はじめに
1 希望──だが、涙を恥じることはない
アラン『信仰について』
宮本常一『萩の花』
ソロー『森の生活』
『論語』雍也
フランクル『夜と霧』
デフォー『ロビンソン漂流記』
ミラー『わが読書』
アガサ・クリスティーの言葉
プルタルコス『倫理論集』
陶淵明『園田の居に帰る』
フロスト『行かなかった道』
『老子』
洪自誠『菜根譚』
岡本太郎『今日の芸術』
夏目漱石『倫敦消息』
イサベル・バートンの言葉
古歌
2 信念──深くこれを思うべし
ゲーテ『ファウスト』
シェイクスピア『ハムレット』
古今亭志ん生『なめくじ艦隊』
デュマの言葉
ヘンリー・フォードの言葉
石黒忠悳『懐旧九十年』
ゴーゴリ『外套』
小林秀雄『私の人生観』
沢村貞子『貝のうた』
欧陽修の言葉
高田保『ブラリひょうたん』
石橋湛山『死もまた社会奉仕』
『伊曾保物語』
『孫子』作戦篇
大宅壮一『「無思想人」宣言』
モア『ユートピア』
吉田健一『乞食王子』
正宗白鳥『ダンテについて』
『大鏡』
3 世界──人生に星の時間を
『ホイットマン自選日記』
トウェイン『人間とは何か』
ホイジンガ『中世の秋』
ツヴァイク『人類の星の時間』
フロム『正気の社会』
坂口安吾『堕落論』
カレル『人間この未知なるもの』
渡辺一夫『寛容は自らを守るために不寛容に対して不寛容になるべきか』
小泉八雲『日本人の微笑』
オースティン『自負と偏見』
島崎藤村『嵐』
4 真理──余分のない言葉を求めて
『ラ・ロシュフコー箴言集』
『史記』儒林列伝
吉田兼好『徒然草』
ファゲ『読書術』
モーム『世界100物語』
伊丹万作『静臥饒舌録』
谷崎潤一郎『文章読本』
エイゼンシュテイン『自伝のための回想録』
山中貞雄『気まま者の日記』
ディドロの言葉
5 幸福──生涯の大きな安らぎ
『フランクリン自伝』
ファーブルの言葉
プルースト『音楽に聞き入る家族』
モンテーニュ『子どもの教育について』
斎藤秀三郎の言葉
北村透谷『客居偶録』
三好達治『郷愁』
于武陵『勧酒』
サミュエル・ジョンソンの言葉
南方熊楠『上松蓊宛書簡』
江戸川乱歩『非現実への愛情』
ハズリット『死の恐怖』
アナトール・フランス『エピクロスの園』
ルナール『日記』
セネカ『人生の短さについて』
バッハの言葉
ある兵士の言葉
6 わが人生の路標
ソロンの言葉
サン=テグジュペリ『人間の土地』
高村光太郎『或る墓碑銘』
ミルトン『失楽園』
メルヴィル『白鯨』
魯迅『故郷』
『荘子』人間世
あとがき
引用原典および参考文献
小林秀雄の「究極のひと言」
「精神の状態に関していかに精しくても、それは思想とは言えぬ、思想とは一つの行為である。勝つ行為だ、という事です」――『私の人生観』より
これは戦後三年目、小林秀雄が宮本武蔵の人間像に託し、新しい時代を生きる思想のあり方について語ったものです。小林はまず、戦時中、武蔵が軍国主義、精神主義のシンボルのように扱われていたことを「笑わずにはいられなかった」と喝破します。続けて、武蔵が負けなかったのは「兵法の理」、つまり理論や観念によってではなかった、単に自らの「器用」(剣の技)を知り、「天理」、即ち理論を超えた実の道を極めたがゆえだったのだと。武蔵は「実用主義というものを徹底的に思索した、恐らく日本で最初の人」とも評します。
そこから小林は結論するのです、「思想とは一つの勝つ行為」だと。この言葉、昭和文壇の巨人、小林の思想を表す、究極のひと言ともいえるのではないでしょうか……。
掲載:2003年12月25日