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自慢じゃないが、金はない。しかし、365日古書店通い。ねらうは安い、面白い、珍しい。これぞ関西流儀の超絶技巧!

関西赤貧古本道

山本善行/著

756円(税込)

本の仕様

発売日:2004/02/20

読み仮名 カンサイセキヒンフルホンドウ
シリーズ名 新潮新書
発行形態 新書、電子書籍
判型 新潮新書
頁数 222ページ
ISBN 978-4-10-610055-0
C-CODE 0295
整理番号 55
ジャンル エッセー・随筆、本・図書館、人文・思想・宗教
定価 756円
電子書籍 価格 648円
電子書籍 配信開始日 2012/01/27

入口の均一台を見逃すな。絶版文庫を探せ。古雑誌の山に向かえ。検印紙も魅力のうち。書き込み本を無視するなかれ。古書目録は面白い。古本祭りには攻略法がある。ネット・オークションに参加したら。いつか売る日はやってくる。……自慢じゃないが、金はない。しかし誰より古書が好き。この三十年、「均一台の鬼」となり、赤貧古本道をまっしぐら。安い本には滅法強い著者の執念と超絶技巧の数々。

著者プロフィール

山本善行 ヤマモト・ヨシユキ

1956(昭和31)年大阪市生まれ。書物雑誌「sumus(スムース)」代表。同誌に「古本泣き笑い日記」を連載するなど、書物エッセイストとして活躍中。関西大学文学部卒業。著書に『古本泣き笑い日記』(青弓社)、共著に『少々自慢 この一冊』(イー・ディー・アイ)。

目次

プロローグ
第一部 基礎篇
1 それなりに作法はある
2 入口の均一台で大発見
3 絶版文庫を探せ
第二部 応用篇
1 古い雑誌の山に向かう
2 上林暁まとめて十八冊
3 検印紙も魅力のうち
4 書き込み本を無視するなかれ
第三部 実践篇
1 古書目録の楽しみ
2 古本祭り攻略法
3 インターネット泣き笑い
4 東京大遠征
5 いつか売る日はやってくる
第四部 番外篇
1 私のこれくしょん──ベスト5
2 京都大阪古書店案内

エピローグ
あとがき
書名索引

インタビュー/対談/エッセイ

波 2004年3月号より これぞという古本は  山本善行『関西赤貧古本道』

山本善行

「熱くなれなくなった」とか「体力の限界」という言葉は、何もスポーツ選手だけのものではない。古本道楽三十年近い私にも、恥ずかしながらそういう言葉がぽろりと出そうなときがあるのだ。
もちろん有名スポーツ選手の涙ながらの言葉と、古本道楽といっても実は百円とか三百円の安い本専門の私の溜め息まじりのものとでは、比べものにならないのはわかっている。
でも毎日毎日、何かいい本はないかと古本屋をまわっていると、自分の執着や貪欲に嫌気がさしてくることがあるのだ。そういうときはじっと待つしかない。これぞという一冊の古本に出会えるまで辛抱するしかない。
例えば、吉川幸次郎の『中国と私』。
昭和二十五年、細川書店の発行である。細川書店は、伊藤整の教え子であった岡本芳雄が戦友の細川武夫の援助を受けてはじめた出版社だ。この岡本芳雄は伊藤整の『日本文壇史』や『我が文学生活』などの装幀も手掛けている。私はこの『中国と私』を手に持ち、さすが岡本芳雄だなあ、と感心した。
「上野先生清玩 幸次郎」という献呈署名が入り、上野精一宛のハガキまで付いているのも有り難い。
本に挟み込まれているのは「細川だより」だ。二つ折りの簡単なものだけれど、本文の組版や使用した用紙の詳しい説明があって、それは表紙の紋様にまで及んでいる。ちなみに、この『中国と私』の表紙紋様は、中国の民芸「窓花」より「西瓜と鼠」をとったものだという。確かにカバーをめくると西瓜の上にかわいい鼠が乗っていた。
値段を見ると、読む前にこれだけ楽しませてもらって、なんと二百円だった。
もう一冊は文庫本。ソルジェニーツィン『イワン・デニーソヴィチの一日』だ。持っているのとカバーがちがうみたいだ。同じ作者の短編集『マトリョーナの家』のことなど思い出しながらカバーを外してみると、その下に帯とパラフィンが巻いてあった。奥付を見ると、昭和三十八年の発行だ。新潮文庫が、帯、パラフィン装からカバー装に変わる、過渡期のものではないか。
値段を見ると十円だったので買っておく。
このような古本に出会えると、引退しかかっていた弛んだ私の身体であったのに、全身に力がみなぎってくる。もちろんいつもこんないいことばかりではない。大げさかも知れないが、かずかずの失敗、情けない涙のあとでやっと味わえるものなのだろう。
その涙する情けない方の話は、どうぞ『関西赤貧古本道』で読んでください。

(やまもと・よしゆき エッセイスト)

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絶版文庫の両横綱とは

 古本好きの楽しみの一つに絶版文庫がある。たかが文庫とあなどるなかれ。この世界もなかなかに奥が深い。
 消えた文庫はもちろん、現存する文庫にも絶版本は多く、いずれも探すにたる。ただ、希少性、ラインナップという点から見れば、絶版文庫は山本文庫と手帖文庫にとどめを刺すだろう。いわば両横綱である。と言っても、ご存じない方が大半かもしれない。
 山本文庫は昭和11(1936)年に山本書店から刊行されたものだが、外国文学の名作を57冊出して、1年間で消えてしまった。通常の文庫サイズよりひと回り小さいのが特徴。翻訳者が素晴らしい。中原中也(『ランボオ詩抄』)、小林秀雄(ボードレール『ポオ論』)、堀辰雄(アポリネール『アムステルダムの水夫』)、立原道造(シュトルム『林檎みのる頃』)などの名前が見える。
 手帖文庫は昭和21(1946)年に地平社から刊行されたもので、サイズが山本文庫よりさらに小さい。戦後すぐのことで、紙の質も悪ければ、サイズもきちんと統一されてはいない。しかし、ラインナップが見事。坂口安吾『外套と青空』、井伏鱒二『詩集仲秋明月』、横光利一『小説シルクハット』、江戸川乱歩『探偵小説黒手組』、木々高太郎『就眠儀式』……。いずれも古本好き文学好きにはたまらないものだ。
 詳しくは山本善行『関西赤貧古本道』でどうぞ。

掲載:2004年2月25日

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