺したときにはその法に従い、罰金と社会奉仕が命じられたというから、とりあえず、そのような理不尽な法律のない日本に生まれてよかったといえるかもしれません。
 以上のような封建時代の遺物のような掟はさておき、イギリスでは今も国民の中に、王室という存在が「生きている」からこそ、その一挙手一投足が話題になり、スキャンダルとなってメディアを賑わしています。その点では、テレビ、新聞、週刊誌で取り上げられることが尽きない日本の皇室も同じこと。本書は、エリザベス女王にスポットライトを当て、興味深いエピソードを交えながら、民主主義社会=「庶民の天下」の時代における君主がいかなるものなのかを探ります。

2016/04/27

感想を送る

新刊お知らせメール

黒岩徹
登録する
世界史
登録する

同じジャンルの本

書籍の分類

危機の女王 エリザベスII世

全国の書店、または以下のネット書店よりご購入ください。

※ 書店によっては、在庫の無い場合や取扱いの無い場合があります。あらかじめご了承ください。
※詳しい購入方法は、各ネット書店のサイトにてご確認ください。

  • amazon
  • 楽天ブックス
  • 7net
  • e-hon
  • HonyaClub
  • TSUTAYA ONLINE
  • 紀伊國屋書店
  • エルパカBOOKS - HMV
  • honto

危機の女王 エリザベスII世

以下のネット書店よりご購入ください。

※対応端末でお探しください。

Shincho Live!